海外映画ウェブサイト”tast of cinema"にNikola Gocićによる
「今世紀の誰もがまだ話してない(気づいてない)25本の偉大な映画リスト」が掲載された。
本人によると
”世界ではあまりに多くの映画が毎年公開されてしまうので、全てを見ることは不可能な上、たとえ、特定のジャンルに絞ったとしても見逃してしまう作品があります。これはそのようなリストの25作品です”とのことー。
趣味嗜好もあるので、この25本がそのまま全ていいというわけではないとは思いますが、ほとんどが、日本で紹介されていない、監督も多いので取り上げました。
また、海外では仮に公開時の評判が悪くても、のちに歴史的に名作とされるものや、見直される作品も多いことも事実です。
例えば、スタンリー・キューブリック作品でも『シャイニング』などは公開時は、評論家やメディアからは受けが悪く、マイケル・チミノ監督の『天国の門』などはご存知の通り映画製作者を潰すほどの大コケだったものの近年作品への評価は高まりました。
ある意味、映画が、商業であると同時にアートとして評価のされる側面からも、革新者として作品を作っている人へのリスペクトがあることも事実です。
あくまで、ランキングではなく公開順に列記しています。
日本未公開の作品も多く
(すいません。もし公開していて邦題がわかれば教えていただきたいです。)
非常に、興味深いアート系やカルトな作品も多いので、できる限り動画も拾ってみました。
気になる作品、作家けっこういるはずです。
The American Astronaut (Cory McAbee, 2001) / USA
コリー・マカビー監督 『アメリカン・アストロノーツ』
かなり変わった、宇宙モノ。ちゃんと、トロントにもサンダンスにも正式出品している作品。
Cory McAbeeは、2012年のロサンゼルス映画祭でも“Crazy & Thief”という作品で出品していたりする。作家でもあり、2015年には音楽アルバムもリリースしている。
今作は、日本では、アップリンクで上映された記録があります。
Ascension (Karim Hussain, 2002) / Canada | USA
日本タイトルは「アセンション 終焉の黙示録」として日本ではDVDスルーしている。
Mécanix (Rémy M. Larochelle, 2003) / Canada
Rémy M. Larochelleの今作は、ストップモーションアニメと実写を合わせた映画で、一本しか撮っていないようだが、最近はアーティストとしての活動とアニメ作品が多いようだ。
興味ある方は
http://remymlarochelle.com
Casshern (Kazuaki Kiriya, 2004) / Japan
『CASSHERN』紀里谷和明監督
ご存知の紀里谷和明監督。今作も賛否が多かった作品ですが、ここでは
”荒々しく想像力のあるイメージは、暗いセピア・トーン、粒状のモノクロ、おとぎ話のような色、ネオ・ゴシック・ダーク・ブルーなど同様に魅力的だ。
紀里谷和明はCGI、古典的なストップモーションアニメーションを使って実験を行い、壮大な光景とそのすべてを「マトリックス」の最初の10分間の予算よりも低い予算で作っている”
と書かれています。
Hotel (Jessica Hausner, 2004) / Austria ジェシカ・ハウスナー
2001年『Lovely Rita ラブリー・リタ』、2009年には新作『ルルドの泉で』を発表している。
今作は日本ではビデオスルー。
ジェシカ・ハウスナー監督はオーストリア生まれの女性監督で、カンヌ国際映画祭の常連でもあり2014年には長編6作目となる『Amour fou』をある視点部門に出品している。
A Dog’s Dream (Angelos Frantzis, 2005) / Greece
ギリシャの監督でコンスタントに作品を発表。2015年『Symptoma 』2017年は『Virus』を発表予定。
Black Night (Olivier Smolders, 2005) / Belgium
今作では韓国の富川国際ファンタスティック映画祭で受賞している作品(未来部門)。
長編作はこの1本だが、コンスタントに短編などを発表して受賞している。ベルギーの監督。
Jade Warrior
(Antti-Jussi Annila, 2006) / Finland | Netherlands | China | Estonia
フィンランド、エストニア、中国などの合作のカンフー映画だという。
第27回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭でヨーロッパ・コンペティション グランプリ『Sauna』フィンランド・チェコ合作で受賞している。
日本では、ビデオスルーした模様。
Sakuran (Mika Ninagawa, 2006) / Japan
『さくらん』蜷川実花監督
ご存知、安野モヨコの漫画作品を蜷川実花が映画化した作品。
最近海外映画サイトで蜷川実花の名前が出だしており、その代表作となっている。
このまま海外評価が進みそうですね。
Starfish Hotel (John Williams, 2006) / Japan
『スター・フィッシュホテル』 ジョン・ウィリアムズ監督
つい先日まで、フランツ・カフカの『審判』を東京で撮ろうとクラウドファンディングを募集していました。この作品『スターフィッシュホテル』は、佐藤浩市、木村多江主演で、ルクセンブルグ国際映画祭でグランプリを獲得しています。他には、『佐渡テンペスト』など。
La Antena (Esteban Sapir, 2007) / Argentina
アルゼンチンの鬼才と言われるエステバン・サピール監督。
今作ではマラガ国際ファンタスティック映画祭でグランプリを初め幾つかの映画祭で受賞している。
Milky Way ”Tejút” (Benedek Fliegauf, 2007) / Hungary
バネデク・フリーガオフ監督は、2004年ハンガリー批評家賞を「Dealer」で獲得し、2007年今作でハンガリー映画ウィークで特別賞2012年には「Csak a szél」でベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞しています。日本では、エヴァ・グリーンの主演した『愛を複製する女』だけがDVDスルーしています・
Written (Byeong-woo Kim, 2008) / South Korea
日本では、今作の次に作ったハ・ジョンウ主演の『テロ,ライブ 』が公開されています。この作品では釜山批評家新人監督賞を受賞。
1 (Pater Sparrow, 2009) / Hungary
1978年生まれのハンガリーの映画や舞台の美術家としても活躍する監督。この作品で、ハンガリー映画ウィークで5冠。またハンガリー批評家賞も獲得。世界の映画祭でも多く受賞した。
Heartless (Philip Ridley, 2009) / UK
『ハートレス』フィリップ・リドリー監督
ポルトガルのFantasportoー(Oporto International Film Festival)で作品賞と監督賞と主演男優賞の3冠を受賞。イギリスのリーズ・フィルム・フェスティバルでもグランプリ作品。
Beyond the Black Rainbow (Panos Cosmatos, 2010) / Canada
バンクーバー映画批評家協会のカナダ部門で最優秀監督賞を受賞している。まだ監督作品はこの1本だが、日本で公開されたドキュメンタリー映画『VHSテープを巻き戻せ!』ではプロデューサーでクレジットされている。
Shit Year (Cam Archer, 2010) / USA
1981年生まれのアメリカのインディペンデントの映画界で注目されている作家。今作でカンヌ国際映画祭でデビューを飾った。
Alois Nebel (Tomáš Luňák, 2011) / Czech Republic | Germany
カメラに撮影したモデルの動きをトレースして、アニメーションにおこすロトスコープで製作され、2011年のベルリン映画祭(コンペティション外部門)やトロント映画祭(ディスカバリー部門)など立て続けに出品された作品。物語は、フィルムノワール---。
The Baron (Edgar Pêra, 2011) / Portugal
ポルトガル生まれの監督。ジャン=リュック・ゴダール監督、ピーター・グリーナウェイ監督、そしてエドガー・ペラ監督による3Dオムニバス作品「3X3D」なども発表しているが、今ポルトガルで、実験性を持ちうる前衛的な監督です。
The Legend of Kaspar Hauser (Davide Manuli, 2012) / Italy
ジェノバ国際映画祭のスペシャルメンションやサンフランシスコインディーフェスなどの受賞作品。主演は、ヴィンセント・ギャロ。
Attila Marcel (Sylvain Chomet, 2013) / France
フランスの、アニメーション作家、映画監督。『ベルヴィル・ランデブー』の監督として2003年のアカデミー賞にて長編アニメ賞、オリジナル歌曲賞の2部門でノミネート。今作が初の実写作品。
アメリのプロデューサーと組み日本では『僕を探しに』という邦題で公開された。
Field of Dogs (Lech Majewski, 2014) / Poland | Italy | Sweden
ポーランドの映画監督、作家、画家と多才な活躍をするレヒ・マジュースキー。日本公開作では、『ブリューゲルの動く絵』
Demon (Marcin Wrona, 2015) / Poland | Israel
監督のMarcin Wronaは、これが長編3作目だったが、この作品がグディニャ・ポーランド映画祭でお披露目された直後に自殺したという(享年42歳)。
Poison Berry in My Brain (Yūichi Satō, 2015) / Japan
『脳内ポイズンベリー』佐藤祐市監督
日本で昨年公開された『脳内ポイズンベリー』主演は、真木よう子
共演は西島秀俊、神木隆之介、吉田羊など。監督の佐藤祐市は3本目の映画『キサラギ』が第31回日本アカデミー賞・優秀作品賞など数々の賞を獲得。自身も、2007年新藤兼人賞・銀賞、日本アカデミー賞・優秀監督賞などを受賞している。
“La Jeune Fille sans mains”
The Girl Without Hands (Sébastien Laudenbach, 2016) / France
初長編作だが、今年のアヌシー国際アニメーション映画祭では審査員特別賞を受賞した。
グリム童話の一編から、作られているが筆に筆致が水墨画のようで、味わいのある作品。