映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して(原題: Finding Vivian Maier)』
シカゴのオークションで偶然発見された謎の天才女性写真家ビビアン・マイヤーに迫り、第87回(2015年)アカデミー賞の長編ドキュメンタリ賞にノミネートされたアート・ドキュメンタリ。
2007年、シカゴで暮らす青年ジョン・マルーフが、オークションで大量の古い写真のネガを380ドルで落札した。マルーフがその一部をブログで紹介すると世界中から賞賛の声が寄せられ、写真集の売り上げは全米1位を記録。
欧米各地で開かれた展覧会も好評を呼んだ。写真を撮影したのはかつてニューヨークでナニー(乳母)として働いていた女性ビビアン・マイヤー。すでに他界しており、15万点以上もの作品を残しながらも、1枚も公表することなくこの世を去っていた。
ナニーである彼女がなぜこれほどまでに素晴らしい写真を撮影できたのか、そしてなぜ作品を誰にも見せなかったのか、彼女の作品の発見者であるマルーフ本人と、テレビドキュメンタリなどの製作を手掛けてきたチャーリー・シスケルが監督を務め、関係者へのインタビューなどを通してその人物像を明らかにしていく。
いやぁ、興味津々。謎に惹かれる。
どんどん魅力を感じさせてくれるゼ、ビビアン・マイヤー。NYのその時代を切り取った貴重なポートレイトの数々。彼女の独特のセンス溢れる写真はどれも本当に素晴らしい。
素人のボクが見ても良いなって、もっと見たいなって、写真集欲しいなって、写真展行きたいなって思うほどワクワクする。
知人らが語る彼女は、最初、その変人っぷりに驚いたけれど、ユーモラスで衝撃的ですらある闇の部分が見えてくる。そして何とも言えない気持ちになる…。
それも含めて、写真に全てがあるように感じたな。しかも、亡くなった無名の人について、これまた無名の人たちが語るドキュメンタリって珍しくて面白いよね。
記憶の曖昧さとか…。フランスの写真屋宛の手紙はじわっと感動した。
ビビアン・マイヤーの素晴らしい写真に引き込まれ、本人に興味が湧き、その謎に惹かれる映画。写真好きでなくともオススメ。
シネフィル編集部 あまぴぃ