「LuckyHouse のポートフォリオ」14 レベッカ・ホール
『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』『ザ・ギフト』と出演作2本が相次いで公開!
1982年5月19日、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーを創設した舞台監督のピーター・ホールとオペラ歌手だった母親の間に生まれたレベッカ・ホールは、生粋のロンドンっ子だ。
2002年に父親が演出したジョージ・バーナード・ショーの「ウォレン夫人の職業」で初舞台を踏んだ彼女は、その後も父が演出するる作品に次々と出演して高い評価を獲得し、2006年の「Starter for Ten」で映画デビューを飾った。続くクリストファー・ノーラン監督作『プレステージ』(06年)では、その好演により数々の新人賞候補となる。
2008年、ウディ・アレン監督のラブコメ映画『それでも恋するバルセロナ』のヒロイン役に抜擢されて一躍脚光を浴び、ゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされた彼女は、以降も舞台出演を重ねつつ、『フロスト×ニクソン』(08年)、『ドリアン・グレイ』(09年)、『善意の向こう側』『ザ・タウン』(10年)、『アウェイクニング』(11年)、『噂のギャンブラー』『バレーズ・エンド』(12年)、『アイアンマン3』『クローズド・サーキット』『暮れ逢い』(13年)、『トランセンデンス』(14年)、『ザ・ギフト』(15年)、『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(16年)と、注目作に立て続けに出演。
そしてこの度、最新出演作2本が相次いで日本公開される運びとなった。
まずは、巨匠スティーブン・スピルバーグが久々にファンタジー映画の監督を務めたことで大きな話題を集め、今年のカンヌ国際映画祭で大々的にワールドプレミア上映された『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(9月17日公開)。
イギリスの児童文学作家ロアルド・ダールの名作「オ・ヤサシ巨人BFG」を原作とする『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』は、マーク・ライランス(スピルバーグ監督の前作『ブリッジ・オブ・スパイ』でアカデミー賞助演男優賞を受賞!)が演じる心優しい巨人BFGと、孤独な10歳の少女ソフィー(ルビー・バーンヒル)の心温まる友情と奇想天外な冒険を描いた珠玉作である。
レベッカ・ホールは、英国女王(演じるは「ダウントン・アビー」のイザベル役で知られるペネロープ・ウィルトン)に仕える女官のメアリー役で、出演場面は少ないながら、イギリス最大の危機を救うべく、女王が暮らすバッキンガム宮殿に不法侵入したBFGとソフィーの姿に驚きつつも、温かく迎え入れるやさしいキャラクターを好演した。
一方、10月28日に公開される『ザ・ギフト』は、『BFG』とは打って変わり、現代社会を舞台にしたサスペンスフルなサイコスリラーで、あのモダンホラーの巨匠スティーヴン・キングも絶賛した秀作だ。
夫の地元カリフォルニア郊外に転居し、幸せな新生活を始めた夫妻サイモン(ジェイソン・ベイトマン)とロビン(レベッカ・ホール)。そんな2人のもとに、夫のかつての同級生だと名乗る男ゴード(ジョエル・エドガートン)が現れ、様々な贈り物を届けてくるようになる。だが、彼の行動は徐々に度を越し始め……。
本作は『華麗なるギャツビー』『ブラック・スキャンダル』『ジェーン』等で知られるオーストラリア出身の演技派俳優ジョエル・エドガートンの長編初監督作にして、自ら出演&脚本&製作も兼任した意欲作である。
『ザ・ギフト』でのレベッカ・ホールは、次第にエスカレートしていく“贈り物”に困惑し、神経をすり減らしながらも“性善説”をモットーとして対処するヒロインを大熱演している。
かくのごとく全くテイストの異なる『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』と『ザ・ギフト』だが、レベッカ・ホールの演技を見比べるには絶好の機会なので、ともにお見逃しなきように!
(Text by Yoko KIKKA)
吉家 容子(きっか・ようこ)
映画ジャーナリスト。雑誌編集を経てフリーに。
シネフィルでは「フォトギャラリー」と気になるシネマトピックをお届け!
『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』
9月17日(土)全国ロードショー
『ザ・ギフト』