直木賞作家の髙橋治(たかはし・おさむ)さんが、6月13日、肺炎で亡くなられました。
大学卒業後、松竹に入社された高橋治さんは,小津安二郎(1903-1963年)に師事し,
小津安二郎監督の「東京物語」(1953年公開)で、
助監督を務めたことでも知られています。
そのあと作家に転じられてからは、独特の世界観の小説を著されています。
松竹時代の体験から、のちに小津安二郎の評伝『絢爛たる影絵・小津安二郎』を書かれました。
評論家佐高信氏から、「ふるえのくるような快作」と評された、
ノンフィクション・ノベルの傑作です。
若かりし頃の高橋治さんと、小津監督との生命が交差した、
またとない稀有な出来事の数かず、、、。
そして、その濃密な交流の時間のながれに、
ひととひととの、出会い、縁の不思議さを思わざるをえません。
ご冥福をお祈り申し上げます。
シネフィル編集部 園田恵子
小説「風の盆恋歌」(85年)などで知られる、直木賞作家の髙橋治(たかはし・おさむ)さんが、6月13日、肺炎で死去した。
86歳だった。
葬儀は近親者で営まれた。
喪主は妻留美子さんと長男文月(ふづき)涼さん。
小説にとどまらぬ幅広い活動に彩られた生涯だった。
53年、東大国文科を卒業後、松竹に入社。小津安二郎監督の「東京物語」で助監督を務めた。
82年に発表した「絢爛(けんらん)たる影絵」は、ノンフィクションの手法を取り入れて、小津監督を描いた人物伝だ。
高橋 治(たかはし おさむ)
1929年千葉県生まれ.東京大学文学部卒.
助監督として松竹に入社,同期に篠田正浩がいた.
監督に昇進するが,65年に退社し作家活動に入る.
84年「秘伝」で直木賞受賞,
88年「別れてのちの恋歌」「名もなき道を」で柴田錬三郎賞受賞,
96年「星の衣」で吉川英治文学賞受賞.
絢爛たる影絵 小津安二郎
高橋 治
■体裁=A6.並製・428頁
■定価(本体 1,280円 + 税)
■2010年9月16日
■ISBN978-4-00-602175-7 C0195
日本映画において独自のスタイルを確立し海外での評価も高い巨匠・小津安二郎.その人間と作品の魅力を「東京物語」の助監督をつとめた直木賞作家が見事に描き出したノンフィクション・ノベル.原節子,岸恵子,杉村春子らのエピソードや撮影をめぐる秘話もまじえ,名場面を考察する.軍部報道映画班時代を描いた「幻のシンガポール」を併録.(解説=E.G.サイデンステッカー)
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