世界が絶賛した、ドキュメンタリー『ミリキタニの猫』が再び日本で上映中!
2006年に劇場公開され大ヒットを記録した傑作ドキュメンタリー映画『ミリキタニの猫』が、公開から10年、新作短編を携えて『ミリキタニの猫《特別篇》』として帰ってきました!
80歳の日系アメリカ人画家はサクラメントに生まれて広島で育ち、2001年には、世界貿易センターが間近に見えるニューヨークの路上で暮らしていた。相当頑固でおちゃめなじじぃのジミー・ミリキタニのドキュメント 『ミリキタニの猫』。
今作は、トライベッカ映画祭で観客賞、パリ国際映画祭観客賞をはじめ、世界各国の映画祭で受賞を重ね世界で称賛された作品。東京国際映画祭《日本映画・ある視点》部門、最初の最優秀作品賞の受賞作でもあります。
ジミー・ミリキタニは晩年を穏やかに過ごし2012年10月12日、ニューヨークで波乱に満ちた92年の生涯を終えました。『ミリキタニの猫』の撮影が始まったのは2001年だが、それ以前のジミーを知る人々の証言と、当時のジミーの写真そしてジミーの描いた絵などでつづられた、ジミーの過去をめぐる新作の短編映画『ミリキタニの記憶』が完成。
今回の上映は《特別篇》として、以前の日本公開された本編『ミリキタニの猫』に、新作の短編を加えて同時上映する2本立てとなっています。新作の短編『ミリキタニの記憶』は、前作『ミリキタニの猫』の製作をしたマサさんが自らメガホンを取りました。
彼は、NYの路上で絵を描き続けた---彼を通して日本とアメリカの戦争の歴史、そして真のアーティストの生き様が見えてきます。
9月9日までは1日3回の上映(渋谷ユーロスペース)
●8月27日(土)~9月9日(金)・・・1日3回の上映です。
10時45分~ 14時55分~ 19時05分~
●9月10日(土)~9月15日(木)・・・1日1回の上映です。
10時45分~
海外上映時のポスター
『ミリキタニの猫《特別篇》』
(1) 『ミリキタニの猫』
[2006年/アメリカ/74分/監督 リンダ・ハッテンドーフ]
”ミリキタニ”ってなに? 世界各地の映画祭で反響を呼んだドキュメンタリーが帰ってくる!
ニューヨークの街角で毎日毎日、猫を描き続ける80歳の路上アーティストがいた。サクラメント生まれ、ヒロシマ育ちだと言う。猫の絵に秘められた思いはなんなのか。
猫を描き続ける頑固な男の、数奇な運命をたどった人生が徐々にあきらかになっていく。
そして9月11日がやってきた・・・。
同時上映
(2) 新作短編『ミリキタニの記憶』
[2016年/日本/21分/監督 Masa]
新作の短編は、ミリキタニの「過去」をめぐる旅・・・。
絵や写真とともに、証言によって知られざる過去があきらかになっていく。
日本を巡回して評判となった「尊厳の芸術展」。太平洋戦争中に日系人強制収容所で作られた美術工芸品・日用品を集めたこの展覧会でもミリキタニの絵が展示されていた。
数多く寄せられた《推薦コメント》
映画『ミリキタニの猫』は、めったにない出会いにはじまり、めったにない出来事をきっかけに、めったにない共同生活を経て、これもめったにあるとはいえないひとまずの幸福なシーンで終るドキュメンタリイだが、見終わるとその「めったにないこと」が実は過去でも現代でもどこにでも起こりえる出会いであり悲劇であり希望でもあることを見事に語っていて、その柔らかくて力強いスケールの大きさに深い敬意を抱いた。
――――山田太一/脚本家・作家
ミリキタニさんは日本人の誇りで、大好きな映画です。
――――寺島進/俳優
アーティストとして生きる信念を貫き通したミリキタニ氏の背景は日本とアメリカの戦争の歴史だった。2つの国の間でプライドを失うことなく見事な生き方が記録されている美しい映画である。
――――石内都/写真家
ミリキタニは、情念こそが創造を生む原動力と教える。広島の原爆投下への怒りの赤色が彼の行動原理のすべて。この映画に話者の生きた言葉がなす「対話」と情念を共有する「ドキュメンタリードラマ」の魅力のすべてがある。
――――小林保彦/青山学院大学名誉教授
憎しみとともに生きてきたのかもしれない。それが自分を閉じ込め、苦しめてしまう。いろいろなことをあきらめてきたのかもしれない。人との出会いが、誰かを許し、なにかを忘れさせてくれることを、あらためて気づかせてくれた。憎しみを許して、またそこから生きていくのだな。きっと。
――――矢内原美邦/ニブロール主宰、振付家
時代に振り回されながら、ニューヨークの街角で絵を描き続けたミリキタニ。
猫と故郷の空と、戦争への怒り。
孤独の中、ひたむきに生きる姿に感動してボロ泣きでした。
――――小山田壮平/ミュージシャン
ジミーの猫は万人受けしない。
愛嬌がない。
寝ても起きてもいない、とろんとした顔がない。
鋭い視線の先に何があるのか想像すると怖い。
そうか、これはジミーの目だ。
見ろ見ろ忘れるなと、
自分の目に焼き付けているのだ。
――――最相葉月/ノンフィクションライター
ミリキタニさんの晩年に起きたような素晴らしい出来事が、たとえば2001年9月以後に不当な扱いを受けたアラブ系・イスラムの人たちにも起きたらいいなと思います。そういうことも起きうるのがアメリカという国だと思いたいです。
――――柴田元幸/翻訳家
きょう出会うかもしれない路上の人の人生が、広大な宇宙の入り口だとしたら。『ミリキタニの猫』は、わたしの世界をすっかり変えてしまった。目の前で紐解かれる<本当の話>に、唖然とし、涙しながら、連綿とつづく人の歴史を思う。
――――新井卓/写真家・ダゲレオタイピスト
聖なる河を旅しているような時間だった。この年老いた路上画家の「描きたい!」という迸るほとばしるようなエネルギーはどこから湧き上がってくるのだろうか。その源泉を遡っているうちに、怒りをも超えた静謐な記憶の断片が重層的に露になった。
――――謝 孝浩/文筆家・アスリート
ひさしぶりに本物の物語と出会った。
ニューヨークの街角から始まった小さな友情が、
偶然に導かれて、思いがけないドラマを辿る。
ミリキタニの絵がそうであるように、
最初はモノクロのスケッチであったものが、
いつのまにか、見事に色あざやかな作品になっていた。
――――クラフト・エヴィング商會(吉田浩美 吉田篤弘)/作家・装幀家
ジミーの絵、部屋に飾りたいね
映画を観ながら妻と喋った
だけど家には二匹のネコがいるから
彼らをかわいがることにした
――――御徒町凧/詩人
アーティストがどういうものなのか、
初めて、
わかった気がする。
――――本谷有希子/作家・劇作家
彼はまごうことなく自らを「アーティスト」だと言う。
過酷にも見える人生の最中で亡くなった友のために
“アーティストであり続ける”という行為が唯一の弔いの形なのだと思った。
――――森山直太朗/歌手
21世紀初頭のニューヨーク、偶然にカメラは回り始める。氷点下の路上で黙々と描き続ける、老いた日系人ホームレス画家の数奇な運命と、現在進行形の世界史が、9.11テロを境に激しく衝突し、折り重なりあい、やがて、かすかな希望が映し出されるまで。とても少人数のクルーで、個人と世界に光を投げかけ、広く深い射程を捉えきった、幾度となく再生され、いつまでも語り継がれるべき、ドキュメンタリーフィルムの孤独な傑作。
――――七尾旅人/シンガーソングライター
国家と俗世間に対峙するアーティストとしての強い自恃。その姿には重みと同時に軽みもあって、自由のあり方を私たちに問いかける。
――――谷川俊太郎/詩人
80歳の孤高のホームレス画家と若い映画監督が乗ったボートは、
9月11日を境に先の見えない水際を漂い、大河へと漕ぎだしていく。
極寒のニューヨークの地べたから始まった強靭で壮大な奇跡を見届けてほしい。
――――篠原勝之(ゲージツ家 KUMA)
特別編 予告
ミリキタニの猫《特別篇》
「ミリキタニの猫」 原題:The Cats of Mirikitani
監督/製作/撮影/編集:リンダ・ハッテンドーフ
製作/撮影:マサ・ヨシカワ
編集:出口景子
音楽:ジョエル・グッドマン
2006年/アメリカ/74分/DCP・ブルーレイ
(c)Lucid Dreaming, Inc.
「ミリキタニの記憶」
監督/製作:Masa
編集:出口景子 石田優子 杉田協士
撮影/スチール:御木茂則 芦澤明子
音楽:SKANK/スカンク
2016年/日本/21分/DCP・ブルーレイ
(c)masahiro yoshikawa
配給・宣伝:湖畔八丁目
宣伝:スリーピン
渋谷ユーロスペースで絶賛上映中!その後全国巡回
上映時間の確認は