『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち(原題: The Eichmann Show)』
ナチス・ドイツの戦犯アドルフ・アイヒマンの裁判を通して世界中にホロコーストの実態を知らしめようと奮闘した、テレビマンたちの姿に迫る感動の人間ドラマ。実在の人物をベースに、若手プロデューサーと撮影監督がさまざまな困難を乗り越えて信念を貫く様子を描写する。
テレビドラマ「SHERLOCK / シャーロック」シリーズのワトソン役などで知られるマーティン・フリーマンが主演。テレビドラマ「WITHOUT A TRACE FBI 失踪者を追え!」シリーズのアンソニー・ラパリアが共演。
監督は『アンコール!!』のポール・アンドリュー・ウィリアムズ。
ナチスの大罪とホロコーストの真実を暴く男たちの気概に圧倒される。もうね、心が揺さぶられたというか…重過ぎる…苦しい…。
これが事実だと受け止められない現実があるというか…。知らなければいけないんだろうな。眼を背けたいのに眼がスクリーンに釘付け…必死に向き合った感じ…。
実際のアイヒマン裁判やナチスの収容所などの記録映像など実録映像が多数挿入されるの。
特にアイヒマン役は本人が過去の実録映像で出演してるという構成、演出は秀逸。アイヒマンの裁判中、一切の感情を露にせず、ひたすら無表情な様子が印象的だった。裁判シーンは緊迫感と興奮がすごい…衝撃もすごい…鳥肌立ちっぱなし。実際の裁判映像と並べるとドラマ部分がちょっと物足りなくも感じるけれど、ドラマに深みが増してるのは確か。裁判シーンが多いため画変わりがなく冗長、退屈になりがちなところを96分にまとめてるところも潔くて良いね。
多くを語らないことでボクらに委ねられた気もするけれど。実話だし、記録もないのかもしれないけれど、アイヒマンの内情をもっと深堀しても良かったのかなあ。「自分に責任はない」と徹底的に主張を続けたアイヒマン、無感情、無感覚でいなければならないと人間に課す戦争の恐ろしさを感じた。暗くて重い過去の過ち…それを知るのは辛いことだけれど、知らないままではいられない…そこから学ばないと。そんなジャーナリズムの真髄を描く力作といって良いんじゃないでしょうか。
見応えたっぷりの超〜ヘビーな作品。
シネフィル編集部 あまぴぃ