例年にもまして話題も多かった、2015年の東京フィルメックス。
そのオープニング作品として上映されたのが、2016年公開の園子温監督の新作『ひそひそ星』で、その日が日本初上映となった。
この作品が注目を浴びるのは、メジャーな作品を2015年立て続けに発表した監督が、自ら立ち上げたシオンプロダクションの第一回作品として発表したこと、その作品が、25年前に書かれた脚本に基づいてつくられた事にもある。
すでに、ワールドプレミアで上映の第40回トロント国際映画祭で評判を呼び、最も注目すべきアジア映画に与えられる賞であるNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞している。
園監督にとっては『希望の国』での第37回のNETPAC賞、『地獄でなぜ悪い』で第38回のミッドナイト・マッドネス部門観客賞に続き、本映画祭で賞を獲得するのはこれが3度目となった。
そして、監督が、ずっと寝かせていた企画がこうして実現できたのも、自分のプロダクションだから製作できたのだという。
そもそもこの作品は、監督の公私ともにパートナーで俳優の神楽坂恵が、主人公の鈴木洋子役を務めているほか、プロデューサーのひとりとしても参加し、夫婦で作り上げた作品ともいえる。
映画は、宇宙宅配をするアンドロイドの鈴木洋子がさまざまな星に降り立ち、かつて人々でにぎわった街や海辺に荷物を届けていくさまを、モノクロの映像で描いたSF作品だ。
2016年の公開予定の気になる作品だが、園子温監督と神楽坂恵はオープニング上映のあと登壇し、この作品について語った映像が、東京フィルメックスによって公開された。
ひそひそ話ではなく、はっきりとこの作品ができるまでを、語っている。