ドイツ・ルネサンスを代表する芸術家、ルカス・クラーナハ(1472~1553)の日本初となる大回顧展「クラーナハ展―500年後の誘惑」が大阪・中之島の国立国際美術館で、1月28日(土)より4月16日(日)まで開催中です。
クラーナハはと言えば、歴史の教科書に載っている、宗教家マルティン・ルターの肖像画を思い出すかたもいらっしゃるでしょう。
ですが、これまで、この画家の展覧会は日本で開催されたことはありませんでした。
是非、この機会にイタリアの宗教画的なルネサンスとは一味違う、ドイツ・ルネサンスの巨匠、クラーナハの魅惑の世界をご覧ください。
クラーナハは、神話や物語のヒロインを華麗に描きました。
無表情で、冷淡でありながら、見る人を惹きつける女性の妖艶な美しさ。
少女のように平坦な、独特の裸体の官能的な美しさ。
絵に込められた二つの相反するメッセージ。
独自の魅惑の世界を創り出したクラーナハの芸術をご堪能ください。
ウィ―ン美術史美術館(オーストリア)をはじめ、オランダやイタリア、アメリカなど、世界13カ国から油彩や版画などの作品、約100 点が一堂に会する史上最大規模のクラーナハ展です。
クラーナハに影響を受けた、パブロ・ピカソ、マルセル・デュシャン、森村泰昌などの作品も展示されています。
ではこれから、いくつかの作品をご紹介いたします。
宮廷画家としてのクラーナハ
クラーナハは、当時の神聖ローマ帝国における文化拠点のひとつであったヴィッテンベルクで、宮廷画家として活躍していました。
コウモリの翼を持ち、冠を被った蛇が、ルビーの指輪をくわえている、という紋章をクラーナハは授けられ、自作の署名に使いました。
20世紀の巨匠、パブロ・ピカソもこの肖像画に魅了され、影響を受けました。
時を超えるアンビヴァレンス―裸体表現
クラーナハは、神話主題の裸婦を古典的な理想化された人体表現の模倣にとどまらず、独自のバランスで描きました。
クラーナハの描く裸婦像は見るものを道徳的に戒めながらも、誘惑するという二重の相反する性格を備えています。
こうしたアンビヴァレンス(二律背反)によって、クラーナハは、新しい表現を可能にしました。
「正義」は、4つの自然徳のひとつとして数えられます。
この擬人像の持ち物となっている天秤は、慎重な裁きを象徴しています。
また、一方で、剣は、判断の呵責のなさを表します。
そして、見るものの視線を集中させるのは、透明な衣装でしょう。
かつて、これほど大胆に、洗練された演出で女性の裸体が描かれたことがあったでしょうか。
すべてのものを露わにしようとする視線の欲望と、相反して、道徳的に戒める、葛藤、せめぎあいが、表現されています。
欲望と葛藤する「正義」は、普遍的なテーマで、現代の私たちにも共通するものです。
クラーナハの芸術美は、《ヴィーナス》、《正義の寓意》に代表される独特の女性の裸体にあります。
当時のイタリアでは、ギリシャ彫刻のような、立体的な理想的なプロポーションで描かれていたのに対し、クラーナハは、少女のような華奢な、凹凸のない女性の裸体を描いています。それがまた、これまでにない、新しいエロティシズムを創り出したのです。
クラーナハは、見る人の視線を計算し、欲望をかきたて、絵の中に惹きつけているのでしょう。
誘惑する絵 女性のちから
クラーナハは神話や聖書の物語を題材にした作品を多く描きましたが、代表作のひとつである《ホロフェルネスの首を持ユディト》は、衝撃的でした。
残虐に首を切断された男の顔は、リアルに描かれ、男を殺した貴婦人は、人形のように無表情な感じに描かれています。
ユダヤの同胞を救うため、敵の将軍を自分の魅力で惑わせ、斬首したユディトが描かれているのです。
強い女性像として描かれ、冷淡でありながら、その魅惑的な眼差しは、時空を超えて今なお、見る人を魅了し続けます。
絵は人を誘い、また惑わせる ー クラーナハはそうした「誘惑」の作用を絵画に用いました。
宗教改革の「顔」
クラーナハは、宗教改革の立役者の一人であるマルティン・ルターと、親交が深く、肖像画を多く手がけ、ルターによるドイツ語訳の聖書に木版画の挿絵を載せるなど、宗教改革運動に、寄与しました。
宗教改革500年記念となる2017年に、クラーナハの大回顧展が開催されることになりました。
時代を超えて、クラーナハの描いた女性の魅惑的な冷たい視線が、また私たちを魅了することでしょう。
展覧会概要
会期:2017年1月28日(土)~ 4月16日(日)
会場:国立国際美術館
〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55
開館時間:午前10時 ~ 午後5時(金曜日は午後7時)
※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、3/20(月・祝)は開館、翌日(3/21)は休館
料金:一般¥ 1,600( ¥ 1,400 )
大学生¥ 1,200( ¥ 1,000 )
高校生¥ 600( ¥ 500 )
・( )内は20名以上の団体料金
・中学生以下は無料
・心身に障害のある方とその付添者1名無料(証明できるものをご提示願います)
・前売券は、11月21日[月]から2017年1月27日[金]までの販売
・チケット販売:各プレイガイド(セブンチケット、チケットぴあ、ローソンチケットほか主要プレイガイド 手数料がかかる場合がございます。)
・ローソンチケット Lコード:52497
・セブンチケット セブンコード:049-836
・チケットぴあ Pコード:768-029
・国立国際美術館では前売券の取り扱いはしておりません
主催:国立国際美術館、ウィーン美術史美術館、TBS、MBS、朝日新聞社
後援:外務省、オーストリア大使館
特別協賛:大和ハウス工業
協賛:大日本印刷
協力:
オーストリア航空、ルフトハンザ カーゴ AG、ルフトハンザ ドイツ航空、アリタリア―イタリア航空、日本航空、日本通運、ダイキン工業現代美術振興財団
クラーナハ展 -500年後の誘惑- @国立国際美術館 cinefilチケットプレゼント
下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、《クラーナハ展 -500年後の誘惑》チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上3組6名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。
☆応募先メールアドレス info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2017年3月19日 24:00 日曜日
記載内容
1、氏名
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
当選無効となります。
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