『ハッピーエンドの選び方(原題: The Farewell Party)』

第71回(2014年)ヴェネツィア国際映画祭併催「ベニス・デイズ」BNL観客賞などを受賞した、人生の終盤に差し掛かった老人たちの最期の選択に迫るヒューマンドラマ。

画像: 『ハッピーエンドの選び方(原題: The Farewell Party)』

監督の実体験をベースに命尽きる瞬間まで自分らしく生きようとする人々の姿をユーモアを交えて映す。ベテラン俳優のゼーブ・リバシュとレバーナ・フィンケルシュタインが夫婦役で出演。
死に直面しながらもポジティブに生きる主人公たちの姿に勇気と元気をもらう。
うおお、“愛”について、“死”について、じっくり考えてみるキッカケになる作品だよ。

高齢化社会の日本にとって、中年真っ盛り(気分的には初老!?)なボクにとって、人ごとではないテーマだよね、“安楽死”、いや“尊厳死”かな。イスラエルも日本同様高齢化が進んでるんだな…。
イスラエルというとパレスチナ紛争のイメージが強いけれど、個室完備の高級老人ホーム、老人同性愛者、老人たちの大胆なヌード…と都会的でオシャレで洗練されてる印象なんだよね、ああこの作品がね。
冒頭、相手を想い遣るあまり“安楽死マシーン”を発明しちゃうあたりにはかなりブラックなジョークを感じたけれども…。“安楽死”“尊厳死”という重いテーマにも関わらず、ユーモアに溢れていて、語り口も軽妙、役者陣もみんな芸達者でチャーミングなので、切なさや辛さと共に爽やかな印象すら感じたほどだ。
認知症になった女性をみんなで温室で迎えるシーンは友情や思い遣りに溢れててジーンときた。前半は身体的苦痛に対する安楽死が問われたけれど、後半は認知症になった姿を見られるのがつらいなど精神的苦痛への安楽死が問われてくる。ラストは“愛”や“想い”の究極の選択だが…。

老いは誰にでもやってくる。人生の終え方、終わらせ方について深く考えさせられるなあ。苦痛に耐えること、自分が自分ではなくなること、愛する人が苦しむこと、愛する人が自分をわからなくなること…どれも受け入れるのは辛いな…。ボクが当事者なら安楽死させて欲しいと思うけれど、仮に伴侶がいたとして伴侶がそうだったとしても安楽死は選ばせないだろうなあとか、立場によっても違うのかなあと思ったり…。そんなことをゆっくり考えてみようと思える作品。

シネフィル編集部 あまぴぃ

映画『ハッピーエンドの選び方』予告編

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