第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、大きな反響を呼んだこの衝撃的な問題作を手がけたのは、カナダを代表する名匠にして著名な国際映画祭の常連監督であるアトム・エゴヤン。アメリカで実際におきた女性監禁事件“ジェイシー・デュガード事件”をモデルとしたという。

失踪した娘を捜し続ける父親が、事件発生後8年目にして意外な形で発見された“生存の手がかり”に翻弄されながらも、必死の思いで真相に迫っていく姿から目が離せない。また観客を幻惑し、挑発するかのように時系列を複雑に錯綜させ、なおかつ欠落したパズルのピースを埋める鮮やかな手並みで、幻のごとき失踪事件の全体像を浮かび上がらせる独特の語り口は、ミステリー好きの観客の感性を大いに刺激するに違いない。

画像1: 実在の事件をモデルに---アトム・エゴヤン監督の衝撃の問題作!『白い沈黙』公開!

また、オープニング・ショットから見わたす限り白銀の世界が広がる舞台設定は、エゴヤン監督による1997年の代表作『スウィート ヒアアフター』のイメージを喚起させ、不可解な犯罪の深淵に切り込んだ内容は2013年の前作『デビルズ・ノット』に通じるものがある。さらにトラウマを抱えた登場人物の内面をあぶり出しながら、一般市民のプライバシーを脅かす監視カメラ、インターネット上にひしめく非合法ポルノサイトといった深刻な社会問題を鋭く考察。繊細なエモーションや危ういスリルをはらむ“白い沈黙”に閉ざされた映像世界は、まさに唯一無二のエゴヤン・ワールドである。

画像2: 実在の事件をモデルに---アトム・エゴヤン監督の衝撃の問題作!『白い沈黙』公開!

ストーリー


カナダ・オンタリオ州の雪に閉ざされた街を舞台にした物語の出発点は、小さな造園会社を営むマシューが帰宅途中にダイナーに立ち寄ったこと。店内で買い物をしているほんの数分の間に、車の後部座席に残した9歳の愛娘キャスが忽然と消えてしまったのだ。

マシューは何者かによる誘拐を主張するが、犯罪を示す物的証拠も目撃情報もなく、捜査を担当する刑事たちの疑惑の目はマシューに向けられる。

それから8年後、妻のティナと別居したマシューは、娘を守れなかった自責の念に駆られながら孤独な捜索を続けていた。そんなある日、刑事がネット上でキャスに似た少女の画像を発見し、その後も彼女の生存を仄めかす手がかりが次々と浮上する。

それはいったい誰が、何のために発したサインなのか。キャスは本当に今も生きているのか。やがてマシューの行く手に待ち受けていたのは、空白の8年間をめぐる想像を絶する真実だった……。

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アトム・エゴヤン監督

1960年7月19日生まれ、エジプト・カイロ出身。
大学卒業後手がけた初の長編映画『Next of Kin(原題)』(84)がジニー賞(カナダのアカデミー賞)の監督賞にノミネートされる。続く『ファミリー・ビューイング』(87)はロカルノ映画祭でエキュメニック審査員賞、トロント映画祭では最優秀カナダ映画賞を受賞、ジニー賞では作品・監督・脚本を含む8部門にノミネートされた。
94年、『エキゾチカ』でカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞し、ジニー賞では作品・監督を含む8部門を受賞、一躍世界が注目する監督となる。その後、97年に発表した『スウィート ヒアアフター』は、カンヌ国際映画祭で、審査員グランプリ、国際批評家連盟賞、エキュメニック賞をトリプル受賞し、アカデミー賞(R)では監督賞と脚色賞の2部門にノミネートされ、全世界で高い評価を受けた。
その他の作品に『フェリシアの旅』(99)、『アララトの聖母』(02)、『秘密のかけら』(05)、『クロエ』(09)、『デビルズ・ノット』(14)などがある。
国際映画祭での審査員経験も数多く、ベルリン国際映画祭で審査員長を務めたほか、カンヌ、ヴェネツィア、サンダンス、トロント、トライベッカ等の国際映画祭で審査員を務めている。
また、ワーグナーの「ワルキューレ」をはじめ、オペラや舞台劇の演出も手がけ、ダブリンのゲート劇場で演出したサミュエル・ベケットの劇「ねえジョウ」はロンドンのウェスト・エンドやニューヨークのリンカーンセンター・フェスティバルでも上演された。また、ヴェネツィア・ビエンナーレなどでアート作品を発表。インスタレーション“Steenbecket”は、テートとの革新的提携であるアートエンジェル・コレクションに加えられている。

映画『白い沈黙』
10月16日よりTOHOシネマズ シャンテほかで全国順次ロードショー。

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