「士郎正宗の世界展～『攻殻機動隊』と創造の軌跡～」

熱狂的な人気を誇る『攻殻機動隊』の作者・士郎正宗の作品とその創作世界を追う初の大規模展覧会「士郎正宗の世界展～『攻殻機動隊』と創造の軌跡～」が世田谷文学館で2025年8月17日（日）まで開催されています。

士郎正宗は1985年に『アップルシード』でメジャーデビューし、1989年には『攻殻機動隊』を連載開始しました。彼の作品は、当時まだ一般に知られていなかった先端技術を先取りし、情報社会を予見した世界観で注目を集めました。緻密な描写や情報量にあふれたプロット、哲学的な問いかけが特徴で、多くのクリエイターに影響を与えています。
代表作には、コンピュータが政治を担う世界を描いた初期作品集『ブラックマジック』、戦争後の荒廃した世界を描くSFアクション『アップルシード』、「警察戦車隊」所属のレオナと愛機の小型戦車・ボナパルトの活躍をコミカルに描いた『ドミニオン』、公安9課の戦いを描く『攻殻機動隊』、超古代の魔術師たちと召喚された神々が「仙術九頭龍」をめぐって争うファンタジー作品『仙術超攻殻ORION』などがあります。
本展では、アナログ原稿やデジタル出力原稿を通して作品群の多様性と進化を紹介しています。あわせて作家自身の蔵書やコメントも展示し、士郎正宗の創作の核心に迫るものとなっています。

開館30周年を迎える世田谷文学館がこれまで取り組んできた〈漫画〉〈ＳＦ〉展示の集大成となる、「士郎正宗」初の大規模展覧会を堪能してください。　

全体は11のチャプターで構成されていますが、順路は決められていないので自由に見て回れます。チャプター1「士郎正宗の創造の軌跡」では、これまでの士郎の活動を、作品と本人によるコメントとともに一覧にしています。

会場では、マンガの「アナログ原稿」や「デジタル出力原稿」に加えて、制作に使用された道具や蔵書などを含む約440点を展示。多岐にわたる士郎正宗の作品世界と現在の活動を、全11のチャプター構成で紹介します。各チャプターには士郎自身のコメントも添えられており、その創作の背景や個人的な思考に触れることができる内容となっています。

チャプター2「士郎正宗の描き方」では、士郎が原稿作業の際に使用している手製の道具や、それらと画材をどのように用いて作画を行っているのかがわかる事例を紹介されていて、ファンなら必見です。

士郎がその作品の世界観を構築する思考・思想を形成したであろう蔵書が紹介される「士郎正宗の本棚」では、洋雑誌『HEAVY METAL』から科学雑誌、昆虫や生物、美術関連の本などが並びます。

チャプター3から6では、士郎正宗の代表作『アップルシード』『ドミニオン』『攻殻機動隊』『仙術超攻殻オリオン』より貴重な原稿が多数公開されています。
注目すべきは、アナログ制作時代から士郎が意識して行っていた「作業途中のセーブポイント」の存在です。制作過程で通常は失われてしまうラフスケッチのコピーや、絵の具で着色された主線原稿の複写など、創作の舞台裏ともいえる資料が今回の展覧会で初めて披露されており、作品が生まれる過程を垣間見ることができます。

『攻殻機動隊』の人気キャラクターの一つ、AI搭載思考戦車『フチコマ』のチャプターもあり、再現シーンのインスタレーションもあります。

チャプター10には、新作アニメ『攻殻機動隊　THE GHOST IN THE SHELL』の情報とプロモーションムービーがあります。制作は、アニメ『映像研には手を出すな!』や『ダンダダン』でお馴染みのサイエンスSARU。こちらは2026年に放送予定となっているので、今後も情報チェックが必須です。

チャプター11では、イリヤ・クブシノブ（ロシア出身イラストレーター）、中澤一登（アニメーション監督）、北久保弘之（アニメーション監督）、寺田克也（マンガ家）、弐瓶勉（マンガ家）、CLAMP（いがらし寒月、大川七瀬、猫井、もこなの4名からなる創作集団）、大暮維人（マンガ家）、長場雄（イラストレーター）、河村康輔（グラフィックデザイナー）、小浪次郎（マンガ家）といった著名なクリエイターたちとのコラボレーション作品を約10点展示しています。

会場の終わりには『攻殻機動隊　THE GHOST IN THE SHELL』の表紙になりきれるフォトスポットが用意されています。ぜひここで記念撮影しましょう。

2025年9月5日（金）から 大阪・心斎橋PARCOで巡回開催決定したそうです。
関西でも楽しめます。
＊但し複製画展示。

概要

会期：開催中～2025年8月17日（日）
会場：世田谷文学館（東京都世田谷区南烏山1-10-10）
会期：2025年4月12日（土）～8月17日（日）
休館日：月曜日（ただし月曜が祝日の場合は開館、翌平日休館）
開館時間：10:00～18:00、（入場とミュージアムショップは17:30まで）
観覧料：一般1,500円、65歳以上・大学・高校生900円、小中学生450円
公式サイト：https://www.shirow-masamune-ex.jp/