パリを拠点に、映画音楽からエレクトロミュージックまで幅広く世界で活躍し、ホウ・シャオシェン、ジャ・ジャンクーなど世界の名匠たちを魅了してきた音楽家・半野喜弘の監督デビュー作『雨にゆれる女』が、10月25日(火)から開催される日本随一の映画の祭典、第29回東京国際映画祭「アジアの未来部門」に正式出品されることが決まりました!
2013年に新設され、今回で3回目となる「アジアの未来部門」は、アジア新鋭監督の登竜門といわれ、アジア各国から選りすぐり10作品が出品される。その中で選ばれる日本映画は1本のみ。新人作品として日本映画の枠を超えて、元気なアジア映画群の中に入れても光を放つものが選ばれる。音楽家としてアジア映画の名匠たちとのコラボレーションを重ねてきたキャリアを誇る半野喜弘が、その独自のセンスを如何なく発揮した『雨にゆれる女』が、堂々日本代表映画に選出されました。
本作は、濃厚な色彩、優美な旋律、登場人物の息づかい…現代の日本映画には稀な質感の映像で紡ぐサスペンスフルな愛の物語。14年前のパリで、まだ俳優になる前の青木崇高と半野喜弘が出会い、いつか一緒に作品を作ろうと誓い合った。そして10年後の東京で2人は再会し、『雨にゆれる女』は生まれました。
青木崇高は、初の長編単独主演作となる本作で、別人として孤独に生きる主人公を繊細な演技で体現。『るろうに剣心』三部作などで知られる豪快なイメージとはかけ離れた、今まで見たことのない顔を見せている。ヒロインは、ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍する期待の若手女優・大野いと。健次を惑わす謎の女として大人の色香を漂わせ、女優としての新たな魅力を開花させています。
【コメント】
■半野喜弘監督
青木崇高との出会いから14年、誰から望まれた訳でもなく私たちの熱量だけで突き進んだ『雨にゆれる女』が私にとっての初監督作になり、青木にとっての初単独長編主演作になったというのも必然でした。普遍に挑み革新を掴むという私の欲望はもはや狂気ですらあるのかもしれませんが、それこそがこの映画の中に込めた未来への希望なのです。
そういう意味でも、『アジアの未来』と題された部門へセレクションされたことを嬉しく思います。過酷な現場を支えてくれたスタッフ、青木崇高/大野いとをはじめとする俳優陣、そしてこの映画を応援してくれている全ての人々に感謝します。
■青木崇高
東京国際映画祭「アジアの未来部門」への出品、おめでとうございます!
スタッフ、キャスト、関係者、応援してくださった方々、本当にありがとうございました。このようないい報告が出来ることを心から嬉しく思います。
撮影は大変な毎日でしたが、半野監督の才能をずっと側で見られて幸せでした。
僕と半野監督との不思議な出会いのように、この作品が映画祭を通じてさらに出会いを運んでくれることを祈っています。
■大野いと
緊迫した撮影が毎日続き、スタッフもキャストも、一丸となって挑んだ作品です。
たくさんの壁にぶつかり合いながら撮影したので私自身大きく成長でき、濃厚な撮影現場の空気が画面から表れていて、とても素敵な作品になっています。私にとってとても思い入れの強いこの作品を、東京国際映画祭「アジアの未来部門」の日本作品1本に選んでいただき、とてもうれしいです。
そして、本作の監督である半野喜弘が音楽家として関わった作品が、なんと2作も同じく東京国際映画祭に出品されることも分かった。
一本はクロージング作品に選ばれた森義隆監督、松山ケンイチ主演『聖の青春』。そしてもう一本は、同映画祭史上初の試みとなるオムニバス映画製作によって生み出された『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』。
アジアを代表する3名の監督がそれぞれの目線から「アジアで共に生きる(Live together in Asia)」をテーマに描いた。その中で行定勲監督が手掛けた『鳩 Pigeon』に音楽を提供している。さらに、青木崇高も出演作『雪女』(杉野希妃監督・主演)のコンペティション部門出品が決まっており、今年の東京国際映画祭は半野喜弘監督と青木崇高にとって、自らの存在と秘めた才能を東京から世界へ認識させる恰好の舞台になりそうだ。
【ストーリー】
本当の名を隠し〝飯田健次”という別人としてひっそりと暮らす男。人との関わりを拒む彼の過去を知る者は、誰もいない。
ある夜、突然同僚が家にやってきて、無理やり健次に女を預ける。謎の女の登場で、健次の生活が狂いはじめる。
なぜ、女は健次の前に現れたのか。そしてなぜ、健次は別人を演じているのか。お互いに本当の姿を明かさないまま、次第に惹かれ合っていくふたり。
しかし、隠された過去が明らかになるとき、哀しい運命の皮肉がふたりを待ち受けていた―。
監督・脚本・編集・音楽:半野喜弘
出演:青木崇高 大野いと 岡山天音
企画・製作プロダクション:オフィス・シロウズ
配給:ビターズ・エンド 2016年/ 日本/ カラー/ 1:1.85/ 5.1ch/83分
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