今年も開催!16回目のイタリア映画祭!
「日本におけるイタリア年」をきっかけに2001年の春に始まった「イタリア映画祭」は、今年で16回目を迎えます。ゴールデンウィーク恒例のイベントとなり、毎年1万人を超える観客が訪れています。
今回は、2015年以降に製作された日本未公開の新作を東京で12本、大阪で7本上映します。
コメディーもあればシリアスなドラマもあり、エンターテイメント大作からアート系映画まで幅広いプログラムです。
さらに、東京ではヴィスコンティ生誕110年を記念するとともに、今年の初めに惜しまれつつ亡くなったスコーラを追悼して、両監督の歴史的名作を1本ずつ上映します。
日本未公開上映作品12本
『処女の誓い』
[2015年/90分] 原題:Vergine giurata
監督:ラウラ・ビスプリ Laura Bispuri
ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選ばれた女性監督ビスプリのデビュー作。女性の地位が低いアルバニアの山村。自由を求める少女ハナは、伝統的な掟に従って終生処女であり、男として生きることを誓う。だが、成長するにつれて抑えきれない感情が生まれ、イタリアに旅立つ。アルバニアとイタリア、過去と現在、男性と女性といった対照のなか、一人の人間の心の微細な揺れ動きを見事に表現するのは、世代を代表する女優アルバ・ロルヴァケル。
東京会場4月29日[金・祝] 12:00~/5月2日[月] 19:10~
『俺たちとジュリア』
[2015年/115分] 原題:Noi e la Giulia
監督:エドアルド・レオ Edoardo Leo
喜劇俳優としておなじみのエドアルド・レオが監督した痛快コメディー。人生につまずいた中年のディエゴ、ファウスト、クラウディオの3人は大きな農家を共同購入し、ホテルにリノベーションして再起を図る。激しい気質のセルジョと妊娠中のエリーザが加わり、妙なチームワークで順調に準備が進む。しかし、クラシックカー「ジュリア」に乗った犯罪組織の一員の出現で、事態は思わぬ方向に転がる。イタリアのゴールデン・グローブ賞で最優秀コメディー賞を受賞。
東京会場5月2日[月] 10:20~/5月4日[水・祝] 16:00~
『素晴らしきボッカッチョ』
[2015年/120分] 原題:Maraviglioso Boccaccio
監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ Paolo e Vittorio Taviani
ルネサンスを代表する作家ボッカッチョの古典的名作「デカメロン」を、巨匠タヴィアーニ兄弟が翻案。原作は100話から成るが、映画は愛についての5話で物語が紡がれる。ペストが蔓延する1348年のフィレンツェ。若い7人の女性と3人の男性が都市から逃れた郊外の邸宅で、死の恐怖を紛らわすために示唆に富んだ話が披露される。パオラ・コルテッレージ、キム・ロッシ・スチュアート、リッカルド・スカマルチョら豪華な顔ぶれがそろう。
東京会場4月29日[金・祝] 18:00~/5月4日[水・祝] 10:20~
『地中海』
[2015年/107分] 原題:Mediterranea
監督:ジョナス・カルピニャーノ Jonas Carpignano
移民という今日的な問題にリアルな演出で迫るカルピニャーノのデビュー作にして、多くの賞を受けた話題作。ブルキナファソの青年2人は、より良い生活を求めてヨーロッパに向かう。命を賭けてボートで地中海を渡り、イタリア南部にたどり着くことに成功する。けれども、待ち受けていたのは、アフリカで夢見ていたイメージとはほど遠い厳しい現実だった。カンヌ国際映画祭の批評家週間に出品されたのをはじめ、世界の多くの映画祭で上映されている。
東京会場5月2日[月] 13:30~/5月5日[木・祝] 10:20~
『失われた美』
[2015年/87分] 原題:Bella e perduta
監督:ピエトロ・マルチェッロ Pietro Marcello
ドキュメンタリーとイマジネーションを絶妙に融合させた独特の映像表現に目を見張るマルチェッロのデビュー作は、詩情と哀愁にあふれる現代のおとぎ話。貧しい羊飼いのトンマーゾは、ナポリ郊外の荒廃した宮殿を護っていたが急死してしまう。子牛をかわいがっていた彼の遺志を受け継ぐために愚かな道化師が召喚され、子牛と一緒に北に向かう。その旅で見えてきたのは、人間と自然の関係や今のイタリアだった。ロカルノ国際映画祭コンペティション部門出品作品。
東京会場4月30日[土] 18:50~/5月3日[火・祝] 10:20~
『待つ女たち』
[2015年/100分] 原題:L'attesa
監督:ピエロ・メッシーナ Piero Messina
ソレンティーノの助監督を務めたメッシーナが、フランスを代表する女優ジュリエット・ビノシュと若手ホープのルー・ド・ラージュを迎えた監督デビュー作。大切な人が不在のなか、2人の女性の心理や関係性の変化に洗練された演出で焦点を当てる。シチリアの片田舎。邸宅で孤独な日々を過ごすアンナの元に、息子ジュゼッペの恋人のジャンヌが突然やって来る。ジュゼッペに招かれたというが、彼の姿はなかった。ヴェネチア国際映画祭コンペ部門出品作品。
東京会場5月1日[日] 10:20~/5月3日[火・祝] 13:00~
『あなたたちのために』
[2015年/110分] 原題:Per amor vostro
監督:ジュゼッペ・M・ガウディーノ Giuseppe M. Gaudino
劇映画としては17年ぶりの発表となったガウディーノの意欲作。独特の色彩感覚と想像力あふれる演出で、一人の女性が再生していく歩みをたどる。子どものころは自信満々だったアンナ。けれども、今や子ども3人の母であり、家族のために長年自分を犠牲にしてきて無力感にとらわれていた。そんな彼女の灰色の日々は、テレビ局の仕事を得ることで少しずつ変わり始める。主演のヴァレリア・ゴリーノは、ヴェネチア国際映画祭で2度目の女優賞受賞の栄誉に浴した。
東京会場4月30日[土] 13:15~/5月2日[月] 16:30~
『私と彼女』
[2015年/97分] 原題:Io e lei
監督:マリア・ソーレ・トニャッツィ Maria Sole Tognazzi
『はじまりは5つ星ホテルから』がスマッシュヒットした女性監督トニャッツィの新作は、2人の女性が主人公のロマンチック・コメディー。元女優で今はレストランを経営する好奇心旺盛なマリーナ。慎重な性格で一人息子がいる多忙な建築家のフェデリカ。対照的だが愛し合う2人は、ローマの豪華なアパートで5年間一緒に暮らしていた。しかし、ささいな出来事で親密な関係に亀裂が入る。名優のマルゲリータ・ブイとサブリーナ・フェリッリが息の合った演技を見せる。
東京会場5月1日[日] 13:15~/5月5日[木・祝] 13:15~
『暗黒街』
[2015年/130分] 原題:Suburra
監督:ステファノ・ソッリマ Stefano Sollima
金と欲望が渦巻き、暴力が横行する非情な裏社会を迫真の映像で描くギャング映画の大作。ローマ郊外の港町にカジノやホテルを建設してラスベガスのような街にする計画が、「サムライ」という名のギャングによって持ち上がる。共通の目的のために他のギャングのみならず、堕落した政治家や枢機卿も手を携える。だが、ギャング同士のつまらないいざこざが暴力の連鎖を生み、計画を狂わせる。ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、エリオ・ジェルマーノが出演。
東京会場5月1日[日] 18:00~/5月5日[木・祝] 15:40~
『皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」』
[2015年/112分] 原題:Lo chiamavano Jeeg Robot
監督:ガブリエーレ・マイネッティ Gabriele Mainetti
ローマ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、オリジナリティーあふれるエンターテインメントと喝采を浴びたマイネッティのデビュー作。無愛想で一匹狼のエンツォは、盗みで警察に追われている最中に起きたアクシデントで超人的な力を得る。その力を犯罪に悪用するエンツォだが、日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」の熱狂的ファンである女性アレッシアとの出会いが、彼の心を変えていく。クラウディオ・サンタマリアとルカ・マリネッリのスター俳優が共演。
東京会場4月29日[金・祝] 14:40~/5月4日[水・祝] 18:40~
『フランチェスコと呼んで-みんなの法王』
[2015年/98分] 原題:Chiamatemi Francesco – Il Papa della gente
監督:ダニエーレ・ルケッティ Daniele Luchetti
清貧で気さくな人柄から世界中で人気の現ローマ法王は、イタリア移民の子でアルゼンチンのブエノスアイレス生まれ。本作は、神に一生仕えることを選んだ青年時代から、市民がビデラ軍事独裁政権に弾圧された困難な時代を経て、法王になるまでの波乱に満ちた人生をたどる。監督は、『我らの生活』などキャリア豊富なルケッティ。社会的弱者や貧困層に寄り添う法王の原点を、凝縮された時間の中に巧みな演出で映し出す。イタリア語吹き替え版での上映。
東京会場4月30日[土] 10:20~/5月3日[火・祝] 15:20~
『オレはどこへ行く?』
[2015年/86分] 原題:Quo vado?
監督:ジェンナーロ・ヌンツィアンテ Gennaro Nunziante
イタリア映画興行収入で歴代トップの大記録を打ち立てたコメディー。子どもの時から安定した終身雇用の仕事が夢だったケッコが公務員の職に就いて15年、衝撃的な政府の方針が発表される。公務員を減らすというもので、ケッコもその対象に入ってしまう。退職を勧告されるが断固拒否するケッコに、嫌がらせで僻地への転勤の辞令が出るが、屈せずに職にしがみつく。主演のケッコ・ザローネは、出演作がいずれもメガヒットしている大人気の喜劇俳優。
東京会場4月30日[土] 16:20~/5月5日[木・祝] 18:40~
特別上映作品
『若者のすべて』
[1960年/177分] 原題:Rocco e i suoi fratelli
監督:ルキーノ・ヴィスコンティ Luchino Visconti
今年で生誕110年没後40年のメモリアルイヤーを迎える巨匠ルキーノ・ヴィスコンティが放つネアレアリズモの集大成。南北の経済格差など当時のイタリア社会の問題を背景に、都会での過酷な現実にもがく5人兄弟の愛憎と葛藤、そして運命の明暗を、ドラマチックかつ抒情的に描く。若きアラン・ドロンが純朴で心優しい主役を好演。昨年、第68回カンヌ国際映画祭クラシック部門において初上映された4Kデジタル完全修復版をもとにしたDCP素材での上映となる。
東京会場5月3日[火・祝] 17:40~
特別上映作品
『特別な一日』
[1977年/106分] 原題:Una giornata particolare
監督:エットレ・スコーラ Ettore Scola
今年1月に84歳で亡くなった名匠スコーラ。ソフィア・ローレンとマルチェッロ・マストロヤンニの2大スターが主演する愛の物語にして歴史的名作で追悼する。1938年、ヒトラー歓迎の式典に住民が出払って人気のないローマのアパート。主婦アントニエッタは謎の男ガブリエーレと偶然出会い、その日は2人にとっても歴史にとっても「特別な一日」になる。2014年ヴェネチア国際映画祭クラシック部門で初上映された4Kデジタル完全修復版をもとにしたDCP素材で上映。
東京会場5月4日[水・祝] 13:30~