京都文化博物館フィルムシアターで開催の、脚本家・依田義賢の世界。
『西鶴一代女』(1952)。井原西鶴『好色一代女』で不連続に構成されいる不運な女・お春にまつわる話を、依田義賢が再構成し、オリジナルな脚色も加えてドラマ化。
御所−国主の屋敷−島原−商家−家庭−寺−国主(息子)の屋敷−街娼と、当時の階級層と権力の系列を見せ、女一人ではどうしようもない封建社会の環境の中で、数奇な運命に弄ばれながらも真実に生きようとするお春の一生を田中絹代が熱演。それは女の情念を通り越して“妖気の迫力”とまで賞された。本作はヴェネツィアで、ジョン・フォード監督の『静かなる男』とともに国際監督賞を受賞。

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

画像1: (C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

(C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

『西鶴一代女』
1952(昭和27)年新東宝=児井プロ作品/137分・モノクロ


製作:児井英生 原作:井原西鶴 監督・構成:溝口健二 脚本:依田義賢 監修:吉井勇 撮影:平野好美 照明:藤林甲 録音:神谷正和 美術監督:水谷浩 音楽:斎藤一郎 監督補佐:荒井良平 編集:後藤敏男 助監督:内川清一郎 特別出演:文楽座三ツ和会/人形・桐竹紋十郎、太夫・竹本紋太夫、三味線・豊沢猿二郎 振付・井上八千代、琴・萩原正吟

出演:田中絹代(お春)、山根寿子(奥方)、三船敏郎(勝之介)、宇野重吉(扇屋弥吉)、菅井一郎(お春の父・新左衛門)、進藤英太郎(笹屋嘉兵衛)、大泉滉(笹屋番頭・文吉)、清水将夫(菊小路)、加東大介(菱屋太三郎)、小川虎之助(磯部弥太衛門)、柳永二郎(田舎大尽)、浜田百合子(お局・吉岡)、原駒子(お局・葛井)、毛利菊枝(老尼・妙海)、沢村貞子(笹屋女房・お和佐)、近衛敏明(松平晴隆)、志賀廼家弁慶(笹屋の大番頭・治平)、坂内永三郎(所司代役人)、松浦築枝(お春の母・とも)

画像2: (C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

(C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/


厳しい寒さが骨身にしみる冬の夜明け前。
三人の女が、奈良の荒れ寺にたたずんでいる。
三人は老い疲れた姿を派手な着物と厚化粧で隠していた。
その中に「五十の婆ぁが二十歳になるのは無理じゃなぁ」と、淋しく笑う、お春という女がいた。
焚き火に照らされた羅漢堂にそっと入ったお春は、そこに並ぶ佛の顔をじっとみつめた。
すると羅漢像は、お春の前を過ぎていった男たちの面影に重なっていった・・・。

画像3: (C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

(C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

『西鶴一代女』1952(昭和27)年


1686(貞享3)年に出版された井原西鶴の『好色一代女』を原作に、作中では6巻、24章のエピソードから不連続に構成されいる不運な女・お春にまつわる話を、依田義賢はそれぞれを再構成し、オリジナルな脚色も加えてドラマ化をはかる。

御所−国主の屋敷−島原−商家−家庭−寺−国主(息子)の屋敷−街娼と、当時の階級層と権力の系列を見せ、女一人ではどうしようもない封建社会の環境の中で、数奇な運命に弄ばれながらも真実に生きようとするお春の一生を田中絹代が熱演。
それは女の情念を通り越して“妖気の迫力”とまで賞された。

本作はヴェネツィアで、ジョン・フォード監督の『静かなる男』とともに国際監督賞を受賞。
戦争を挟んでスランプ状態だった溝口監督は、高らかに復調を宣言する。
本作で一世一代の名演を見せた田中絹代と溝口監督は、戦前の『浪花女』(1940)以来のゴールデンコンビで、『雨月物語』(1953)、『山椒大夫』(1954)等々、二人が喧嘩別れする1954年の『噂の女』まで、溝口監督の13作品のうち11作品に出演することになる。


画像: 依田義賢氏スナップ(場所:大映京都撮影所) (C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

依田義賢氏スナップ(場所:大映京都撮影所)
(C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

京都木屋町で生まれ、京都を拠点にして活躍し、140作品以上のシナリオを手がけた依田義賢(1909~1991)。

『浪華悲歌』以来、20年近くに渡って溝口健二作品の脚本を担当し、その全盛期を支えた。
「溝口あっての依田」とされる一方、「依田あっての溝口」とも評価される。
一方、伊藤大輔、内田吐夢、今井正ら巨匠の作品から娯楽映画や左翼系映画にまで幅広く最高品質の脚本を提供している。
今回の特集では、映像学会関西支部での依田義賢回顧特集にあわせ、溝口以前からその後まで、幅広いジャンルで上質な脚本を練り上げた依田義賢の実績をふりかえる。


10月14日(水)13:30~・18:30
16日(金)13:30~・18:30~
『恋や恋なすな恋』
1962年東映京都作品(モノクロ・109分)/監督:内田吐夢/
出演:大川橋蔵、瑳峨三智子、宇佐美淳也


10月15日(木)13:30~・18:30
17日(土)13:30~・17:00~
武士道残酷物語
『武士道残酷物語』
1963年東映京都作品(カラー・123分)/監督:今井正/
出演:中村錦之助、東野英治郎、森雅之、有馬稲子


10月18日(日)17:00〜のみ
ある映画監督の生涯
『ある映画監督の生涯』
1975年近代映画協会作品(カラー・150分)/監督:新藤兼人/
出演:伊藤大輔、田中絹代、依田義賢

京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

This article is a sponsored article by
''.