東京フィルメックスコンペティションの審査結果が発表された。
今回、最優秀作品にに選ばれたのは、『タルロ』。オールド・ドッグ』で第12回東京フィルメックスグランプリに輝いたペマツェテン監督がまたしても受賞。現代文明と伝統文化の相違に引き裂かれてゆくチベットの遊牧民をユーモアとほろ苦さを交えて描く、長回しの撮影と大胆な構図が強烈なインパクトを与える力作。
チベットの羊飼いタルロを通して、現代文明と伝統文化の相違に引き裂かれていく遊牧民の混乱を、ユーモアを交えて描き、「IDを求める男がIDをなくすというシンプルなコンセプトを美しく映画にした」と評価された。ペマツェテン監督は、第12回の同映画祭で最優秀作品賞を受賞した「オールド・ドッグ」に続く、2度目の最高賞受賞に「フィルメックスにはとても縁を感じます。私にとっては故郷のような、家のような感じがします」と喜びを語った。また学生審査員賞の受賞について、「日本の若い人がこの映画を評価してくれたということ」とほほ笑んだ。
イ・ヨンガン審査委員長は、総評として「(コンペティション部門の)10作品はそれぞれ素晴らしい作品ばかりだった。全てが旺盛なチャレンジ精神に基づいて作られた作品で、見ている間ずっと緊張させられていた。それぞれの監督が、社会の問題を鋭利な視線でとらえていた。審査員全員がすべての作品に賞を与えてもいいのではないかという思いで審査会議をしました。それぞれの作品を通して、アジアの未来を見ることができた事にも感謝申し上げます」と締めくくった。