『スネーク・フライト』(デヴィッドR・エリス 06)


高度1万メートルの飛行機の中で、一万匹の毒蛇が大暴れするパニック映画です。
映画のあらすじは、マフィアによる殺人事件の目撃者となった重要証人(ネイサン・フィリップス)を、FBI捜査官(サミュエル・L・ジャクソン)が裁判所まで、秘密裏に飛行機で送り届けようとする。マフィアは何としても証人を暗殺したくて、大量の毒蛇を機内に送り込むという作品です。

画像1: 『スネーク・フライト』(デヴィッドR・エリス 06)

この作品は本当に楽しいB級映画、蛇が嫌いでなければ面白いです。蛇を暗殺に使った仕掛けに、えっなんで蛇なの?と浮かぶ疑問も劇中での説明が上手く、なんだか納得してしまい、この荒唐無稽なB級映画を上手く成立させています。
まずは観る前にポスターで楽しませてくれます。蛇に囲まれているサミュエル・L・ジャクソンが持つスタンガンの火花が、スターウォーズのジェダイの騎士が持つライトセーバーのようになっています。

B級映画必須のエロは、冒頭のエッチな身体のお姉さんのビキニのサービスカットです。作り手側の過剰なサービス精神に嬉しいというより楽しくなってきます。
そして手際良く次々と映画の流れを止めることなく紹介されていく登場人物達。特に飛行機の安全設備の説明をエンターテイメントとして見せて、人物紹介に使っているのはすごいです。
蛇が登場してから、蛇によって殺される人たち、殺されそうになる人たちのバリエーションの豊富さ、あの手この手、兄弟愛、親子愛、感動、笑いを絡めて見せてくれます。

画像2: 『スネーク・フライト』(デヴィッドR・エリス 06)

勿論下ねたもあります。特に面白かったのが、おチンチンを蛇に噛まれてしまう男の人と、蛇が寝ている女性の服に忍び込んで、その女性が感じてしまうように見える場面です。
蛇の見せ方で特に上手いのが、酸素マスクが上から出てくると同時に蛇が機内に大量に登場する場面です。酸素マスクも蛇に見えてしまい、実際の数以上に蛇がいるように見せてくれます。効果満点です。
ツッコミどころもありますが、作り手演じ手の悪ノリを楽しんだ者勝ちの作品です。
この作品のDVDは現在絶版のようですが、レンタルでは楽しむことが出来ます。スクリーンでももう一度観たいですが、難しそうです。

Snakes On A Plane - Official Studio Trailer #1

youtu.be

監督: デイヴィッド・R・エリス
出演: サミュエル・L・ジャクソン/ネイサン・フィリップス/ジュリアナ・マーグリーズ
原題: Snakes on a plane
販売元: 東宝
価格: (現在絶版)
発売日: 2007/04/20
時間: 106分
製作年・製作国: 2006年 米国

御木茂則(映画キャメラマン)
1969年生まれ 日本映画学校卒業
映画の撮影の仕事を20年以上続けています。仕事を続けながら沢山の映画を観てきました。数えたことはないですが、多分4000本以上の映画を観ているはずです。どの映画も愛おしい作品ばかりであり、私が仕事を続けていくうえで大切なことを教えてきてくれました。この連載は愛すべき映画への感謝の思いで始めます。
「再会したい映画」というタイトルはベタですが、また映画館のスクリーンでこの映画に再会したい!という願いをこめています。読んだ方が紹介した映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。よろしくお願いします。
撮影担当作品
『部屋/THE ROOM』(園子温 1993年)
『バッハの肖像 LFJより』(筒井武文 2010年)
『フレーフレー山田 忘れないための映像記録』(監督/撮影・2011年)
『希望の国』(園子温 2012年)
『ヒキコ 降臨』(吉川久岳 2014年)
『三人吉三』(串田和美 大形美佑葵 2015年)
撮影補
『奈緒子』(古厩智之 2008年)
『生きてるものはいないのか』(石井岳龍 2012年)
照明担当作品(撮影 芦澤明子)
『孤独な惑星』(筒井武文 2011年)
『夜が終わる場所』(宮崎大祐 2011年)
『受難』(吉田良子 2013年)
『滝を見にいく』(沖田修一 2014年)

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