映画『エイミー(原題: Amy)』
2011年に27歳の若さで亡くなった歌手エイミー・ワインハウスの知られざる素顔と波乱の人生を追ったドキュメンタリで、第88回(2016年)アカデミー賞で長編ドキュメンタリ賞を受賞。
2006年発売のセカンドアルバム「バック・トゥ・ブラック」は全世界で1200万枚以上を売り上げ、第50回(2008年)グラミー賞では5部門を受賞するなど世界で人気を集めたエイミー・ワインハウス。カリスマ性と抜群の歌唱力でファンを魅了し、多くのミュージシャンから愛され、輝かしいキャリアを誇る一方、さまざまなスキャンダルでも注目を浴びた彼女の真実の姿を、未公開フィルムやプライベート映像と共に映し出す。
監督は『アイルトン・セナ ~音速の彼方へ』などのアシフ・カパディア。
嗚呼、本当に惜しい…。改めてやっぱり歌声の素晴らしさといい、存在感っていうのかな、雰囲気の素晴らしさといい、驚くね。改めて曲もカッコイイしさ。
ドキュメンタリとしても良くできてるよ。身内が撮っていたであろうホームビデオの映像や写真、ゴシップ映像と、音声による関係者の証言などで作られているので、リアリティたっぷりにエイミー・ワインハウスの人間味たっぷりな言動や人間そのものがありのままに浮き彫りにされている。
音声粗くて聴き取りにくかったり(字幕あるけれど)、映像には酔いそうになったり、情報の偏りが気になったりはするけれど…。それにしても無名の若者がスターにまで上り詰め、酒とドラッグに溺れて、そして亡くなるという波乱の人生は圧巻の展開。
詳細に記録されているから余計に衝撃的だよ。観ていてツラくてさ、正直早く終われとすら思った…(関係者のみなさまごめんなさい)。どれだけ才能に恵まれていようが満たされないところにすごく人間臭さを感じたり、何か?
誰か? に依存しないと存在できないところに人間の弱さを感じたり、人との出遭いひとつでこんなにも人生って変わるんだなあと驚いたり、一方で親の愛が足りないと人生って変わるんだなあと思ったり…。
でもね、ボクらにとっては歌姫であり、セレブだったけれど、この作品ではナイーヴで真っ直ぐなただの少女なんだよね。
いつの間にか一緒に笑って、一緒に喜んで、一緒に泣いた。彼女とお父さんが崇拝するトニー・ベネットとのデュエットのシーンにはグッと来た。
ティーン時代の声に震え、デビュー前後のパフォーマンスには泣いた。この恐ろしくも素晴らしい才能がもうこの世に存在しないのかと思うと信じられない…。是非とも映画館の音響で素晴らしい歌声を聴いて欲しい。さあ、CD聴き直すゾ。
シネフィル編集部 あまぴぃ