浅野のイベント登壇理由は監督へのアピールだった!

5 月 30 日(土)の公開から連日、満席・立ち見の劇場が相次ぐなどその評判は広がり続け、公開から 14 日間で 2 億円を突破し、 16 日間で 20 万人動員(有料入場者数)興行収入 2 億 4 千万円に達するなど、公開規模 100 館以下の映画としては超ハイペースな 広がりをみせている『あん』。

女性客を中心に大ヒットしている『あん』だが、生きていく意味を見出していく千太郎(永瀬正敏) の気持ちになって男性にも本作を観てほしいと願う河瀨直美監督自らが 3 夜連続『あん』大ヒット御礼トークイベントを企画、そ の第 2 夜がシネスイッチ銀座にて開催された。

画像: Photographed by LESLIE KEE

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20代の頃のカンヌでの思い出---

第 2 夜のゲストはいまや国際派俳優として世界で活躍する浅野忠信。
「永瀬さんとは親しくさせていただいていて、 カンヌ映画祭でも色々話をして僕の中でも盛り上がっている作品。応援させていただければ。」と挨拶をし、続く河瀨監督も「憧 れの浅野さんとお話ができるのを嬉しく思っている。宜しくお願いいたします。」と、ともに対談を楽しみにしていた様子。
浅野 と永瀬の出会いは 2001 年の『ELECTRIC DRAGON 80000V』での共演。しかし浅野は 10 代の頃、『ミステリー・トレイン』に出演し た永瀬を見て、「海外の監督の作品に出る俳優が日本にいるんだ。」と強烈な憧れを抱いていたそう。

河瀨監督も「そんな二人に憧 れていました。過去形ではありません、今も憧れています。」と対談への意気込みをみせた。浅野は河瀬監督作品に出演したこと はないものの、ともに今年のカンヌ国際映画祭に参加している者同士。
実は 2 人は 20 代の頃にカンヌ国際映画祭ですれ違ってお り、河瀨監督はカンヌという大舞台に同じ日本人がいることが嬉しく、浅野に親近感を覚えていたそう。その出来事は浅野も覚え ており、「女性の監督と仕事をしたことがないので。是非、(一緒に仕事)させてください。」と河瀬監督にアピールした。

サプライズ!!!  永瀬正敏 海外から突然の登壇

浅野が出 演している黒沢清監督の『岸部の旅』がカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門の監督賞を受賞した話題になると、会場から祝福の 拍手が贈られた。河瀨監督も黒沢監督の受賞を「嬉しかった。」とコメントし、「(他の日本人監督を)同志と強く思っているわけで はないけれども、一緒にパワーを世界に発信してもいいんじゃないのかな。中国や台湾は自分たちの国はこうだ!とアピールして いる。」と日本人にも自分たちの文化や自分のアイデンティティにもっと誇りを持ってほしいことを訴えた。
これには浅野も「海外の監督と仕事をすると、「君はどうしたい?」と必ず聞かれる。」と明かし、皆同じことがいいとされる日本の教育にも触れなが ら、「答えが出ないことは悲しいこと。」と河瀬監督の意見に共感した。
さらには「映画は俳優の力が大きく影響している。日本人 の俳優は本来の力を発揮できていないのでは?」という河瀬監督の考えから 2 人のトークはヒートアップ!
これまで多くの監督と 仕事をしてきた浅野は、「心の中で、あなたの演出はつまんないですよ!と思う時がある」と大胆発言で観客を驚かせた。
河瀨監督も「実は本作の撮影中に永瀬君に泣かされた」と暴露。実はあるシーンで永瀬に「好きにやっていいよ」と言ったところ永瀬が とてもいい表情をし、思わず泣いてしまったそう。
これには映画を観終わったばかりの観客らがそのシーンを思い出したのか涙ぐ む姿も。
すると、「そんな千太郎がこの会場に来ています!」という河瀨監督の呼びかけで永瀬がサプライズ登場!
観客だけでな く、浅野も永瀬の登壇を知らなかったようで、「全く聞かされていなかった、嬉しい!」と満面の笑みで出迎えた。
永瀬は「皆さ ん、わざわざ来て下さりありがとうございます。」と深々とお辞儀をすると浅野の坊主頭をさすり、会場の笑いに包まれながら浅 野との再会を喜んでいた。
永瀬は台湾で自身の写真展の初日を迎えていたが、浅野がイベントに登壇することを聞いて、急遽台湾 から帰国。お土産のパイナップルケーキを浅野にプレゼントした。

河瀨監督の次回作に浅野忠信と永瀬正敏が出演決定か?!

トークも終盤に差し掛かり、MC から浅野と永瀬の共演作を撮る可能性があるのか聞かれた河瀨監督は、「浅野君が良ければ」とコ メント。
すると浅野は「その為に来たようなもんですから!」と今回のイベントに参加した理由を明かし、会場からは割れんばか りの拍手が沸き起こった。
最後に浅野は「(本作を見て)なんでこの人たちはこんなにリアルに生きているんだろう。どんなことが 現場で行われていたんだろうと疑問だったので、とてもいい時間だった。」と対談を振り返った。

サプライズ登場した永瀬は浅野 に対し「本当にありがとう。僕は『岸部の旅』観に行きます!」と感謝の辞を述べ、無事にイベントは終了した。
『あん』は現在全国 80 スクリーンで公開、最終的に 5 億円興行を目指している。なお、世界ではすでに 28 地域、30 か国以上で の販売が完了している。

©2015 映画『あん』製作委員会/COMME DES CINEMAS/TWENTY TWENTY VISION/ZDF-ARTE
配給:エレファントハウス

あらすじ
縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎。
ある日、その店の求人募集の張貼り紙をみて、千太郎にその店で働くことを懇願する一人の老女、徳江が現れる。彼女の勢いに押され るように、半信半疑のままに、翌日からどら焼きの粒あん作りを任せた千太郎だが、彼女が作る粒あんがあまりに美味しく、次第に来客数も増え、店がみるみるうちに繁盛していく。いつも、潰れたどら焼きだけをもらいに 通っていた近所の女子中学生・ワカナも次第に徳江と心を通わせていく。ある日、徳江が昔ハンセン病を患っていたことが近所の噂になる。一気に客足が遠のき、千太郎も徳江を辞めさせなければならないこと状況にな る。この状況を察した徳江は、潔くその店を去り、それ以来徳江は千太郎やワカナの前に姿を見せることはなかった。徳江は、今どうしているのだろう...。それぞれの想いを抱えて、徳江の足跡を探す千太郎とワカナ。そし て、二人が対面したものは...。

出演:樹木希林 永瀬正敏 内田伽羅 市原悦子 水野美紀 太賀 兼松若人 浅田美代子 他
監督・脚本:河瀨直美
原作:ドリアン助川 「あん」 (ポプラ社刊)
主題歌:秦 基博 「水彩の月」 (AUGUSTA RECORDS/Ariola Japan)
企画・制作:組画 共同制作:Comme des Cinémas
撮影:穐山茂樹
照明:太田康裕
録音:森英司
美術:部谷京子
衣装:小林身和子
プロデューサー: 福嶋更一郎、澤田正道、大山義人
配給:エレファントハウス

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