2012年公開の前作「放射線を浴びたX年後」から3年ー。
シリーズ第二弾、2015年秋、ついに完成&公開!
ベールに包まれ、忘れ去られようとする放射能を浴びた人たちの人生。
そして、新しいX年が、始まっているーーー

「父は なぜ死んだのか?」
半世紀前の太平洋核実験 漁師たちが伝える無言のメッセージとは――?
終戦直後の1946 年。太平洋上で、米国による核実験が始まった。しかし多くの漁船が、その後100回を超える実験期間中も、近海でいつも通り操業を続けていた―。闇に葬られたビキニ水爆実験の真相に迫る前作『放射線を浴びたX年後』から3年。高知県室戸市ほか各地での継続取材は、新たな展開を迎えていた。安全や核をめぐって国のあり方があらためて問われる今、かつて日本の繁栄を支えた海の男たちのメッセージに、地方TV局のディレクターが迫った渾身のシリーズ第二弾!


監督のメッセージが熱く伝わります。

取材を始めた12年前からずっと感じてきたが、室戸の海は見るたびに表情が違う。色も音も波の大きさも。ああ、瀬戸内海に面した地元愛媛とは違うなあ、と感じる。何しろ大らかで豪快だ。「おんちゃんたち」は、その海と隣り合わせに生きてきた。話は語れど、苦しいことや辛いことを饒舌に語ることはない。命に関わることも、人を助けたことも、体の異変も――。川口美砂さんのお父さんも、そんなマグロ漁師の一人だった。

川口さんとは、2013年に室戸で元漁労長の山田勝利さんが上映した『放射線を浴びたX年後』を見て僕たちに連絡をくれたのがきっかけだった。都内のカフェで初めて会った川口さんは、お父さんは36歳で亡くなったと語った。愛媛に戻り調べたところ、お父さんが乗っていた船は、放射能で汚染した魚を廃棄していた。その後、高知県室戸市に年末年始で里帰りしていた川口さんと2015年正月、再会。早速、生存者の聞き取りが始まった。その後、10月までに、川口さんは70人近い生存者や遺族から聞き取った。その一部始終に立ち会い、カメラに収録することができた。

広島、長崎の原爆投下からわずか10ヶ月後、マグロの漁場で始められた核実験。繰り返される核実験で漁場は激しく汚染。第五福竜丸の被ばく発覚後、放射能検査が行われ、延べ992隻もの被ばく船が見つかったにもかかわらず、政府は「すでに測定の必要がない」とし、その年の12月、わずか10か月で検査を打ち切った。『直ちに健康に影響がでない』ため、人々は少しずつ事件を忘れていった。10年後には東京オリンピックが開催され、日本は、さらに上を向いて歩み始めた。いつしか、事件は完全に忘れられ、「第五福竜丸」と「髪の毛がぬける」という言葉だけが脳裏に刻まれた。
そして第五福竜丸の事件から57年後の2011年3月。福島で原発事故が起こり、放射能検査が始まった。そして12月、安全宣言がされた。事故からもうすぐ5年。放射能の影響があいまいなままだ。「いつまでも、悲しいことを考え続けるのはやめよう。前向きに生きようじゃないか」という声が聞こえてくる。奇しくも事故から9年後となる2020年、東京オリンピック・パラリンピックが開催される。ビキニ事件では、半世紀後、事件の記憶はほぼ消えていた。いま、新たなX年後に向けてカウントダウンが始まっている。半世紀後、日本人は、何を覚えているのだろうか。そしてその時、人体に何が起こっているのだろうか。

36歳で亡くなった川口さんの父親や、45歳で亡くなった和気(大黒)さんの父親が受けた被ばくを医学的に裏付けることは難しい。しかし人体に重大な危害を加える危険な物質が蔓延する中で操業を続けたことは、船員手帳と厚生省の文書をつき合わせば事実であることは分かる。
この事件に限らず、被ばく事件においては、被害者が『被ばくしていること』証明しなければならない。なんという矛盾だろう。本来ならば、加害側に立つ者が、激しく放射能汚染した漁場で働き、早く亡くなった乗組員の死が、100パーセント放射能によるものではないことを医学的に証明し、被害者や遺族に伝えるべきだろう。想像を絶する量の放射線を生み出し、アメリカ本土や日本列島が放射能汚染していることを、少なくとも1952年には把握しながら実験を続けた責任は重い。

2004年に前作『放射線を浴びたX年後』のための取材を開始してから12年。これまで多くの方々に支えられて、ここまで来ることができた。これまで自分が倒れるまで一生追い続けていくものだ、と覚悟を決め、取材を続けてきた。『放射線を浴びたX年後2』が完成した今、ますますその思いは強くなっている。僕の旅はまだ終わっていない。これからも被災者と共にありたい。

何があっても諦めないぞ!

映画「放射線を浴びたX年後2」予告編(90秒ver.)

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大評判となった第一作『放射線を浴びたX年後』

映画「〜放射線を浴びた〜X年後」 予告編

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