三井文庫開設50周年 三井記念美術館開館10周年 記念特別展II
【「三井家伝世の至宝」展 】
〜〜2016年1月23日まで開催です。
茶道具【展示室1】
三井各家から寄贈された美術品のなかでもっとも作品数の多いのは書画を含む茶道具類です。ことに北三井家では創業当時から茶の湯に親しみ、すでに二代高平の頃から名品を所持し、幕末の六代高祐の代にはそうとうの数の茶道具が集積されています。
しかし一方、諸大名との交流のなかで、茶道具を所望される状況もあったようで、名だたる名品が流出する場合もあったようで、北三井家の記録にその痕跡が見られます。
また室町三井家旧蔵の茶道具の多くは、明治、大正期という茶道具の大移動期に十代高保が自らの茶の湯のために蒐集したもので、やはり名品が多く含まれています。
所蔵の茶道具の一部と、かつて三井家が有した名品が、展示室1ならびに展示室3で展示されています。
国宝 志野茶碗 銘卯花墻
桃山時代・16~17世紀 三井記念美術館蔵
国焼の茶碗で国宝に指定されている二碗の内の一つ。垣根のような文様に志野独特の白釉がむらに掛かっている風情を卯の花に見立てた銘である。志野は日本で初めて焼かれた文様が描かれた白い陶器で、桃山時代ならではの力強さが見られる。
絵画・書跡の名品【展示室4】
展示室4では、館蔵絵画のなかから、日月松鶴図屏風<重文>(展示1/5~1/23)、聚楽第図屏風、東福門院入内図屏風<重文>、円山応挙筆の郭子儀祝賀図、鳥居清長筆の駿河町越後屋正月風景図などが展示されています。
東福門院入内図屏風は、近年、重文指定に伴って修理が行われ、綺麗な画面によみがえりました。
書跡では、藤原定家筆の熊野御幸記<国宝>、古林清茂墨跡(与無夢一清語)<重文>、敦煌経(妙法蓮華経巻第七)、中国古拓本の孔子廟堂碑などが展示されています。
熊野御幸記は、近年の修理により、古い裏打紙を剥がし、本紙のみの巻子に改められました。
この修理の過程で、後半の記述が紙の裏側にまわって記されたもので、その部分を二枚に剥いで巻物に仕立てられていたことがわかりました。
定家は参詣の記録を、持参した紙の表側に書ききれなくなったので、裏側に続きを書いていったのでしょう。現地での生の記録であることが改めて確認されました。
館外からは、東京国立博物館所蔵の虚空蔵菩薩像<国宝>(展示11/14~11/29)、伝顧徳謙筆 蓮池水禽図<重文>(展示11/14~12/27)、住吉如慶筆 東照宮縁起絵巻(展示11/14~12/12)が出品されます。虚空蔵菩薩像は、戦前に三井家の集会所で行われた敦煌経の展覧会において、展示室内中央に本尊のように掛けられていた写真が残っています。
重要文化財 日月松鶴図屏風
6曲1双 室町時代・16世紀 三井記念美術館蔵 展示期間:1月5日~1月23日
岩場を流れ下る流水に、金地を背景に松と鶴が配され、太陽と月が金属板をはめ込んで表されている。川辺に生える植物は、四季の移り変わりを表しており、この画面が吉祥的で、曼荼羅的な世界であることを暗示している。新町三井家旧蔵。
書・絵画・工芸・歴史史料の名品【展示室5】
ここでは古筆切の三色紙と古筆手鑑「高(たかまつ)」帖<重文>、土佐光起筆の女房三十六歌仙帖、月宮殿蒔絵水晶台など蒔絵の漆工品、歴史史料では新町三井家旧蔵の銅製船氏王後墓誌<国宝>、羊皮紙日本地図<重文>などが展示されています。
国宝の墓誌は、江戸時代に河内国の古墳から出土したもので、戊午年(668)の銘があり、年紀のある日本最古の墓誌として有名です。
国宝 雪松図と能面・刀剣の名品【展示室7】
最後の展示室では、正面に円山応挙筆の雪松図屏風<国宝>を据え、右側ケースには金剛流伝来の重文の能面を10面(途中展示替え有り)、左側のケースには国宝・重文の刀剣が展示されています。
雪松図屏風は、毎年正月に展示するのが恒例化していますが、今回は年末年始を通じての展示です。
能面は花の小面、孫次郎をはじめ名品がそろいます。全期間通じて展示するものと前期と後期で展示替えするものがあります。
刀剣は、最近流行しているゲームの影響で、特に若い女性に人気が沸騰しています。
国宝の短刀「日向正宗」や、重文の刀「加藤国広」など、ゲーム関連の名刀のほか、国宝の短刀「徳善院貞宗」、重文の太刀「則宗」「助真」、重文の薙刀「一文字」が展示されています。