京都文化博物館フィルムシアター、脚本家・依田義賢の世界。9月21日は、マーティン・スコセッシ監督も大好きな『雨月物語』(1953)が上映される。

戦争の惨禍、無常観を背景に、“欲”や“色”におぼれる男達、また、その犠牲になり、哀怨から死霊となって男を待つ女を幽玄の絵巻にまとめあげた。
伊藤熹朔の武家屋敷等の美術、早坂文雄の日本楽器を主体とした音楽、宮川一夫の艶のある画面と舞踏のようなキャメラワークは、モノクローム映画の金字塔となった。

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

画像1: ©『雨月物語』-cinefil 京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

©『雨月物語』-cinefil 京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive


京都文化博物館フィルムシアター、脚本家・依田義賢の世界。
9月21日は、マーティン・スコセッシ監督も大好きな、『雨月物語』(1953)の上映です。

戦争の惨禍、無常観を背景に、“欲”や“色”におぼれる男達、また、その犠牲になり、哀怨から死霊となって男を待つ女を幽玄の絵巻にまとめあげた。
伊藤熹朔の武家屋敷等の美術、早坂文雄の日本楽器を主体とした音楽、宮川一夫の艶のある画面と舞踏のようなキャメラワークはモノクローム映画の金字塔となった。

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

画像2: ©『雨月物語』-cinefil 京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

©『雨月物語』-cinefil 京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

『雨月物語』
1953(昭和28)年大映京都作品/97分・モノクロ


『雨月物語』
1953(昭和28)年大映京都作品/97分・モノクロ
製作:永田雅一 企画:辻久一 原作:上田秋成(『雨月物語』より) 
監督:溝口健二 脚本:川口松太郎、依田義賢 
作詞:吉井勇 撮影:宮川一夫 録音:大谷厳 照明:岡本健一 
美術監督:伊藤熹朔 音楽:早坂文雄 風俗考証:甲斐庄楠音 
能楽按舞:小寺金七 陶技指導:永楽善五郎 助監督:田中徳三

画像3: ©『雨月物語』-cinefil 京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

©『雨月物語』-cinefil 京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive


出演:京マチ子(若狭)、水戸光子(阿浜)、田中絹代(宮木)、森雅之(源十郎)、

小沢栄(藤兵衛)、青山杉作(老僧)、羅門光三郎(丹波方部将)、香川良介(村名主)、上田吉二郎(衣服店主人)、南部彰三(神官)、毛利菊枝(右近)、光岡龍三郎(自害する部将)、天野一郎(梅津の船頭)、尾上栄五郎(武将)、伊達三郎(家臣)、横山文彦(目代)、玉置一恵(村の男)、沢村市三郎(源市)

画像4: ©『雨月物語』-cinefil 京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

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『雨月物語』ストーリー


戦国の世、琵琶湖畔に住む陶工と農夫の兄弟は、それぞれの家族を連れ京へ向かった。
途中、兄・源十郎の妻子は戦火をおそれて村に引き返し、弟・藤兵衛は女房を捨て、羽柴勢に紛れこんだ。

その後、城下町の市で陶器を並べる源十郎は、若狭と名乗る美女から多くの注文を受け、彼女の邸で歓待を受けるまま、妻子を忘れた日々を過ごす。

その頃弟の藤兵衛は、戦場で拾った兜首を届けて侍に出世していた。
ある日、通りかかった宿場で、遊女に身を落とした妻と偶然出会い、欲にとりつかれたおのれの愚かさを思い知る。
一方、源十郎は若狭に帰郷すると告げると、辺りが廃屋となり、彼女が死霊だったと知る・・・。

画像5: ©『雨月物語』-cinefil 京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

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本作は近代怪奇文学の傑作と言われる上田秋成の『雨月物語』の、「浅茅ヶ宿」と「蛇性の淫」から溝口監督と依田義賢が構想し、川口松太郎が原作を書いた。

戦争の惨禍、無常観を背景に、“欲”や“色”におぼれる男達、また、その犠牲になり、哀怨から死霊となって男を待つ女を幽玄の絵巻にまとめあげた。

伊藤熹朔の武家屋敷等の美術、早坂文雄の日本楽器を主体とした音楽、宮川一夫の艶のある画面と舞踏のようなキャメラワークは、モノクローム映画の金字塔となった。

照明は岡本健一が担当し、モノクロームに浮かぶ絵巻物の世界を、スモークをたいて照明を当てるなどの工夫で再現している。
同年、溝口監督、川口松太郎、依田義賢、田中絹代は本作を携えヴェネチア映画祭に乗り込む。

戦争の悲惨さと改悟を、雨後の月のように悲しく愁いに煙って描いたと、絶賛されたが、ただ、本作より『西鶴一代女』の方が、人間が描けているとも言われ、グランプリは見送り、一席の本作が銀獅子賞を獲得した。
ちなみに二席は、フェリーニの『青春群像』であった。

京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

上映スケジュール

9月21日(月・祝)13:30~・17:00~
雨月物語
『雨月物語』
1953年大映京都作品(モノクロ・97分)/監督:溝口健二/
出演:京マチ子、田中絹代、森雅之


9月22日(火・祝)13:30~・17:00~
山椒大夫
『山椒大夫』
1954年大映京都 (モノクロ・124分)/監督:溝口健二/
出演:田中絹代、花柳喜章、香川京子、進藤英太郎


9月23日(水・祝)13:30~・17:00~
近松物語
『近松物語』
1954年大映京都作品(モノクロ・102分)/監督:溝口健二/
出演:長谷川一夫、香川京子、南田洋子、進藤英太郎


9月27日(日)13:30~・17:00~
わたしの名は情婦
『わたしの名は情婦』
1949年大映京都作品(モノクロ・87分)/監督:森一生/
出演:水戸光子、二本柳寛、菅井一郎

9月29日(火)13:30~・18:30~
10月2日(金)13:30~・18:30~
おぼろ駕籠
『おぼろ駕篭』
1951年松竹太秦作品(モノクロ・95分)/監督:伊藤大輔/
出演:阪東妻三郎、田中絹代、山田五十鈴、佐田啓二


9月30日(水)13:30~・18:30~
10月3日(土)13:30~・17:00~
西鶴一代女
『西鶴一代女』
1952年新東宝=児井プロ作品(モノクロ・137分)/監督:溝口健二/
出演:田中絹代、山根寿子、三船敏郎


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