対談企画「いま気になる映画人」では、映画製作・プロデューサーの飯塚冬酒が「いま気になる」映画人に逢い、対談する企画です。
今回は以前からスクリーンで拝見していて、とてもとても気になっていた俳優の池田良さんにお話を伺いました。

画像: 対談企画「いま気になる映画人」VOL.17
池田良(俳優)×飯塚冬酒(映画製作・プロデューサー)

はじめまして

池田「本日はよろしくお願いいたします」

飯塚「こちらこそ、よろしくお願いいたします。池田さんの存在は昔から存じ上げていたのですが、あまり接点がなく・・・つい最近にご挨拶させていただいて、ほぼほぼ、はじめましての関係ですよね」

池田「そうですね。僕も昔からガチンコ・フィルムさんは存じ上げていて飯塚さんも知っていたのですが、きちんとお話するのは初めてですね」

飯塚「実をいうと・・・いきなりですみません。僕、池田さん、ちょっと苦手かも、と思ってたんです」

池田「え?いきなりですか?」

飯塚「(笑)映画を拝見していて素敵な俳優さんだとずっと気にはなっていたんですけど・・・『恋人たち』とか『三つの光』とか、ちょっと嫌なところのある役じゃないですか」

池田「そうですね」

飯塚「そのイメージが強すぎて(笑)。さらには、あちこちでお見掛けしてもちょっと怖いイメージで(笑)」

池田「かなり昔ですよね」

飯塚「そうですね。『恋人たち』の後くらいだと思います」

池田「そのころですか(笑)。橋口亮輔監督の『恋人たち』に出演させて頂いて、素晴らしい作品で、沢山の方に観て頂いたので、よしこれで!と思ったんですけど、中々次の仕事に恵まれない時期がありまして…殺気立っていたかもしれないです(笑)」

飯塚「で、この間あるところできちんとご挨拶できる機会があって・・・」

池田「映画館でしたよね」

飯塚「そうです。とても気さくなお人柄で今までのイメージが180度変わって・・・」

池田「で、対談してもいいかなって思ったんですか(笑)」

飯塚「いや(笑)。素敵な人だったと知って、もっとお話し伺いたいなあ、と思い今回の対談の機会をいただきました」

画像: はじめまして

俳優・池田良

飯塚「池田さんが俳優になるきっかけを教えていただいてもよろしいですか」

池田「僕は大学出てまずは外資系の会社に就職して1年半ほどアメリカで働いていたんです。その後、日本に戻ってきて仕事していたのですが、もっと違う仕事ができないかと金融や商社など転職を考えているときに、TBSテレビの『元カレ』で広末涼子さんの演技を観て、あ、もしかしたら俳優になりたいかもって思って・・・」

飯塚「テレビドラマから?」

池田「はい。
その後、クリント・イーストウッド監督の『ミスティック・リバー』のショーン・ペンの演技に感銘をうけたんですね。そこから俳優養成所を調べ始めて。当時の上司に“俳優になりたい”と言ったらめちゃくちゃ驚かれて(笑)」

飯塚「そうでしょうね」

池田「自分としては本気だったので、会社にも融通してもらいながら演技の学校に通いました」

飯塚「それまでは演技経験などは?」

池田「全くないです」

飯塚「映画や舞台を観たりとか?」

池田「舞台はほとんど観たことがなかったです。映画もハリウッド大作や、ジブリとか(笑)」

飯塚「何かがひっかかって俳優へのトリガーが弾かれたんですかね」

池田「3、4年経った頃に、なぜ俳優に惹かれたのかが腑に落ちたことがあったんです」

飯塚「それは?」

池田「演技の勉強をしていくなかで自分でも明確になったのが・・・自分は子供時代に悔しかったり悲しかったりという感情を表に出さずに生きてきたんですね。いじめなどがありまして、それに対する防衛本能として、ネガティブな気持ちを自分でも感じないように生きてきたんだなと気づきました。
だから、『元カレ」の広末涼子さんの、堂本剛さんへの想いが届かない切ない表情だったり、ショーン・ペンが娘を殺されたことを話す時の感情の発露が、自分が無意識に抑圧してきた気持ちに響いたのだと思います。」

飯塚「なるほど」

池田「俳優は、悲しい、悔しい、苦しいなどの感情も表現していくものなので。
自分が無意識に抑えつけていたものを表現することができて、俳優をすることで自分は救われてもいるんだと気付きました。」

飯塚「そう感じてからは?」

池田「迷わなくなりましたね。そこに至るまでは俳優を続けることに多少の迷いはあったんですけれど、そこに至ってからは全く迷わなくなりました」

画像: 俳優・池田良

飄々、そして理知的な

飯塚「好きな映画はありますか」

池田「僕はSF映画が好きなんです」

飯塚「例えば?」

池田「クリストファー・ノーラン監督の『インターステラ―』は大好きです」

飯塚「独特の世界ですよね」

池田「人間ドラマもしっかりしていますし、宇宙の時間やブラックホール、次元の概念とか、科学的なギミックにはまるんですよね」

飯塚「なるほど。今までお話を伺っていると、池田さんは理知的な、そして飄々と、という感じですよね」

池田「飄々はよく言われるんですよ(笑)」

飯塚「やっぱり」

池田「自分ではそれほど飄々ではないと思いますけど(笑)・・・。どんなところがそんな風に見えるんですか?」

飯塚「あまりがつがつしているところを見せない、影で努力をしてるんだろうけど、あまりそれを見せずに生きているところとか」

池田「結構がつがつしてますよ(笑)。
最近も、錚々たる俳優の方々とお仕事させて頂いたのですが、みなさん、役に真摯に貪欲に努力していると感じました。売れているとか有名であることに胡坐をかかずに一流の俳優さんは努力している。自分も結構ストイックなほうだと思っていたのですが、まだまだ足りないなあ、と」

飯塚「名前のある人ほど努力をしている」

池田「僕はそう思います」

飯塚「話は変わりますけど・・・ある意味、俳優さんは贅沢なお仕事ですよね」

池田「というと」

飯塚「普通の勤め人は有名企業のトップとお会いしたり仕事するということは滅多にないと思うんです。でも俳優さんは、経験豊かな俳優さんや監督・演出家と仕事することができる。その世界で一流と呼ばれる人々と仕事をする機会が多いと思うんです」

池田「確かにそうですね。恵まれた仕事なのかもしれないですね」

画像: 飄々、そして理知的な

俳優として、その場に居ること

飯塚「俳優といっても舞台やTV、映画などがあると思いますが・・・」

池田「僕は当初より映像の中で演技をしたいと思っていました。いろいろな媒体を経験する中で、映画に対する憧れは強くなっていきました」

飯塚「映画に対する憧れってどんなところですか」

池田「自分が俳優となる出発点には、自分の中にある傷を表現するということがありました。だから、人間の抱えている傷を表現できる俳優でありたいと思っています。
映画といっても今は色々なプラットフォームで観ることができますが・・・基本は映画館に足を運びお金を払って暗い中で一定時間座って観る、という観る側の姿勢があるので、役であり俳優自身が持つ繊細さや生々しさを、表現として受け入れてくれることが多いと思います。
そういう点で、映画という媒体には今でも憧れを持っています」

飯塚「役へのアプローチはどのようにしていらっしゃいますか」

池田「結構、決め事が多いかもしれません。役に至るまで、これを考えて、これを考えて、とある程度決まった手順に沿って進めていきます」

飯塚「池田さんらしい。論理的な感じですよね。ちなみ役として大切にしていることはありますか」

池田「俳優の仕事を続けていると、“その場に居る”ということを感じられる瞬間があって、それが自分にとって幸せだったりします。俳優はやるべきことがたくさんあると思いますが、すべては、お芝居をするときに、自分がその場に居る、そこにつなげていけるよう意識しています」

画像: 俳優として、その場に居ること

~池田良さん 今後の出演作品~
*2026年9月11日(金)公開 
実写映画「ルックバック」
監督:是枝裕和
 
*2026年12月公開決定! 
映画「恋する地球人-劇場特別版-」
監督:上田慎一郎
クラウドファンディング実施中
 
*EX 2026年7月7日(火)21時スタート
「クロスロード~救命救急の約束~」
  
*WOWOW 2026年7月19日(日)スタート
連続ドラマW-30「ALIUS -特定事象捜査ファイル-」
 
*NHK-BS 6月28日(日)スタート
プレミアムドラマ「勿忘草の咲く町で~安曇野診療記~」第5、6話

カメラ:田村専一

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