「LuckyHouse のポートフォリオ」18 グザヴィエ・ドラン
フランスの名だたる人気俳優を起用し、カンヌ国際映画祭グランプリに輝いた監督最新作『たかが世界の終わり』が、2/11に公開!
1989年3月20日、カナダのケベック州モントリオールで生まれたグザヴィエ・ドランは、6歳の頃から子役として映画やTVドラマに出演。2009年、わずか19歳にして脚本と主演も兼ねた長編初監督作『マイ・マザー』が、上映されたカンヌ国際映画祭の“監督週間”部門で3賞を独占し、センセーションを巻き起こす。
長編2作目の『胸騒ぎの恋人』は翌2010年のカンヌの“ある視点”部門に選出。同部門で2012年に上映された3作目の『わたしはロランス』ではスザンヌ・クレマンに“ある視点”女優賞をもたらし、主役も張った2013年の4作目『トム・アット・ザ・ファーム』は、ヴェネチアア国際映画祭のコンペ部門で上映され、国際批評家連盟賞を受賞した。
続く2014年の5作目『マミー』は、カンヌ初コンペにして審査員賞を獲得。そして2015年にはカンヌのコンペ部門の審査員をも務めたまさに早熟の異才監督だ。実に多作な映像作家であるグザヴィエ・ドランだが、2014年には“俳優業”に専念した2作品『エレファント・ソング』『神のゆらぎ』でも大いに気を吐いている。
そして昨年のカンヌ国際映画祭のコンペ部門でワールドプレミア上映され、見事に“グランプリ”を射止めた監督最新作『たかが世界の終わり』(カナダ・フランス合作)が、来る2月11日に公開される。
グザヴィエ・ドランの長編6作目となる『たかが世界の終わり』は、1995年に38歳の若さで急逝したフランスの劇作家ジャン=リュック・ラガルスの舞台劇「まさに世界の終わり」をドラン自らが脚色して映画化した家族ドラマである。
真実から目を逸らし、うまく想いを伝えられない家族の苦悩と葛藤の1日をエモーショナルに描写した本作は、フランスのスター俳優たちの起用も大きな話題となった。
人気若手作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)が、自分の死期が近いことを伝えるために12年ぶりに帰郷する。実家で彼を出迎えた母親(ナタリー・バイ)と妹(レア・セドゥ)、そして兄(ヴァンサン・カッセル)は久々の再会に浮き足立ち、感情を過剰に吐露し始める。大声で喧しく歪み合う彼らを前にしたルイは、告白するタイミングを失うが、彼とはこれが初対面である兄嫁(マリオン・コティヤール)は……。
出演陣も一堂に会したカンヌ国際映画祭の公式記者会見(5/19:現地時間)においてグザヴィエ・ドラン監督は、素晴らしい現代演劇を脚色できて本当に光栄だと述べた上で、「スクリプトはわずか80ページだけで、即興演技も多いんだ。“意思の疎通”を沈黙する人物の表情で表現するためにカメラを寄り添わせ、クローズアップを多用した。そして過去の回想シーンはカラフルな色使いにし、対する現在のシーンは寒々しいブルーが基調になっている」とコメント。
そして5月22日の授賞式。グランプリのプレゼンターを務めた審査員のヴァレリア・ゴリノとドナルド・サザーランドから賞を手渡されたグザヴィエ・ドラン監督は、壇上で、時折こみ上げてくる涙を堪えながら雄弁なスピーチを披露。“我が道を行くこと”を力強く決意表明した姿がとても印象的であった。
次作では、ハリウッドを代表する豪華女優陣(ジェシカ・チャスティン、ナタリー・ポートマン、スーザン・サランドン)とタッグを組み、初の英語作品に挑むグザヴィエ・ドラン。とどまることなく飛躍し続ける天才監督の未來は明るい!
(Text by Yoko KIKKA)
吉家 容子(きっか・ようこ)
映画ジャーナリスト。雑誌編集を経てフリーに。
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日本公開迫る『たかが世界の終わり』予告
第69回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞!
グザヴィエ・ドラン監督待望の最新作ー『たかが世界の終わり』
〈愛と葛藤〉を描き続けたドランが、今度は〈家族〉をどう描くのか――?
世界のカルチャーシーンに閃光を放ち続ける美しき天才、グザヴィエ・ドラン。新作を発表するたびに観る者を驚喜させ、14年には『Mommy/マミー』でカンヌ国際映画祭審査員賞という栄冠も手に入れた。待望の最新作でドランが切り撮るのは、愛しているのに傷つけ合う〈ある家族の1日〉。うまく想いを伝えられないその姿は、まさにミスコミュニケーションに陥った現代の家族そのものだ。ドランの才能に引き寄せられて集まったのは、ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセル、マリオン・コティヤール、ナタリー・バイというフランスを代表する一流俳優陣。自らの死を家族に伝えるために、帰郷する人気作家。12年ぶりの再会を祝う感動的な団欒となったかもしれない。だが現実に彼を待っていたものはー。
彼らが全力でぶつけ合う感情──怒りも憎しみも悲しみも、そのすべてが愛だと気付く時、私たちは絶望の中にこそ希望があると知る。目覚しい進化を遂げたドランがたどり着いた答え、それはあなたを導く愛の物語。
監督・脚本:グザヴィエ・ドラン 原作:ジャン=リュック・ラガルス「まさに世界の終わり」
出演:ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセル、ナタリー・バイ
配給:ギャガ
提供:ピクチャーズデプト、ギャガ、ポニーキャニオン、WOWOW、鈍牛倶楽部
後援:カナダ大使館、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
原題:/カナダ・フランス合作映画/99分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/字幕翻訳:原田りえ