6月28日は市川雷蔵主演『忍びの者』(1961(昭和36)年)
映画にみる戦国時代@京都文化博物館フィルムシアター

京都文化博物館フィルムシアター、映画にみる戦国時代。6月28日は『忍びの者』(1962)。

監督は社会派でならす山本薩夫。従来の、児雷也や霧隠才蔵などファンタジックなスーパーマンとして描かれた忍者とは違い、最下層の下忍として弱味を握られ、脅されながら窃盗や暗殺をはたらく一人の男としてリアリスティックに描く。

冷酷無惨な忍びの裏社会と下忍の悲哀、それを利用して権謀術数を尽くす、権力者達の醜い陰の部分をさらけ出させる。

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html

画像1: 『忍びの者』1961(昭和36)年東映京都作品/110分・カラー

『忍びの者』1961(昭和36)年東映京都作品/110分・カラー

京都文化博物館フィルムシアター、映画にみる戦国時代。6月25日と28日は『忍びの者』(1962)。監督は社会派でならす山本薩夫。
従来の、児雷也や霧隠才蔵などファンタジックなスーパーマンとして描かれた忍者とは違い、最下層の下忍として弱味を握られ、脅されながら窃盗や暗殺をはたらく一人の男としてリアリスティックに描く。冷酷無惨な忍びの裏社会と下忍の悲哀、それを利用して権謀術数を尽くす権力者達の醜い陰の部分をさらけ出させる。

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html

『忍びの者』
1961(昭和36)年東映京都作品/110分・カラー

『忍びの者』
1961(昭和36)年東映京都作品/110分・カラー
製作:永田雅一 企画:伊藤武郎、土井逸雄 原作:村山知義『忍びの者』(理論社) 脚本:高岩肇 監督:山本薩夫 撮影:竹村康和 録音:奥村雅弘 美術:内藤昭 音楽:渡部宙明

画像2: 『忍びの者』1961(昭和36)年東映京都作品/110分・カラー

『忍びの者』1961(昭和36)年東映京都作品/110分・カラー

出演:市川雷蔵(石川五右衛門)、藤村志保(マキ)、伊藤雄之助(百地三太夫/藤林長門守)、小林勝彦(織田信雄)、城健三朗(織田信長)、浦路洋子(ヒノナ)、藤原礼子(ハタ)、真城千都世(タモ)、岸田今日子(イノネ)、丹羽又三郎(木下藤吉郎)、西村晃(下柘植の木猿)、中村豊(投げの与八)、高見国一(新堂の小太郎)、千葉敏郎(九度兵衛)、沢村宗之助(木屋弥左衛門)、加藤嘉(葉蔵)、水原浩一(五右衛門の父)

画像3: 『忍びの者』1961(昭和36)年東映京都作品/110分・カラー

『忍びの者』1961(昭和36)年東映京都作品/110分・カラー

戦国末期、延暦寺や石山本願寺を攻撃した織田信長は、伊賀忍者たちの怒りを買った。忍者の中で勢力を二分する百地砦の三太夫と富士林長門守は、それぞれの配下に信長暗殺の密命を下した。
三太夫は妻のイノネと五右衛門を密通させ、不義を働いたとして妻を殺害、五右衛門にはその代償として信長暗殺を命じる。京に出た五右衛門は信長の命をつけねらうが・・・。

1959年、司馬遼太郎の忍者小説「梟の城」、村山知義の新聞連載「忍びの者」、山田風太郎の「風太郎忍法」シリーズと大衆小説の世界は忍者ブームがまき起こる。

このブームは、それまで荒唐無稽な幻術とされていた忍術が実は科学的な積み重ねと身体の鍛錬、そして巧妙な詐術によって成立する武道の一つで、特に歴史の変わり目に為政者や権力者のスパイとして、特殊工作部隊として暗躍したスペシャリストとして見直され、再解釈されたことによる。

そんななか映画化されたのが本作である。村山知義が書いた新説五右衛門「真昼の罠」を原作に高岩肇が脚本化する。監督は社会派でならす山本薩夫で、明治末にマキノ省三・尾上松之助が立川文庫などを下敷きに、児雷也や霧隠才蔵などファンタジックなスーパーマンとして描いた忍者とは違い、本作では最下層の下忍として弱味を握られ、脅されながら窃盗や暗殺をはたらく一人の男としてリアリスティックに描く。

それまで階級、貧富、封建的主従の権力システムと、その関係のなかで唾棄され、踏みにじられる弱者の人間性、その悲哀と反抗を描いてきた山本監督は、娯楽作品である本作でもその手腕を発揮、冷酷無惨な忍びの裏社会と下忍の悲哀、それを利用して権謀術数を尽くす、権力者達の醜い陰の部分をさらけ出させる。

島津香蘭@シネフィル編集部

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