シネフィルでも何回か取り上げた、1970年代前半に日本アート・シアター・ギルド(以下、ATG)で発表した『無常』『曼陀羅』『哥(うた)』『あさき夢みし』がブルーレイボックス。
発売にともない、テレシネ監修を務めたカメラマンの中堀正夫が、実相寺昭雄監督の秘密を語った。

画像: http://www.cinematoday.jp/page/N0078842

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モノクロ作品では、「黒」のつや・深みや階調にこだわって調整を行ったという中堀は、「実相寺監督は黒にこだわっていた人で、画面も暗ければ暗いほどいいと言うんです。ラッシュ(確認試写)でも、自分では良かったなぁなんて思っていても、後ろから『まぶしくて見えねえや!』と(監督の)声だけが聞こえてきて。何を言っているんだと思うんだけど、完成した作品を観ると『やっぱりすげえよなぁ』と思ってしまう」と笑う。

[TRAILER] Poem (Uta) (1972)

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実相寺監督の死後、遺品の整理をしていて気づいたことがあったという。「書棚に背表紙が茶色いVHSがたくさん並んでいたんだけど、その中に1本だけ、新しい白いラベルがあった。そこには筆文字で(オーソン・ウェルズ監督の名作)『市民ケーン』と書いてある。ほかのVHSと違って、これだけは明らかに何回か張り直されていた」という中堀は、「何かあるなと思って、DVDを買ってきてとことん研究してみたら、いろいろなことが隠されていたんですよ。当然、他の映画も観ていたとは思うんだけど、おそらく困ったときに観ていたのは『市民ケーン』だったんじゃないか」と推察。「もしそうだとしたら、これを参考にしろと教えてくれればとても楽だったんだけどなぁ」と笑みを浮かべた。

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