映画『ラブ&マーシー 終わらないメロディー(原題: Love & Mercy)』
「ザ・ビーチ・ボーイズ」の中心メンバーとして数々の名曲を生み出す一方で、音楽制作の過程で精神的に極限まで追い詰められるといった逸話でも知られるブライアン・ウィルソン。
彼の栄光と苦悩の半生をブライアン本人公認のもと映画化。
1960年代「サーフィン・U.S.A.」をはじめとするヒット曲により人気の頂点にいたザ・ビーチ・ボーイズ。
現在は傑作と称えられるも、発表当時は世間をにぎわせた「ペット・サウンズ」制作の裏側、そして妻メリンダと出会い再び希望を見いだしていく様を描く。
監督はアカデミー賞作品『それでも夜は明ける』のプロデューサで、本作が初監督作となるビル・ポーラッド。精神的に混乱と変調をきたしていく1960年代のブライアンを『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』などのポール・ダノ、1980年代のブライアンをベテランのジョン・キューザックが演じる。
いやあ、夏ですね〜、“サーフ・ロック”の季節ですね〜。何といっても流れる音楽が心地良い。
溢れる才能、素晴らしいメロディと歌詞の数々、そして栄光と苦悩、画面を埋め尽くすそれらに酔いしれる122分間。
天才ゆえの感性と繊細さ、成功ゆえのプレッシャー、それらによる辛さも画面から伝わってくる。そしてこのエキセントリックな主人公をまるで本人が乗り移ったかのように演じているポール・ダノとジョン・キューザックが素晴らしいんだ。特にポール・ダノはピカイチで本人かと思うほどだよ。甘い歌声にもウットリ…。絶妙なタイミングでの『Wouldn'tIt Be Nice』のカットインやエンディングからエンドロールへの流れなど、そのあたりの演出・編集はボク好みで感動。
アッティカス・ロスによる音楽も素晴らしく、ザ・ビーチ・ボーイズの楽曲をモチーフにした音楽の数々にもウットリ…。本人公認だけあってきっと史実に忠実なんだろうな。
メリンダの存在にはボクからも感謝したいほど。そんな女性に出会えたことは幸せだよなあ。ザ・ビーチ・ボーイズ好きにはもちろん、音楽好きにもオススメ。
シネフィル編集部 あまぴぃ