画像: 京都市美術館

京都市美術館

京都国際芸術祭 PARASOPIA パラソフィア はじまる!

京都を舞台にした初めての、国際芸術祭が京都市美術館中心に市内各所ではじまりました。

パラソフィアとは聞きかなれない言葉ですが、「知」の中心なき拡散、物語性などを回避したというような、知の再編集ともとらえられる新しい言葉です。
娯楽やエンターティメントではなく知のプラットフォーム、文化的な遺産を未来に向けて発信するというコンセプト。京都市美術館が巨大な現代美術の図書館とも見えてくる、哲学の町京都にふさわしい試みともいえます。京都経済同友会の提言を受け、府や市などが組織委員会をつくり、京都で初の大規模国際展を実現させたものです。21の国と地域から作家40組45人が集結しています。

画像1: 京都国際芸術祭 PARASOPIA パラソフィア はじまる!

写真 蔡國強

メインルームには、中国の蔡國強と子どもたちによる手作りのオブジェを大量に飾った高さ15メートルの竹の塔や、美術館前には去年の横浜トリエンナーレでお目見えしたやなぎみわの大型トレーラーなども目を引きます。プレパラソフィアとして、元立成小学校で展覧会を開催したウィリアム・ケントリッジ、ドミニク・ゴンザレス=フォルステルなど海外の主要なアーティストたちの映像作品にも出会えます。
去年の横浜トリエンナーレでかつて、京都市美で開催されたアンデパンダン展に出展された作品を作り変えた倉地敬子+高橋悟、地下の高嶺格の新作インスタレーションなど、過去の現代美術の読み替え、パラグラフの作り変えなど様々な深い要素も企画にこめられているようです。また、戦後アメリカ軍に接収されていた、京都市美の建物の歴史の魅力も垣間見られます。

画像2: 京都国際芸術祭 PARASOPIA パラソフィア はじまる!

 
写真 ピピロッティ・リスト


会場はほかに、京都文化博物館別館や音の作品を設置する通称「鴨川デルタ」、堀川団地の古い部屋に展示されたピピロッテイ・リストの作品など印象的なものも多数。河原町塩小路周辺、京都アートセンターのアーノウト・ミックの展示も見逃せません。
5月10日まで。月曜休場(3月9日、5月4日は開場、文化博物館のみ4月27日開場)。市美術館と文化博物館は有料。
堀川団地は無料なので、ご近所のご老人が「ここに靴ぬいであがらしてもろたらええんですか」と訪ねてこられていたのが印象的。かつてこの部屋の主を知っておられたかもしれない。鴨川デルタもそこで遊ぶ人々がふと耳にして、これは何かなということで一般の方が市美に足を運んでくださるかもしれません。その意味では、京都という都市で大型国際展を開催する意味を構造上熟慮された機知にあふれています。
春爛漫の京都では、パラソフィアをはじめパラパラソフィアも開催されてもりだくさん。青いガイドブックを手に入れて、ぜひ京都散策に!

パラソフィアホームページ
http://www.parasophia.jp

(real Kyotoの浅田彰さんの記事酷評だけど、面白い。読んでから、どうぞ。)
掲載写真・筆者

室井絵里(インディペンデントキュレータ)

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