2012年に『その夜の侍』で監督デビューを果たし、国内外で高い評価を得た赤堀雅秋の最新作『葛城事件』。
本作は、無差別殺傷事件を起こした死刑囚の家族が崩壊へと向かっていく様をリアリティを持って描き、観る者の心を鋭く抉る濃密な人間ドラマとなっております。
プレスやジャーナリストの間では、「傑作だ」「凄い」「本物の人間ドラマ」という絶賛を受ける一方で、あまりに壮絶な内容に「後味が悪すぎる」「ウチでは紹介できない」という声も挙がり、大きな話題を集める作品です。
本作の主人公・葛城清役を演じるのは名優・三浦友和。理想の家族を求めながらも、崩壊へと向かわせてしまった父親を鬼気迫る迫力で演じています。赤堀監督が「これは三浦友和さんの代表作になると、僕自身は勝手にそう思ってます。」と語るほどの演技を見せます。
このたび、本作の本編映像が解禁となります。
場面は、三浦友和演じる清が、田中麗奈演じる、無差別殺傷事件を起こした葛城家の次男・稔と獄中結婚する謎の女・星野を連れて、
町内のスナックを訪れるシーン。
暗い室内なのにサングラスをかけ、デュエット曲「三年目の浮気」の男性パートだけを一人で熱唱する清。
女性パートではカラオケ音だけが虚しく響く奇妙な光景。星野が「私も歌いましょうか・・・?」と進み出るも無視し熱唱。
歌っている途中で気が済めば、突然「(カラオケを)切れ!」と命令する。
スナックに居合わせた近所の男たちは、息子が死刑囚になったというのに、酒を飲みカラオケに興じ、
あまつさえ横暴に振る舞う清にどん引きしている。葛城清、この男はどこかおかしい・・・。
場面はスナックのソファー席でのやりとりに。近所の男たちに「良かったら一緒に飲もうよ」
「ジジイばっかりでコソコソやってないでさあ・・・」と憎まれ口を叩く清。
「自分の立場ってものをわきまえろよ」「早くこの町から出ていけ!」と言い返す男たちに、清は思い切り灰皿を投げつける。
映画はこのような葛城清の常軌を逸した行動、言動が多数登場し、最悪の父親像を三浦友和が見せる。
「家族全員、どこかいっちゃっていてキャラが立っているのですが、清は特に身近にいてほしくないタイプ。家族はたまらない。」と
三浦友和は語ります。
近年『アウトレイジ』シリーズで演じた非道のヤクザや、ドラマ「極悪がんぼ」で演じた金髪の極悪キャラが、
かつてのイメージと大きく異なると大きな話題になった三浦友和ですが、今回はその印象さえ吹っ飛ぶ、まさに鬼気迫る演技。
理想の家族を求めながらも、一家を抑圧的に支配し、崩壊へと向かわせてしまった父親役は、まさに「新境地」といえます。
【作品情報】
抑圧的で思いが強い父親。
長男はリストラされ孤立。妻は精神を病む。
次男は無差別殺傷事件を起こし、死刑囚に。
そして、死刑反対の立場から次男と獄中結婚した女―――。
壮絶な、ある家族の物語。
親が始めた金物屋を引き継いだ葛城清(三浦友和)は、美しい妻との間に2人の息子も生まれ、念願のマイホームを建てた。
思い描いた理想の家庭を作れたはずだった。しかし、清の思いの強さは、気づかぬうちに家族を抑圧的に支配するようになる。
長男・保(新井浩文)は、幼い頃から従順でよくできた子供だったが、対人関係に悩み、会社からのリストラを誰にも言い出せずにいた。
堪え性がなく、アルバイトも長続きしない次男・稔(若葉竜也)は、ことあるごとに清にそれを責められ、理不尽な思いを募らせている。
清に言動を抑圧され、思考停止のまま過ごしていた妻・伸子(南果歩)は、ある日、清への不満が爆発してしまい、稔を連れて家出する。
そして、迎えた家族の修羅場・・・。葛城家は一気に崩壊へと向かっていく―
三浦友和
南果歩 新井浩文 若葉竜也/田中麗奈
監督・脚本:赤堀雅秋
エグゼクティブ・プロデューサー:小西啓介
製作:杉田浩光 西田圭吾
プロデューサー:藤村恵子
ラインプロデューサー:金森保
撮影:月永雄太
照明:藤井勇
音響:菊池信之
美術:林千奈
装飾:湊博之
衣装:高橋さやか
ヘアメイク:浅野有紀
編集:堀善介
記録:田口良子
助監督:茂木克仁
制作担当:和氣俊之
音楽:窪田ミナ
製作:「葛城事件」製作委員会(ファントム・フィルム テレビマンユニオン コムレイド) 制作プロダクション:テレビマンユニオン
配給・宣伝:ファントム・フィルム 【2016/日本/カラー/DCP/アメリカンビスタ/120分】 PG12 (C)2016「葛城事件」製作委員会