画像: 取材・文:須永貴子 写真:高野広美

取材・文:須永貴子 写真:高野広美

松田龍平が演じる主人公は、“お金恐怖症”となった元銀行マンのタケ。お金を1円も使わずに生きるために、東京からかむろば村へ移住したタケは、村の人たちに迷惑を掛けたり掛けられたりしながら、なぜか村長選に立候補することに。いがらしみきおのコミックを、松尾スズキの脚本・監督で映画化した本作は、ファンタジーとリアリズムが共存する笑いに満ちた娯楽作。『恋の門』以来約11年ぶりとなる監督&主演コンビが撮影を振り返った。

画像1: 写真:高野広美

写真:高野広美

■撮影現場で自分の役を見失った

Q:完成した作品をご覧になった感想はいかがですか?

松田龍平(以下、松田):面白かったです。現場で松尾さんに演出してもらって、いろいろなことが覆り、どうなるのかなと思っていたので。

Q:いろいろなことが覆ったんですか?

松田:自分なりにタケをイメージして現場に入ったんですが、松尾さんから全く違うニュアンスを求められました。5秒間に「キレる松(たか子)さんを見てドギマギする」「お金を渡されて拒否反応をする」みたいなリアクションを次々としていたら、混乱してきて、「タケってどんなやつだったっけ?」って(笑)。多分、自分が考える小さい世界でまとまっていたので、そうしてもらったことで、役柄に広がりを持てた気がします。あと、村の人たちの濃いキャラクターに頑張って乗っかっていくタケも、結果良かったなって思います。

Q:監督は、松田さんが作ってきたタケのイメージを壊したかったんでしょうか?

松尾スズキ監督(以下、松尾監督):そんな大それたことは思っていなかったですよ。ただ、僕の中には原作のタケのイメージがあったけど、龍平は読んでいなかったから、そこの誤差はあったなと思います。原作に描かれているタケと村長の与三郎(阿部サダヲ)の関係を際立たせたかったので、「もうちょっと与三郎にぶん殴られるために、こういう感じでセリフを言って」というように、足りない部分を足していきました。

Q:約11年ぶりに監督と主演俳優として仕事をして、あらためて感じたことや、発見したことは?

松田:僕は現場でだんだんと、『恋の門』の記憶がよみがえってきました。「監督・松尾スズキ」を忘れていたなって(笑)。

松尾監督:龍平とはこの11年間、何回か共演していますけど、俳優として現場に行くときはわりとちゃらんぽらんに入っていくから。

松田:監督のときとモードが全然違う。そういう意味では、求められることをもっと意識して、現場に挑めば良かったなって。

松尾監督:後悔したんだ(笑)。

松田:松尾さんの提案をのみ込む作業をするんですけど、やっぱり言われる前に自分から何かやろうとしました。

松尾監督:「バカなの?」って言われて倒れるときの間と倒れ方は、何度見ても笑えます。あそこは僕からは何も言っていないので、「倒れ方がうまいな」って。

Q:この映画は、松田さんと片桐はいりさんの失神芸が最高です。

松尾監督:無防備な倒れ方がいいなあって。昔の龍平だったら、手で防御していたと思いますよ。

松田:(『恋の門』でも)結構、体張っていましたよ(笑)。

画像2: 写真:高野広美

写真:高野広美

『恋の門』!
懐かしいです!

シネフィル編集部

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