2015/12/22(火)-2016/3/6(日)まで、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにおいて「リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展」が開催されています。

ロセッティ、ミレイ、ハントがラファエル前派を結成し活躍した19世紀中頃のリバプールは、造船業や様々な工業によって、また工業製品を輸出する英国第一の港町として大変栄えていました。リバプール国立美術館は、リバプール市内及び近郊の3美術館などの総称で、ラファエル前派の傑作を有する美術館として世界的に知られています。
本展では、リバプール国立美術館の所蔵品から、ラファエル前派及びその追随者の油彩・水彩など60数点を紹介し、近代における英国美術の「英国らしさ」を「英国の夢」をキーワードに四章に分けて浮き彫りにしていきます。

第一章は「ヴィクトリア朝のロマン主義者たち」。ラファエル前派のメンバーとして活躍したミレイやロセッティ、ハントの代表作を中心に紹介します。ラファエル前派は1848年の結成から5年、1853年にミレイがアカデミーの準会員になったことをきっかけに崩壊に進んでしまいます。ミレイは社交界の関係を重視し、ハントは細密描写を堅持してラファエル前派の精神を最後まで貫きます。ロセッティは神話や文学を背景とした独特の女性像をつくり上げます。観るものの想像力を刺戟する彼らの絵画の特色は、次世代の画家たちに受け継がれていくのです。

画像: 2015/12/22(火)-2016/3/6(日)まで、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにおいて「リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展」が開催されています。

ラファエル前派とは、イタリア・ルネサンスの古典主義の完成者であり、その後のアカデミズムにおいて規範とされた「ラファエロ」以前に戻ろう、素朴な心・ものに帰ろうという活動を行った芸術家達のことです。19世紀のアカデミーにおける古典偏重の美術教育に異を唱えて、中世や初期ルネッッサンスの芸術を範としました。ただ、実際に描かれた絵画は、空想的、逃避的なものが多く、一枚の絵で演劇的に内容を伝えようという物語性の強い傾向があります。後に印象派へと向かうフランスの同時代の絵画との違いも感じられます。

画像: 左:ジョン・エヴァレット・ミレイ 《良い決心》 1877年 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery 右:ジョン・エヴァレット・ミレイ 《巣》 1877年に最初の出品 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

左:ジョン・エヴァレット・ミレイ 《良い決心》 1877年 油彩・カンヴァス
© Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery
右:ジョン・エヴァレット・ミレイ 《巣》 1877年に最初の出品 油彩・カンヴァス
© Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

第二章は「古代世界を描いた画家たち」。ヴィクトリア朝の人々は、自分たちこそ古代ローマ帝国の正統なる後継者だと自負していました。そのため、教養として古代ギリシャ・ローマに精通していました。アカデミーでもフレデリック・レイトンを中心に歴史画の美術教育がなされました。一つの特徴としては、歴史的な正確さよりも芸術性が優先されていたことで、描かれている草花もギリシャ・ローマ時代にはなかったものもあります。

画像: 左:アルバート・ジョゼフ・ムーア 《夏の夜》 1890年に最初の出品 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery 右:フレデリック・レイトン 《プサマテー》 1879-80年 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

左:アルバート・ジョゼフ・ムーア 《夏の夜》 1890年に最初の出品 油彩・カンヴァス
© Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery
右:フレデリック・レイトン 《プサマテー》 1879-80年 油彩・カンヴァス
© Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

第三章は「戸外の情景」を描いた作品郡です。19世紀半ばの英国では、産業革命により都市人口が農村人口を超えていました。都市の人々は、田舎の記録として、田舎を懐かしむ気持ちで風景画を求めました。

画像: 左:ウィリアム・ホルマン・ハント 《イタリア人の子ども(藁を編むトスカーナの少女)》 1869年 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery 右:フレデリック・ウォーカー《魚屋の店》 1872年 水彩、グワッシュ・紙 © Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

左:ウィリアム・ホルマン・ハント 《イタリア人の子ども(藁を編むトスカーナの少女)》 1869年 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery
右:フレデリック・ウォーカー《魚屋の店》 1872年 水彩、グワッシュ・紙
© Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

第四章「19世紀後期の象徴主義者たち」ではラファエル前派に影響を受けた画家たちによる作品が並びます。下は、今回の目玉の一つ、バーン=ジョーンズの 《スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)》。旧約聖書の「雅歌」を主題とする3mを超える水彩画の大作です。英国ではこの頃、水彩画が流行っていて、油彩画の下書ではない完成作の水彩画が多く描かれていました。

画像: 左:エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ 《スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)》 1891年 水彩、グワッシュ・紙 © Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

左:エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ 《スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)》 1891年 水彩、グワッシュ・紙 © Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

画像: 左:ジョージ・フレデリック・ワッツ《希望》のためのスケッチ 1877-86年頃 油彩・パネル © Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery 右:ジョージ・フレデリック・ワッツ《愛と生》 1904年 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

左:ジョージ・フレデリック・ワッツ《希望》のためのスケッチ 1877-86年頃 油彩・パネル
© Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery
右:ジョージ・フレデリック・ワッツ《愛と生》 1904年 油彩・カンヴァス
© Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ラファエル前派の絵画的傾向を展開したのが、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスです。鑑賞者の想像力をかきたてる神話や文学の物語を再現的に表現して、多くの傑作を生みました。
門外不出の作品や日本初公開の作品も多く、四章を通じて「英国の夢」に相応しい豊かな世界を堪能できます。

画像: 左:ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 《デカメロン》 1916年 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery 右:ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 《エコーとナルキッソス》 1903年 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

左:ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 《デカメロン》 1916年 油彩・カンヴァス
© Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery
右:ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 《エコーとナルキッソス》 1903年 油彩・カンヴァス
© Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

開催概要

◼︎開催期間
2015/12/22(火)-2016/3/6(日)
*1/1(金・祝)・1/25(月)休館
◼︎開館時間
10:00-19:00(入館は18:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)*1/2(土)を除く
◼︎会場
Bunkamura ザ・ミュージアム
◼︎主催
Bunkamura、東京新聞
◼︎協賛・協力等
[特別協賛]
みずほ銀行
[後援]
ブリティッシュ・カウンシル
[協力]
KLMオランダ航空、日本航空、ユニリーバ・ジャパン

◼︎お問合せ
ハローダイヤル 03-5777-8600

◼︎チケット情報

画像: 開催概要

◼︎他会場
新潟市美術館  2015/7/19(日)~9/23(水・祝)
名古屋市美術館 2015/10/3(土)~12/13(日)
山口県立美術館 2016/3/18(金)~5/8(日)

「リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展」cinefilチケットプレゼント!
ご提供組数 5組10名様

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展」チケットプレゼント係宛てに、メイルでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、記名ご本人様のみ有効の、チケットをプレゼントいたします。
チケットは、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。
☆応募先メイルアドレス
info@miramiru.tokyo
応募締め切りは2016年1月31日 日曜日
記載内容
☆1、氏名 
☆2、年齢
☆3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
☆4、ご連絡先メイルアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名(複数回答可)
6、読んでみたい執筆者(複数回答可)
7、連載で、面白いと思われるもの(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるもの(複数回答可)
9、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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