ジェイク・ギレンホール主演(『ナイト・クローラー』)の主演最新作『雨の日は会えない、晴れた日は君を 想う』(原題:Demoliton)が 2017 年 2 月 18 日(土)より公開されます。
メガホンを取ったのは、『ダラス・バイヤーズクラブ』『わたし に会うまでの 1600 キロ』などで知られる、ジャン=マルク・ヴァレ監督。
『ナイトクローラー』で狂気的な演技で人々を魅了させたジェイク・ギレンホールが、妻を亡くしたのに涙の一滴すら流せず、自らの感情とう まく向き合えない哀しみと虚しさを、繊細な演技で見事に表現し、新境地を開拓しております。
今回、映画評論家の森直人さんを MC に、総合病院に勤める精神科医でありながら、ミュージシャンとしても活躍されている星野概 念さんをゲストにお迎えし、映画上映後にトークイベントを開催されました。
【日時】 1月11日(水)
【場所】 ユーロライブ(渋谷区円山町1-5KINOHAUS2F)
【ゲスト】 星野概念さん(精神科医・ミュージシャン)
【MC】 森直人さん(映画評論家)
昨年末に試写で本作を鑑賞していた星野さん。登壇後まず感想を聞かれ、これまで映画を観ても泣くことはほとんどなかったにも 関わらず、本作で泣いたことを明かし、「(公開は 2017 年 2 月だが)2016 年に観た映画の中でベスト1でした」と絶賛した。
妻を突然事故で亡くしても、一滴も泣けず、義理の父の一言がきっかけで破壊行動に走る主人公・デイヴィス。彼の精神状態に関して、「妻を急に失って、いきなりそのにショックに正面から向き合うと自分が壊れてしまう。それを知らないうちに抑圧して“無意識 のクローゼット”に閉じ込めてしまっていたのでは」と解説した。
ブルドーザーで家を破壊するなど、常軌を逸した行動をするディヴィス を、「現実だったらその前に入院とかしてると思うんですけど(笑)」と、冷静な診断で会場を笑わせた。
デイヴィスが変化していくきっかけとなる、シングルマザーのカレンと、その息子・クリスの話題になると、カウンセリングにおいて重要なポイントは、“傾聴と共感”と語った星野さん。自動販売機の不具合というクレームから、自分のストーリーを手紙としてカレンに送り続け、彼女もそれを受け止め続けたことが、デイヴィスにとっての心の拠り所であったと解説した。
また、ある秘密を抱え、劇中でデイヴィスとともに家を破壊し、ラストにとっておきの仕掛けをするカレンの息子・クリスとの関わりについては、「あんな風に子供と一緒になって踊ったり、家を壊したり、大人が“退行する”時って癒しに繋がる瞬間なんです。夏祭りや神輿を担いで大人たち我を忘れて熱くなると時と似ているんですけど、その退行もまた、デイヴィスにとっての治療になったのでは。」 と語った。
作品について熱く語る中、原題が『DEMOLITION(破壊)』であるにも関わらず、『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』という邦題に関しての話題になった際、「もうこれを話したくて堪らないんですよね!」と前のめりに。「原題と邦題は、主人公の心の変化、つまり before/after を表している秀逸なタイトルだと思います。僕が泣いたのは(邦題の)理由がわかったシーンだったんです。カレン&クリス親子との関わりが救いとなり、デイヴィスの“無意識のクローゼット”を開ける隙間ができた。“無意識のクローゼット”に、もし番人がいるとしたら、『今なら(どんな現実でも)向き合えるから、この感情行ってよし!』ってその扉を開けたんじゃないかなと思って、涙が出ました」と語った。
精神科医ならではの専門的な視点で考察しつつも、「偉い先生もたぶんこうやって言うと思うんですけど・・」という謙遜したフレーズ をところどころで挟み、初めてのトークショーとは思えない程会場を笑わせた星野さん。「まだ 4 時間ぐらい喋れます」と作品への熱い思いを口にし、大盛況のうちにイベントは終了した。
星野概念さん(精神科医・ミュージシャン) twitter:@gainenhoshino
総合病院に勤務する精神科医。執筆も行い、連載は Web『Yahoo!ライフマガジン』で「めし場の処方箋」、Web『MODERN FART』 で「こころと音楽の相談室」、雑誌『CREA』で「精神科医は BAR にいる」、雑誌『BRUTUS』で「本の診察室」などの他、様々な場所へ の寄稿などを行う。音楽活動は、コーラスグループ星野概念実験室、ユニット JOYZ、タマ伸也氏(ポカスカジャン)とのユニット「肯定 s」の他、□□□(クチロロ)のサポートギターなど。また、毎週金曜日 21 時〜の bayfm「タマ伸也の存知アップ radio」でアシスタント パーソナリティをつとめている。
本作は、『ダラス・バイヤーズ・クラブ』『わたしに会うまでの 1600 キロ』の監督・ジャン=マルク・ヴァレの待望の最新 作。「僕は幸せを掴もうともがいている人に惹かれる。この映画は人生を再び始めるための、勇気いる旅路が美しかったんだ」 と語り、何事にも無感覚になっている主人公の心の迷いに寄り添いながら、美しい映像と共にエモーショナルに描き切った。 そして、『ナイトクローラー』で狂気的な演技で人々を魅了させたジェイク・ギレンホールが、妻を亡くし、自分を見失った 空虚な男の脆さを、繊細な演技で見事に表現。また、ナオミ・ワッツが、ジェイク演じるディヴィスの心を溶かしていくシ ングルマザーを演じている。
■ストーリー
妻が死んだ。君のドレッサーも人生も、ただ壊すしかなかった。
失ったものを取り戻すために―。 ディヴィス(ジェイク・ギレンホール)は、出世コースに乗り、富も地位も手に入れたウォールストリートのエリー ト銀行員。高層タワーの上層階で、空虚な数字と向き合う、味気ない日々。 そんな会社へ向かういつもの朝、突然の交通事故で美しい妻を失った―。しかし一滴の涙も出ず、哀しみにさえ無感 覚になっている自分に気づいたディヴィス。彼女のことを本当に愛していたのか? 僕の心はどこにいってしまった んだー?「心の修理も車の修理も同じことだ。まず隅々まで点検して、組み立て直すんだ。」義父からの言葉が引き金 となり、ディヴィスは、身の回りのあらゆるものを破壊しはじめる。会社のトイレ、パソコン、妻のドレッサー、そ して自らの結婚生活の象徴である「家」さえも―。あらゆるものを破壊していく中で、ディヴィスは妻が遺していた 幾つもの“メモ”を見付けるのだが・・・
監督:ジャン=マルク・ヴァレ(『ダラス・バイヤーズクラブ』『わたしに会うまでの 1600 キロ』)
原題:Demoliton
出演:ジェイク・ギレンホール ナオミ・ワッツ クリス・クーパー他
上映時間:101 分