当時、某天才漫画家が「世紀末のおもちゃ箱」と評した。荒俣は「世紀末のフィナーレとして小説を書いたので、そんな感想がうれしかった」と振り返る。

 バブル絶頂期、製作費18億円を投入した『帝都物語』。現場を訪れた荒俣の記憶に今も残っているのが、巨大なオープンセットだ。「昭島市に当時の銀座を再現したんです。その出来も素晴らしかった」と懐かしむ。一方、太平洋戦争中が舞台の『帝都大戦』の原作には某一派が米国のルーズベルト大統領を呪い殺そうとするくだりがあったが、「映画では戦後の同盟関係を配慮して標的をドイツのヒトラーに変えたのだとか」と経緯を明かした。

「クラシックでありながら仕掛けに凝る。夜空の月を落ちてきそうなくらい巨大に撮るなど、実相寺ワールドが全開」と実相寺昭雄監督の映像世界をたたえた。実相寺監督とは前日譚(たん)の企画も温めていたそうで、「その途中で亡くなられたのでわたしも少し心残りだったんです。今も、彼ならどう撮るかを念頭に、新企画を空想したりします」と続編への意欲ものぞかせた。

画像: 加藤を演じる嶋田久作 http://www.cinematoday.jp/page/N0073133

加藤を演じる嶋田久作

http://www.cinematoday.jp/page/N0073133

画像: 荒俣宏

荒俣宏

「帝都Blu-ray COMPLETE BOX」(価格:1万3,800円+税)は8月8日、(株)キネマ旬報DD/(株)オデッサ・エンタテインメントより発売

帝都物語 予告

youtu.be

This article is a sponsored article by
''.