映画『幸せをつかむ歌(原題: Ricki and the Flash)』
かつてロックスターになる夢を追って家族を捨てた女性が、離婚した娘との再会をきっかけに疎遠になっていた家族との絆を取り戻そうとする姿を描いたヒューマンドラマ。
ハリウッドのレジェンドともいうべき名女優メリル・ストリープが主演を務め、実の娘メイミー・ガマーと母娘役で共演。
バンド仲間役を1980年代に一世を風靡したグラミー賞歌手リック・スプリングフィールドが、元夫役を『ワンダとダイヤと優しい奴ら』のオスカー俳優ケビン・クラインがそれぞれ好演した。さらに『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミが監督を務め、『JUNO ジュノ』のディアブロ・コーディが脚本を手掛けるなど、キャスト&スタッフにはオスカー受賞経験者が揃った。
ギターを猛特訓したメリル・ストリープは劇中で圧巻の演奏シーンを披露している。
あらやだ、想像以上にしっかりと“音楽映画”なのよ。
冒頭、バンドの演奏シーンから始まって、音の良さにビックリ。バンドメンバーにリック・スプリングフィールド、リック・ローザス(撮影後にお亡くなりに…。作品は彼に捧げられている)、バーニー・ウォーレルと豪華メンバーだし、ニール・ヤングにギターの特訓を受けたメリル・ストリープは唄もギターも上手い。
こんなメンバー集めちゃうし、俳優の演技を超えてギター演奏しちゃうし、唄っちゃうし、こういうところに米映画の力強さをヒシヒシと感じるわな…。物語的にはそれほど深みもない(おまけに子供が3人もいて焦点がぼやける)んだけれど、メリル・ストリープが見事にハマって、力技でねじ伏せてくる感じといいましょうか(笑)。
淋しさだったり、悪気なさだったり、後ろめたさだったり、子供たちに対するおせっかいだったり、うっとうしさだったり、温かさだったりを実に上手に見せてくれる。家庭と音楽の両方を求めようと踏み出す感じにウルッと来たなあ。空気を変える音楽の力って素晴らしいね。いろいろあってもやっぱり家族だなあ。
シネフィル編集部 あまぴぃ