『無伴奏』がいよいよ3月26日(土)より新宿シネマカリテ他全国にて公開となりました。
原作は直木賞受賞作家、小池真理子の同名小説。
学園闘争真っ只中の1970年前後の仙台を舞台に、耽美で切ない世界が描かれるこの半自叙伝的小説は、1990年に出版されて以来、『恋』『欲望』と並ぶ小池真理子の「恋三部作」として評価と人気の高い話題作です。
クラシック音楽の流れる喫茶店「無伴奏」で出会った4人の激しい恋と青春―。瑞々しく大胆な10代の性と、男女の、そして同性への苦しい恋心を描いた衝撃的なラブストーリーです。
主人公の野間響子には成海璃子。清楚で爽やかな役のイメージの多かった彼女が、本作では一転、激しい想いを抱えるこの役で、少女から大人へと成長する女の性を繊細かつ体当たりの演技で見事に表現しています。
また、響子が恋焦がれる堂本渉には、演技力に定評があり、今後の活躍にますます注目が集まる池松壮亮。繊細な渉の心の揺れを見事に演じ切っています。そして斎藤工が、一瞬の表情に妖艶さのある、どこか翳りのある渉の友人、関祐之介を演じ、non-noモデルの遠藤新菜が、祐之介の恋人・エマ役で大胆な演技に挑戦。メガホンをとるのは、国内外で高い評価を得る矢崎仁司監督(『三月のライオン』『ストロベリーショートケイクス』)です。
■日時:3月26日(土)
■会場:丸の内TOEI1(中央区銀座3-2-17)
■登壇者:成海璃子、池松壮亮、斎藤工、遠藤新菜、中野ミホ(Drop’s)、
矢崎仁司監督
成海璃子
いろいろなものを背負った役柄なので、私自身も「背負うぞ」という覚悟で臨みました。役作りとして、小池先生が実際に描かれたデッサンノートを拝見しました。池松さんはご一緒する時間が一番長かったですが、本当に頼れる共演者。いろんな言葉をくださり、助けていただきました。
池松壮亮
僕が演じた役は、とても微妙なので・・・。マイノリティとして、いろんな本当の心が映ればいいなと思って演じました。成海さんは素晴らしかったですし、斎藤さんには何度も助けられました。遠藤さんは「大型新人現る!」という感じですよね。
斎藤工
自分の世界を持ったキャストが溶けあうような映画。実年齢としては、皆さんと距離がありましたが、堂々と演技に臨めばそれでいいと教えられた現場でした。当時はSNSや携帯電話がなく、言葉そのものに重みがあった時代。その分、内面的に豊かな時代だと思うと、やきもちを焼きたくなりますね。
遠藤新菜
私のシーンはほぼ順撮りだったので、ラストシーンが近づくにつれて、悲しい気持ちになりました。エマはこれで幸せだったのかなもしれないなと思って、複雑でした。
矢崎仁司監督
小池さんは美しく、この方の思春期を成海さんにやって頂いた完成した作品は、まず小池さんを第一の観客として見ていただこうと思った。初号試写が終わり、路上で小池さんと抱き合いました。うれしい瞬間でしたね。
◆ラブシーンに関して
遠藤「斎藤さんはああいうシーン(ラブシーン)に関してはプロだと思うので・・・」
斎藤「そうですね、プロフィールに書いてあります。2級を持っています。」
遠藤「やっぱりプロだなと思いましたよ。いろんな意味で。素敵にリードして頂きました。包容力もあるし、ミステリアスな要素もある祐之介をしっかり私は感じていたので、ずっとエマでいさせていただけたなと思います。」
◆竹藪でのクライマックスに関して(※写真が公開になったラブシーンの事ではありません。)
池松「最後に決着をつけなくてはいけないし、渉は色々あるし、微妙なんですよね。」
斎藤「もう二度と撮れない心情・表情だったんじゃないかなと思います。」
成海「私は現場にいたくなかったですね。響子のようにいけないですよ、見てしまったらもう、「それでも好き」とはならない自分もいて、『もう帰りたいなー。二人でやって』 と私自身は思っていました。見せつけられた感じかな?」
池松(斎藤に)「やりましたね」
斎藤(池松に)「やりましたね。見せつけてやりましたね」
当日はキャスト、監督による舞台挨拶に加えて、主題歌「どこかへ」を担当した女子ロックバンド、Drop’sの中野ミホも登壇し、「どこかへ」を弾き語りバージョンで生披露しました。
斎藤は「『無伴奏』は「パッヘルベルのカノン」が一つの主人公のような映画なんですけれど、その後に更なる主人公としてDrop’sの『どこかへ』が登場することで成立しているそんな素晴らしい楽曲だと思いました。」と上手く表現し、その表現に会場が同感した後、感想を聞かれた矢崎監督が、
「感動でちょっとね・・・」と涙声で言葉に詰まるのを見て、観客も感動に包まれた上映となりました。