20世紀後半のハリウッドで、旋風を巻き起こした傑作映画群を支えた伝説的銀行マン、­フランズ・アフマンの波乱万丈、秘話にみちた軌跡を描く感動のドキュメンタリー。

画像: http://eufilmdays.jp/films/2016/special-program-2-hollywood-banker/

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1970年代半ばから1990年代にかけて、アメリカ映画界では新興映画会社の送り出す作品に市場を左右されるケースが頻繁に起きていた。
彼らはそれまでのメジャースタジオ映画社にない題材を取り上げ、斬新なキャスティングで注目作品を量産していたのだ。ディノ・デ・ラウレンティス・カンパニー、キャノン、ヘムデイル・ピクチャー、カロルコといった新興映画会社はアメリカ映画界を活性化し、世界中にその名を知らしめた。

彼らが生み出した『コンドル』、『キングコング』(1976年版)、『ターミネーター』、『ランボー/怒りの脱出』、『薔薇の名前』、『プラトーン』、『恋人たちの予感』、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』といった作品群は今も愛されているが、こうした作品の製作をサポートしたのが、ひとりのオランダ人銀行マン、フランズ・アフマンだったことは意外に知られていない。
本作はアメリカ映画界を陰で支えたアフマンの波乱万丈の軌跡を、本人のインタビューとゆかりの映画人が語る、映画ファン感涙のドキュメンタリーである。映画ビジネスを知るには格好の作品となっている。

ロッテルダムの銀行員にすぎなかったアフマンは、イタリア出身の大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスの知己を得て、ともに“プリセールス”というセールスのシステムを開発した。この方法を利用してアフマンは新興映画会社に次々と融資を行い傑作を生みだしていった。
アフマンのもとに参じたのはデ・ラウレンティスを筆頭に、キャノンを率いるイスラエル人メナハム・ゴーランとヨーラム・グローバス、カロルコ・ピクチャーズのレバノン人出身マリオ・カサールとハンガリー出身のアンドリュー・G・ヴァイナをはじめとする映画会社トップから製作資金集めに奔走するプロデューサー、監督に至るまで多岐に及んだ。アフマンがカンヌをはじめとする国際映画祭に顔を出すと、面会を希望する映画人が跡を絶たなかったという。

“プリセールス”システムによって各国のインディペンデント配給会社もアメリカ映画の大作を手がけることが可能になり、日本でも東宝東和、日本ヘラルド、松竹富士、GAGA などの会社がその恩恵に浴することになった。ひとりの銀行マンが編み出したシステムが世界の映画市場を大きく変えた――その一部始終が本作によって明らかになる!

さらに本作のもうひとつの魅力は、監督したのがアフマンの愛娘ローゼマインであることだ。病魔に侵され死期の近づいたアフマンが、自伝代わりに、娘の向けるカメラに向かって思い出を素直に語っていく。その膨大な映像とともに、ローゼマインは父の死後、ゆかりの映画人を訪ねて、父の軌跡を補強していった。
画面に登場するのはケヴィン・コスナーからオリヴァー・ストーン、ポール・ヴァーホーヴェンをはじめ錚々たる顔ぶれ。それぞれ個性もさまざまに思い出を語り、その人となりが伺える。

1987年に開催された第59回アカデミー授賞式では、アフマンが手がけた『追想のかなた<未>』、『眺めのいい部屋』、『プラトーン』が8つのアカデミー賞を受賞した。
『プラトーン』のプロデューサーであるアーノルド・コペルソンは授賞式で「本当に必要とする時にフィリピンのジャングルに資金を用意してくれた」と、公の場でフランズへの感謝の意を表した。
全編、映画と映画ビジネスの内幕が明らかになると同時に、これは愛娘がまとめあげた、映画を愛しぬいた銀行マンの「エンディング・ノート」だ。

画像: 『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』予告編 www.youtube.com

『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』予告編

www.youtube.com

フランズ・アフマンが関わった主な作品

1975年『コンドル』
1976年『キングコング』
1980年『スーパーマンII』
1981年『Charlotte』
1983年『スーパーマンⅢ/電子の要塞』 
1984年『ターミネーター』
1985年『眺めのいい部屋』
1985年『ランボー/怒りの脱出』
1985年『グレート・ウォリアーズ/欲望の剣<未>』
1986年『薔薇の名前』
1986年『勝利への旅立ち』
1986年『プラトーン』
1986年『ロンリー・ブラッド』
1986年『ロンリー・ハート』
1986年『追想のかなた<未>』
1987年『或る人々<未>』
1987年『殺しのベストセラー<未>』
1987年『バーフライ』
1988年『THE BOOST/引き裂かれた愛』
1988年『クリミナル・ロウ』
1988年『シュワルツェネッガー/レッドブル』
1988年『ランボー3/怒りのアフガン』
1989年『ドライビング Miss デイジー』、
1989年『バーニーズ/あぶない!?ウィークエンド』
1989年『アウト・コールド』
1989年『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』
1989年『恋人たちの予感』
1990年『天国に行けないパパ』
1990年『エア★アメリカ』
1990年『蝿の王』
1990年『ダンス・ウィズ・ウルブズ』
1990年『トータル・リコール』
1990年『ジェイコブス・ラダー』
1991年『ターミネーター2』
1991年『地獄のハイウェイ<未>』
1991年『マネキン2』
1991年『L.A.ストーリー/恋が降る街』
1992年『ユニバーサル・ソルジャー』
1992年『氷の微笑』

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