シネフィル新連載:室井絵里のアート通信 #1
はじまりました!第七回恵比寿映像祭 「惑星で会いましょう」
2/27~3/8 10:00~20:00 (最終日18:00まで)
「惑星で会いましょう」という魅惑的なタイトルで、今日からはじまった恵比寿映像祭。地球も一つの惑星、だからどこかの宇宙からみたような視点で見られているような、多様な映像作品の現在をみせようとしたもの。
メイン会場である、東京都写真美術館が改修工事中のため、今年はザ・ガーデンホールを中心に、野外や近隣の施設、画廊など工夫して開催。
ギャラリー MEMで個展を開催中の、山口典子の携帯ガールも目を引く。
大きな壁面を影絵みたいに使った堀尾寛太、カオス理論の模様を映像化したような久野ギルなどの作品も、なかなか力強い。
私が最も引かれたのは、日仏会館2階のギャラリーのホンマタカシのtrails。
エゾシカの狩猟を数年かけておっていくいく中で、鹿が撃たれ、それをついばみに来る鳥たちを、時間と現実と映像インスタレーションでみせた映像作品。
残酷といえば残酷だけれども、音と映し出されるスクリーンの動きと映像と音・思わぬところで、生きていた鹿の映像があらわれ、しかし、その死を覚悟した目をみていくうちに、自分自身が鹿になって追われているかのような、また逆に雪の中に佇んでエゾシカを追う狩人のような、あるいは死肉をついばむカケスやカラスやフクロウ? (ワシかな?)、みたいな視点でみているような、錯覚に陥りました。
映像作品の完成度と、見せ方ということでは完成度が高い。
(最初にやってくるのはカラスでなく、カケスなのか)
3/8まで、他に上映プログラムやパフォーマンスなど、近隣画廊での展覧会もあります。入場無料。(一部映像作品上映は、有料)
室井絵里(インディペンデントキュレータ)
写真:筆者撮影 cinefil.tokyo