映画『エール!(原題: La famille Belier)』

聴覚障害を持つ家族の中で生まれ育った健聴者の少女が、歌手になる夢を家族に理解してもらおうと奮闘する姿を描いたフランス製の感動的なヒューマンドラマ。

画像: 映画『エール!(原題: La famille Belier)』

最愛の家族を支える役目と自らの夢の間で揺れ動くヒロインを、人気オーディション番組で注目された新人女優ルアンヌ・エメラが好演し、歌声も披露。本作でセザール賞最優秀新人女優賞に輝いた。共演に『しあわせの雨傘』などのカリン・ヴィアール、『タンゴ・リブレ 君を想う』などのフランソワ・ダミアン、『ゲンスブールと女たち』のエリック・エルモスニーノら。
『ビッグ・ピクチャー 顔のない逃亡者』や『プレイヤー』などのエリック・ラルティゴが監督・脚本を手がけた。フランス映画祭2015で観客賞を受賞。

もうね、クライマックスは感動で胸が熱くなって泣けたよ…。ホント泣けた…。
個性的というか、ウザいほど濃ゆいキャラの家族のお蔭か、重く暗くなりがちな物語もライトに仕上がってていいんだよね。
“感動”をグイグイと押し付けてこない爽やかな感じにも好感。ミュージカル映画みたいにグイグイ引っ張っていかないのもいい。ジワジワといく感じがすごく心地いい。

フランソワ・ダミアン演じる無骨な父親のコミカルさや、カリン・ヴィアール演じる母親の身勝手さなどもありながら、本音でぶつかる家族な感じにリアリティを感じたからこそクライマックスで泣けたんだと思う。
特に、歌の才能を見出だされた娘を母親が理解できないシーンとか、娘の声を父親が必死に聴こうとするシーンとかはツラかったなあ…。そしてクライマックスの歌の1曲の無音の演出が秀逸だ。
まるで歌が聴こえてくるような不思議な感覚に包まれた。歌詞が娘からの家族へのメッセージと重なって、そして素晴らしい歌声に泣けた。何度も観たいラストシーンだ。この歌唱シーンは是非とも劇場で聴くべきだろう。
聴覚障害者のカジュアルな描き方や性への異常な執着などいかにもフランス的で面白いし、“個性”が輝いていて、“個性”がちゃんと“個性”として存在しているあたりもいかにもフランス的だよね。

この年頃の、何ごとにも真剣に、誰とでもぶつかって揺れ動く気持ちみたいな…あの頃にはもう戻れないのかと思うとすごく淋しいけれど、家族って良いなあと思える素晴らしい作品。

シネフィル編集部 あまぴぃ

10/31(土)公開『エール!』予告篇♪

youtu.be

This article is a sponsored article by
''.