映画『母と暮せば』

小説家・劇作家の井上ひさしが広島を舞台にした自身の戯曲「父と暮せば」と対になる作品として実現を願いながらもかなわなかった物語を、日本映画界を代表する名匠・山田洋次監督が映画化。

画像: 映画『母と暮せば』

原爆で亡くなった家族が亡霊となって舞い戻る姿を描いた人間ドラマ。
原爆で壊滅的な被害を受けた長崎を舞台に、この世とあの世の人間が織り成す不思議な物語を映し出す。主人公を『おとうと』『母べえ』でも山田監督とタッグを組んだ名女優の吉永小百合が演じ、その息子を『プラチナデータ』などの二宮和也が好演。他に『小さいおうち』でベルリン国際映画祭銀獅子賞(女優賞)を受賞した黒木華や浅野忠信、加藤健一らが共演。

ほのぼのとした中にも戦争の爪痕を感じる展開に涙腺が緩む。親子の愛情、恋人同士の愛情、そして戦争の悲劇、原爆の悲惨さを描いた心温まる作品だ。死んだ息子をいつまでも気遣う母親のやさしさ、生きてる母親をいつまでも気遣う死んだ息子のやさしさ、涙出ちゃうに決まってるよ。もちろん悔しさや切なさもたっぷりだ。役者たちの演技も若干大袈裟で、台詞も多く、長回しも多用して、脚本も演出も含めてまるで舞台劇のようだ。全体的に画面も暗いままだけれども(コントラストはハッキリしていてすごくキレイ)、所々会話にユーモアが溢れているので、ほのぼのできた。

山田洋次監督にしては珍しいファンタジーで、すごく丁寧に作ってる印象。声高に“反戦”を叫ぶわけではなく、市井の暮らしぶりや庶民の会話で“反戦”を訴えてると言えるのかな。伝えるべきメッセージもあえてボカしたのかしらね。坂本龍一の音楽は素晴らしいんだけれど、唐突に感じたり、大袈裟に感じたりしたかな…。音楽が役者として画面にいるかのような存在感というか…。エンディングはどうなんだろう? ボクはビックリした。街全体がクリスチャンだからなのかしらね…。130分と長め。

シネフィル編集部 あまぴぃ

映画『母と暮せば』予告

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