画像1: 会場風景 photo(C)cinefil art review

会場風景 photo(C)cinefil art review

画像: ルドルフ・シュタイナー 《無題(黒板絵、1924年6月30日の講義より)》 1924年 ルドルフ・シュタイナー・アーカイヴ(ドルナッハ)

ルドルフ・シュタイナー 《無題(黒板絵、1924年6月30日の講義より)》 1924年
ルドルフ・シュタイナー・アーカイヴ(ドルナッハ)

画像: 円空 《善女龍王像》 江戸時代 豊田市民芸館

円空 《善女龍王像》 江戸時代 豊田市民芸館

大分と現代美術

 1960年、第12回読売アンデパンダン展に「反絵画・反彫刻」の作品を出品したメンバーで結成された「ネオ•ダダイズム•オルガナイザーズ」。このなかに、中心メンバーとして大分出身の吉村益信がいました。
新宿にあった吉村益信のアトリエは「新宿ホワイトハウス」とよばれ、世界的な建築家の磯崎新(大分出身)の処女作品になります。
「新宿ホワイトハウス」は、「ネオ•ダダイズム•オルガナイザーズ」の活動の拠点となり、第2回ネオ・ダダ展を開催。当時のポスターには「革命芸術家のホワイトハウス」と記述されています。
大分市内にある画材店キムラヤを活動の中心とした美術サークル「新世紀群」が「ネオ•ダダイズム•オルガナイザーズ」の原動力となりました。「新世紀群」には、建築家の磯崎新、赤瀬川原平、風倉匠といった個性豊かなメンバーが集まっていました。

 現在、大分県内には、九州で最初に設置された公立美術館の別府市美術館(1950年創設)があり、近代日本美術史の中でも重要な作家を網羅するコレクションが知られています。
また大分市内の美術館として、アートプラザ、大分市美術館があり、近隣の別府市ではBEPPU PROJECTによる別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」、国東半島では「国東半島芸術祭」が開催され、現代美術の拠点としての活動は、日本各地のなかでも、モデルケースとしてよく知られています。

画像: 《天福寺 木造菩薩立像》 奈良~平安時代前期 宇佐市黒区

《天福寺 木造菩薩立像》 奈良~平安時代前期 宇佐市黒区

画像: 《修正鬼会面(荒鬼面)》 江戸時代 智恩寺

《修正鬼会面(荒鬼面)》 江戸時代 智恩寺

2015年4月に開館した大分県立美術館

 芸術文化の花咲く大分の地で、大分県立美術館は、1977年に開館した大分県立芸術会館の老朽化を受けて、新しい美術館として開館しました。
大分県出身者の作品を主にコレクションし、豊後南画の田能村竹田(たのむらちくでん)、日本画の福田平八郎、髙山辰雄、油彩画の宇治山哲平、彫刻家の朝倉文夫、前述の「ネオ•ダダイズム•オルガナイザーズ」を代表する吉村益信など、5,000点以上にのぼる大分県立芸術会館のコレクションを引き継いでいます。
4月に開館した際の、開館記念展vol.1 モダン百花繚乱「大分世界美術館」では、それら所蔵作品と国内外からの名品あわせて200余点の作品が一斉に並び展示されました。

宇佐神宮と東西のヴィーナス

 開館記念展vol.2のタイトルで、『「神々の黄昏」-東西のヴィーナス出会う世紀末、心の風景(けしき)、西東』とあります。
九州は古くから大陸の玄関口であり、様々な文化が交差する地です。
大分県内にある宇佐神宮は、全国に40,000社ある八幡宮の総本社になり、神亀2年(725年)に創建されたと伝えられています。
大陸が近い要衛の地であった宇佐神宮は、はやくから神仏習合の地となり、様々な仏教文化の花咲く地ともなっています。
また宇佐と国東半島には、六郷満山(ろくごうまんざん)と称する密教の山岳寺院組織があり、古来の山岳信仰とともに、宇佐神宮と神宮寺である弥勒寺を中心とした八幡信仰、神仏習合の独特な山岳仏教文化が形成されました。
これは、古くからの福岡の英彦山を中心とした修験道とも結びつきもあり、地域特有の独特の文化圏があったように思います。
こういった仏教文化を表した、宇佐の天福寺に残る奈良、平安時代の木彫仏像の美がもたらすのは、まさに大分のヴィーナスともいえるでしょう。
今回の開館記念展vol.2では、目玉として、ウィーン世紀末のグスタフ・クリムトの傑作「ヌーダ・ヴェリタス(真実の裸身)」が展示されます。
東西のヴィーナスが出会う大分県立美術館で、古いものと新しいものがバランス良くマッチした、秋の大分のアートを楽しむのもいいでしょう。

画像: グスタフ・クリムト 《ヌーダ・ヴェリタス》 1899年 オーストリア演劇博物館 Theatermuseum, Vienna

グスタフ・クリムト 《ヌーダ・ヴェリタス》 1899年
オーストリア演劇博物館 Theatermuseum, Vienna

画像: 藤島武二 《天平の面影》 1902年 石橋財団石橋美術館 重要文化財(展示期間 10月31日~12月27日)

藤島武二 《天平の面影》 1902年 石橋財団石橋美術館
重要文化財(展示期間 10月31日~12月27日)

画像2: 会場風景 photo(C)cinefil art review

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画像3: 会場風景 photo(C)cinefil art review

会場風景 photo(C)cinefil art review

開館記念展vol.2 「神々の黄昏」
-東西のヴィーナス出会う世紀末、心の風景(けしき)、西東 概要
会  期:2015年10月31日(土) - 2016年1月24日(日)
休展日:11月16日(月)•30日(月)•12月14日(月)•28日(月)
    2016年1月12日(火)展示替えのため休展
開館時間:10:00–19:00(※金・土曜日は20:00まで/入館は閉館の30分前まで)
観覧料:当日券:一般 ¥1,200 大学・高校生¥800 中学・小学生 ¥600
    前売券/団体券:一般 ¥1,000 大学・高校生 ¥600 中学・小学生 ¥400
会  場:大分県立美術館
     大分県大分市寿町2番1号
     phone 097-533-4500
     fax 097-533-4567
     e-mail info@opam.jp
公式サイト:http://www.opam.jp/
主  催:大分県立美術館開館記念展vol.2「神々の⻩昏」実⾏委員会
     大分県立美術館 公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団
共  催:大分合同新聞社
後  援:オーストリア大使館 大分県 大分県教育委員会 大分県芸術文化振興会議
     JR九州大分支社 朝日新聞社 西日本新聞社 NHK大分放送局 OBS大分放送
TOSテレビ大分 OAB大分朝日放送 エフエム大分 OCT大分ケーブルテレコム
特別協賛:全日本空輸株式会社 三和酒類株式会社 ワタナベメディカルグループ
     公益財団法人戸髙育英会
助  成:平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業
特別協力:オーストリア演劇博物館
企画協力:宇佐神宮、大分県立歴史博物館

森秀信 プロフィール

1966年長崎市生まれ。
武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻修了後、現代美術センターCCA北九州リサーチプログラム修了。
主に現代美術の創作活動の他、展覧会のキュレーションやワークショップの企画を担当。専門は現代美術。

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