妻を失った後に本作であらゆるもを破壊するジェイク・ギレンホールですが、
その解放と狂気を表す“ダンス”シーンも、本作の見どころの一つ。
街中、電車・・と人目を憚らず、音楽に合わせてキレの良い踊りを見せ、
また新たな一面を見せてくれました!
■Introduction
本作は、『ダラス・バイヤーズ・クラブ』『わたしに会うまでの1600キロ』の監督・ジャン=マルク・ヴァレの待望の最新作。「僕は幸せを掴もうともがいている人に惹かれる。この映画は人生を再び始めるための、勇気いる旅路が美しかったんだ」と語り、何事にも無感覚になっている主人公の心の迷いに寄り添いながら、美しい映像と共にエモーショナルに描き切った。そして、『ナイトクローラー』で狂気的な演技で人々を魅了させたジェイク・ギレンホールが、妻を亡くし、自分を見失った空虚な男の脆さを、繊細な演技で見事に表現。また、ナオミ・ワッツが、ジェイク演じるデイヴィスの心を溶かしていくシングルマザーを演じている。
今回ご用意した映像は、主人公・デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)と、彼があるきっかけで出会った少年・クリスとの自宅ガレージでの交流のシーンから始まります。クリスはデイヴィスのiPodに70年代ブリティッシュ・ロックを代表するバンドFreeの「Mr. Big」をダウンロードし、彼に手渡します。すぐさまデイヴィスはヘッドホンをつけ、車の上で激しく踊り出し、そしてこの曲がすっかり気に入ったのか、彼は翌朝の出勤ラッシュも音漏れお構いなしで爆音鑑賞!
通勤中だんだんと曲が盛り上がるにつれ、テンションも最高潮に達したデイヴィスは、混み合う駅のホームでも、車が行きかう道路でも、人目を気にせず踊って踊って踊りまくる!そして駅を出ても、街中の群集のなかをひとり自由に飛び跳ねる!
この一連のダンスシーンについて、ジェイクは次のように語りました。
「監督から、“はい、iPodだよ。これがイヤホンね。ただ踊ればいいから。僕らはついて行くからさ。通りで踊りまくってくれればいい”と突然言われたんだ。監督はカメラを肩に、僕は通りを歩き、通勤通学の人たちがやってくる中、僕は踊り始めた。ところ構わず踊っているのを、彼は撮った。工事が行われていたけど、三角コーンを全部どかし、工事現場を走り抜けてとにかくがむしゃらに踊ったよ。ニューヨークではすごくクレイジーなことをしても、たいていの人は無視してくれるんだ(笑)。あれはいろんな意味で、この映画のメタファーになっていると思う。閉じ込めていた感情も自分を開放して自由に感じるということのね。クールを装って通りを歩きながら、人が自分に対して抱いている考えに対抗して、それを手放して“くそくらえ、僕は街中で踊るんだ!”ってね」
この一見異常にも見える彼の行動は、まるで長年勤勉に勤めあげてきた“エリート銀行員“としての自分の姿を破壊し、“本当の自分“を解放しているかのよう。その“解放と狂気”を表現した演技は、カメレオン俳優・ジェイク・ギレンホールの真骨頂といえる。全編に見られるジェイク渾身のダンスシーンが必見です!
■作品紹介
デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は、出世コースに乗り、富も地位も手に入れたウォールストリートのエリート銀行員。高層タワーの上層階で、空虚な数字と向き合う、味気ない日々。そんな会社へ向かういつもの朝、突然の交通事故で美しい妻を失った―。しかし一滴の涙も出ず、哀しみにさえ無感覚になっている自分に気づいたデイヴィス。
彼女のことを本当に愛していたのか? 僕の心はどこにいってしまったんだー?
「心の修理も車の修理も同じことだ。まず隅々まで点検して、組み立て直すんだ。」義父からの言葉が引き金となり、デイヴィスは、身の回りのあらゆるものを破壊しはじめる。会社のトイレ、パソコン、妻のドレッサー、そして自らの結婚生活の象徴である「家」さえも―。あらゆるものを破壊していく中で、デイヴィスは妻が遺していた幾つもの“メモ”を見付けるのだが・・・
監督:ジャン=マルク・ヴァレ(『ダラス・バイヤーズクラブ』『わたしに会うまでの1600キロ』) 原題:Demoliton
出演:ジェイク・ギレンホール ナオミ・ワッツ クリス・クーパー他
上映時間:101分
提供:ファントム・フィルム/カルチュア・パブリッシャーズ
配給 ファントム・フィルム