画像: 「ワイルド・スピード SKY MISSION」

「ワイルド・スピード SKY MISSION」

日本人の知らない「速度と激情」

「ワイルド・スピード SKY MISSION」の中国での興行収入は、5日間で10億人民元!(約200億円)中国史上最高興行記録「トランスフォーマー4」を超えるのはもう時間の問題。

しかし時間の問題以外に、中国政府の都合にもよる。
「トランスフォーマー4」が、20億人民元を超える直前に、その上映を打ち切られたことを忘れてはいけない。

どんな大ヒットした映画であれ、中国での劇場公開はせいぜい4週間まで、という規定がある。

「トランスフォーマー4」が20億人民元を超える直前は、ちょうどぎりぎっり4週間前だが、「ワイルド・スピードSKY MISSION」は、これから少なくともあと三週間以上の上映枠があるから、中国政府がどんな手を打ってくるか、か注目したい。

ちなみに、今公開中の中国の国産映画「人再囧途之泰囧」という映画を例にとると、13億人民元までしか届かない、という状況だ。
アメリカ映画との差が明らかなので、中国政府は自国の大きいマーケットで、アメリカに負けるのが堪らないのだろう。

しかし「ワイルド・スピード SKYMISSION」に続き、「アベンジャーズ2」もあるし、ただ今北京国際映画祭に参加中の、アーノルド・シュワルツェネッガーの復帰作「ターミネーター:新起動/ジェニシス」もあるし、年末には、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」さえ控えている。
こういう大作の御陰によって、中国の映画マーケットが今年から初めて、アメリカ本国を上回る可能性出てくるのだ!

知らない人が多いと思うが、こういうハリウッド大作の中国での上映は、全部3DかIMAX版しかない。料金も日本並みか日本より高くなる。そして興行収入の最高25%しかアメリカの映画会社は取れないという規定がある。
要するに、結局一番儲かるのが映画会社よりも映画館だ。映画館は必ず50%取るから。

輸入映画としてしか中国マーケットには入れない。しかもせいぜい25%しか取分がない(中国では二次使用の利益ほぼないと考えたほうがいい)から、ハリウッドのメジャー映画会社は次々と中国の大手会社と資本提携するわけだ。
輸入映画じゃなくて、合作映画としてマーケットに参入すれば取分も大きくなるからだ。

アメリカだけではなくて、韓国のメジャー映画会社も、次々と中国と資本提携、合作映画を行う。
今、中国でのどんな大作でも特撮、CGIのポストプロダクションは、殆ど韓国人のスタッフによるものだ。
韓国の有名スターが中国の大作に主演するだけではなくて、監督さえ中国映画を撮っている。日本は完全に蚊帳の外、と考えたほうがいいだろう。

だから、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加するか参加しないかという議論は不毛だ。

それよりも如何に中国と合作映画を作るか、いかに日本の役者も優秀なスタッフも、中国で売りだすかを考えることのほうが重要だ。
それさえできないなら、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加しないほうがいいに決まっている。

林 家威:映画監督。『恋するミナミ』他。

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