映画『ゼロの未来(原題: The Zero Theorem)』
『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』などで知られる鬼才テリー・ギリアム監督が、コンピュータに支配された世界を舞台に人間の存在意義と生きる目的を問うSFドラマ、いやファンタジーか。寂れた教会にこもり、「ゼロの定理」という謎の数式を解こうとする孤独な天才技師の人生が、ある女性との出会いを機に動きだしていく様を描く。
主演は『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ 繋がれざる者』などのオスカー俳優クリストフ・ヴァルツ。共演には『海の上のピアニスト』などのメラニー・ティエリー、『ハリー・ポッター』シリーズなどのデヴィッド・シューリス、ティルダ・スウィントン、マット・デイモンら実力派が揃う。
おお!! 設定は『未来世紀ブラジル』っぽい。
人間を置いてけぼりにするテクノロジーや現代文明を思いっ切り批判してて、観後は物悲しい余韻に包まれたなあ。
秋葉原に着想を得たらしいけれど、カラフルで奇抜なファッション、原色のネオンやデジタル広告がうるさい街並、自宅兼オフィスの廃墟な教会、ガジェットたち、道化的なキャラクタ、奇抜でキッチュで斬新な映像、ふざけた話などなどどれもこれもカオスに満ちてて、レトロフューチャー感たっぷりというか、テリー・ギリアムの世界にどっぷり浸かれる。
スキンヘッドのクリストフ・ワルツは滑稽さと狂気を合わせ持ち虚無感や孤独から逃げようとする主人公を見事なはまり役で演じてる。ティルダ・スウィントンなんて一瞬誰だかわからないけど素晴らしい演技、マット・デイモンは一瞬フィリップ・シーモア・ホフマンに見えたけど怪演だよ。
皮肉な結末は現代社会の行く末を暗示しているのかしら? 完全に理解したとは思えてないのが悔しい…。ご覧になった方いらっしゃれば感想を言い合いたいですわ。
レディオヘッドの「Creep」が流れるエンディングも良いね。あまり理詰めで考えずに感覚に任せて感じる作品なのかもしれない。終わって街に出るとアレもコレもうるさく感じるよ。
シネフィル編集部 あまぴぃ
監督:テリー・ギリアム『未来世紀ブラジル』、『12モンキーズ』、『Dr.パルナサスの鏡』、『ローズ・イン・タイドランド』、『ブラザーズ・グリム』
出演:クリストフ・ヴァルツ『イングロリアス・バスターズ』、『ジャンゴ 繋がれざる者』、『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』デヴィッド・シューリス『ハリー・ポッター』シリーズ、『戦火の馬』メラニー・ティエリー『海の上のピアニスト』、『バビロンA.D.』、ルーカス・ヘッジズ『とらわれて夏』
製作:リチャード・D・ザナック『スウィーニー・トッド』、『猿の惑星』ディーン・ザナック『ロード・トゥ・パーディション』
原題:The Zero Theorem 配給:ショウゲート