手塚治虫のライフワークともいえるマンガ『火の鳥』をテーマとした初の大型展覧会『手塚治虫「火の鳥」展-火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡(どうてきへいこう)=宇宙生命(コスモゾーン)の象徴-』が5月25日(日)まで六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューにおいて開催されています。
本展は、永遠の命を象徴する伝説の鳥「火の鳥」を巡る人間の葛藤を描いた手塚治虫の傑作長編『火の鳥』を、生物学者・福岡伸一氏の視点から読み解く企画展です。30年以上にわたり描かれた壮大な叙事詩に、科学的な視点を重ねてその現代的意義を探ります。キービジュアルはグラフィックデザイナー・佐藤卓氏が手がけ、赤と黒を基調に、時空を超える存在「火の鳥」の神秘性を印象的に表現しています。
会場のエントランスに足を踏み入れると、海抜250メートルからの絶景を背景に、プロローグ「火の鳥 輪廻シアター」が広がります。床面や立体的なスクリーンには数々の印象的なシーンが映し出され、その中心では粒子が姿を成して火の鳥が優雅に羽ばたき、やがて消えていきます。福岡氏はこの演出について「環境から流れ込んでくる粒子が一瞬命を作って、また環境に流れ出ていく。私たちの命は流れの中にあるという動的平衡の概念を、火の鳥をモチーフに作りました」と解説しました。

プロローグ展示風景:火の鳥・輪廻シアター©Tezuka Productions
photo©︎moichisaito
展示は3章構成となっています。
第1章「生命のセンス・オブ・ワンダー」では、手塚治虫が『火の鳥』を着想した背景に迫るべく、イーゴリ・ストラヴィンスキーのバレエ『火の鳥』やアニメ作品『イワンと仔馬』などが紹介されます。
また、幼い頃から虫に魅せられていた手塚に共感を寄せる福岡氏は、手塚が少年時代に描いた蝶の絵と、それと同じ種類の標本を展示しました。手塚の卓越した描写力と、自然への深い敬意を視覚的に伝える展示となっています。さらにこの章では、過去と未来を自在に行き来する『火の鳥』の物語を年表形式で整理し、その壮大な物語世界を俯瞰できる構成になっています。

第1章展示風景:火の鳥年表©Tezuka Productions
photo©︎moichisaito
第2章「読む!永遠の生命の物語」は本展の中心となる章で、『火の鳥』全12編(「黎明編」から「太陽編」まで)を一つひとつ丁寧に紹介しています。会場には、手塚治虫による約400点もの直筆原稿が展示され、壮大な物語の世界を原画を通して体感することができます。各編のあらすじ、登場人物の相関図が分かりやすく示されているので、初めての人でも物語の世界を理解しやすいです。
塚各編には、福岡氏による解説パネル「福岡伸一の深読み!」が添えられており、手塚作品に込められた思想を、当時の研究や現代の科学的知見と照らし合わせながら分析しています。
たとえば「黎明編」では、舞台となる邪馬台国の位置を巡る当時と現代の研究を比較し、独自の視点で解説しています。「未来編」では、AIが現実となった今だからこそ見えてくる、手塚の先見性を読み解きます。また「生命編」では、クローン技術が生む支配と従属の構造に注目し、その倫理的な問いかけを掘り下げます。

第2章展示風景:右手は生命編©Tezuka Productions
photo©︎moichisaito
最後となる第3章「未来を読み解く」では、未完に終わった『火の鳥』の完結がどのようなものだったのかに福岡氏が迫ります。さらにここでは美術家・横尾忠則が福岡氏と『火の鳥』について語り合う対談映像を上映するとともに、作品《火の鳥》も展示しています。そして福岡氏が推定した『火の鳥』最後の一コマのスケッチを、一番最後に見ることができます。

第3章展示風景:左手の絵画は横尾忠則の作品《火の鳥》・中央はキービジュアルにも使われた一コマの原画©Tezuka Productions
photo©︎moichisaito
ぜひ会場で『火の鳥』に込められたメッセージを受取り、今の時代を生きるものとして読み解いてみましょう。
概要
会場:東京シティビュー(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階)
会期:開催中~2025年5月25日(日)
開館時間:10:00~22:00(最終入館21:00)
入館料:<平日>一般2,300円、高校・大学生1,700円、4歳~中学生800円、65歳以上2,000円
<土・日・休日>一般2,500円、高校・大学生1,800円、4歳~中学生900円、65歳以上2,200円
主催:東京シティビュー
企画協力:手塚プロダクション・朝日出版社
後援:J-WAVE、WOWOW
企画監修:福岡伸一
公式サイト:https://hinotori-ex.roppongihills.com/
公式SNS:https://x.com/HINOTORIex
問い合わせ:東京シティビュー 03-6406-6652(受付時間10:00~20:00)
シネフィルチケットプレゼント
下記の必要事項、をご記入の上、『手塚治虫「火の鳥」展-火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡(どうてきへいこう)=宇宙生命(コスモゾーン)の象徴-』シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上3組6名様に招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2025年4月13日 日曜日 24:00
記載内容
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