死後50年を経て姿を現したフリーダ・カーロの遺品。
写真を撮ることを許され、任命された日本人写真家・石内都
彼女のまなざしは画家であった伝説の女性の姿を写しだす。
2人の女性を通して記録と記憶を巡るドキュメンタリー。
監督は『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』で、国内外で高く評価された小谷忠典。
フリーダ・カーロ 1907-1954
近代メキシコを代表する画家。
6歳の時にポリオのため右足が不自由となった彼女は、さらに17歳でバスの大事故で瀕死の重体に陥ったが九死に一生を得る。入院中に独学で絵を学び、その作品は著名な壁画家で後に夫となるディエゴ・リベラに絶賛を受けた。
後遺症に苦しみながらもフリーダはメキシコ、アメリカにおいて絵画・壁画を制作する。また、アンドレ・ブルトンの称賛のもとパリで個展も開き、ヨーロッパにおいてもシュルレアリズムの作家としての評価を得た。
恋多きフリーダは、レオン・トロツキーやイサム・ノグチとの奔放な恋愛や、ディエゴと二度にわたる結婚など、作品と共にその情熱的な生涯は現在の女性たちにも刺激を与えている。
作品はオークション記録を常に塗り替え、書籍、絵画、映画において彼女の人生は広く共感を呼んでいる。
小谷監督が遺品のなかでも一番気になったというのが、フリーダが日常的にまとっていたメキシコの伝統的なドレスです。
「フリーダは、彼女の母親の故郷で作られたドレスを着ていました。そこで、実際にその場所に行き、民族衣装の刺繍家たちを取材したのですが、今もなお生活のなかに伝統的な刺繍の技術が息づいていたんです。おばあちゃん個人がやっているわけではなくて、ずっと受け継がれている時間がドレスに表れていました。だから、フリーダが、このドレスを着ているときは、安心したのかなぁ、守られていたのかなぁと感じました」(小谷監督)
『フリーダ・カーロの遺品 -石内都、織るように』(監督:小谷忠典)