映画好きならチェックしておきたい高崎映画祭の受賞作品の発表が13日に行われた。
節目の年である30回を迎える今回の映画祭の最優秀作品賞に輝いたのは塚本晋也監督の「野火」である。最優秀監督賞には、前橋市出身で「FOUJITA」の小栗康平監督と、「恋人たち」の橋口亮輔監督が選ばれた。どれも東京国際映画祭での上映のあった作品となった。
授賞式は3月27日、高崎市高松町の群馬音楽センターで開かれる。
高崎映画祭は一九八七年から毎年春に開催されており、昨年(今年だと2015年度に)劇場公開された邦画約五百本を対象に審査している、「映画の街・高崎」を代表する映画祭になっており、今年はその節目の第30回における開催である。
最優秀作品賞に輝いた「野火」は、塚本監督が大岡昇平の戦争小説を映画化した作品だ。志尾睦子プロデューサーは「『これをいま撮らなければいけない』という勢いで資金やスタッフを自分で集めて作られた。映画界に対して気概を持てばこれだけの作品が作れることを示した」と述べる。
三十回を記念した特別賞は、草創期の群馬交響楽団をモデルに描いた映画「ここに泉あり」に出演した女優の岸恵子さんが受賞。高崎映画礎賞には、第二回から映画祭のスタッフを務めた市内在住の映写技師小田橋淳夫さんが選ばれた。
今回新設された野心的、革新的な作品に贈られる”ホリゾント賞”は、「アレノ」の越川道夫監督が受賞した。
映画祭は3月26日から4月10日まで、高崎市文化会館やシネマテークたかさきなどで開催される。マノエル・ド・オリベイラ監督の特集上映もある。初日は、群響による30回開催記念コンサートが群馬音楽センターで開かれる。また、映画祭に先立ち2月11~15日、高崎電気館でプレ映画祭を開催。35ミリフィルムに焦点を当て、「下町の太陽」(山田洋次監督)や「その人は昔」(松山善三監督)などの作品を上映する。さらに、シンポジウムもあるようだ。映画祭のプログラムは二月中旬に発表されるので是非注目してほしい。
◆他役者賞をはじめとする受賞者
最優秀主演女優賞 深津絵里(岸辺の旅)、山田真歩(アレノ)
最優秀主演男優賞 オダギリジョー(FOUJITA)
最優秀助演女優賞 蒼井優(岸辺の旅)
最優秀助演男優賞 黒田大輔(恋人たち)
優秀新進俳優賞 篠原篤、成嶋瞳子、池田良(同)
最優秀新人女優賞 水野絵梨奈(ソレダケ/that’s it)
最優秀新人男優賞 森優作(野火)
新進監督グランプリ 山崎樹一郎(新しき民)