映画『アメリカン・ドリーマー 理想の代償(原題: A Most Violent Year)』
『マージン・コール』『オール・イズ・ロスト~最後の手紙~』などのJ・C・チャンダーが放つ社会派ドラマ。

画像: シネフィル映画短評 第110回『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』

1980年代初頭のニューヨークを舞台に、オイルビジネスに参入した実業家夫妻が何者かの策略によって窮地に立たされる姿を追う。
主人公夫妻として『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』などのオスカー・アイザック、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステイン、デイヴィッド・オイェロウォ、アルバート・ブルックスら実力派が出演。

さまざまな思惑が交錯する石油ビジネスの実態に加え、全編を貫く緊迫感あふれるタッチにも圧倒される。
うお~重厚なドラマだなあ、社会派だなあ。重い!! 渋い!!
“アメリカン・ドリーム”という普遍的なテーマを主軸にギャング映画のような刺激的なドラマを描き出してるんだけど、それだけ聴くとサスペンスとバイオレンスに満ちたドラマティックな展開をイメージするんだけれど、非常に抑制された演出で内面に迫ってて、それがものすごくリアルな緊張感を生み出しているんだよね。加えて撮影が素晴らしいんだよ。

冒頭マーヴィン・ゲイの「インナー・シティ・ブルース」が流れる明け方のニューヨークの殺風景な工場地帯のシーンでもう目は釘付け、引き込まれた。
赤みが強調された画面に犯罪が多かった1981年のニューヨークの世界がダイナミックに描き出されてるの。そして演技も素晴らしいんだ。心情の揺れ動きを巧みに表現したオスカー・アイザックの熱演、アルマーニを着こなしたジェシカ・チャステインの美しさと魅力…。
暴力が支配する世界や時代はダメだけれど、理想だけで生きていけるほど世の中は甘くないってことなんだよね…。うーん、考えさせられるなあ。
全編に貫かれた緊張感のせいか、観後、心地良い疲労感に包まれた。
演出、撮影、演技が噛み合った素晴らしい傑作だと思う。
秋の夜長にじっくりと良いドラマを味わうことができますわよ。

シネフィル編集部 あまぴぃ

アメリカン・ドリーマー 理想の代償

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