ずっと前から、物凄く気になっていた俳優の諏訪珠理さん。
拙作『雨ニモマケズ』にお声かけしてご一緒することができました。
インタビューでは俳優になるきっかけや役についてお訊きしました。

画像: 対談企画「いま気になる映画人」VOL.09
諏訪珠理(俳優)×飯塚冬酒(映画監督)
 ~音楽映画『雨ニモマケズ』特別企画~

飯塚「ご無沙汰しています」

諏訪「撮影ぶり、ですね」

飯塚「何してました?」

諏訪「撮影現場や、舞台に出演したり」

飯塚「忙しいですね」

諏訪「こんなはずじゃなかったんですけどね(笑)」

飯塚「諏訪さんとは、かなり前に野本梢監督の『アルム』という現場でニアミスしているんですよね。中央大学のキミハルシネマというプロジェクトに企画協力していて、現場にお邪魔したことがあったんです。その時に一緒に行った中央大学のお偉いさんが映り込みそうになって現場スタッフさんに『邪魔』とか怒られて(笑)」

諏訪「あの時は・・・そんなことがあったかもしれないですけど・・・自分の中ではあまり認識できてなかったもしれません。役が自尊心が高い役ではなかったので、周囲の声とか全てを自分を痛めつけるというか、そんな風なやり方をしている時期だったので、多分『邪魔』とかいう声も自分で受け止めて役に入っていました」

飯塚「いつもそんな風に役に入る感じですか?」

諏訪「いや・・・毎回悩むんですけど・・・。役いただいたときに『あれ?自分、どうやって役つくっていたんだっけ?』と思うんです。その度にやり方とか考えて」

飯塚『なるほど・・・。以前、拝見したある映画でも、全く違う顔を見せているから』

諏訪「嬉しいですね」

画像: 映画『雨ニモマケズ」より 左から 諏訪珠理さん / 安野澄さん

映画『雨ニモマケズ」より
左から 諏訪珠理さん / 安野澄さん

役づくりについて

飯塚「最初、脚本を渡されたときにどんな風にすすめていくんですか?」

諏訪「まず・・・最初に脚本をもらった時は何も考えません(笑)」

飯塚「考えない(笑)」

諏訪「考えない、って言うと語弊がありますけど(笑)脚本を読む方法は大きく分けて3つくらいあると思うんです。まずは読み物としてお客さんとして読んで、二つ目は自分が演じるということで読んで、三つ目は演出目線で全体を俯瞰で読んで。
僕は脚本を読んでも映像に落とし込むことができにくいんですね。最終的にどんな映像になるのか考えるのが苦手なので・・・。
そんな感じです。だから何も考えずに(笑)」

飯塚「ご出演はいい作品が続いていますよね。脚本を読んで出演するしないを決める基準とかあるんですか」

諏訪「いや。決めるとか、そんな大それた身分ではないんですけど(笑)。たまたまお声かけしていただける、運です(笑)」

画像: 役づくりについて

映画三昧の高校生活

諏訪「僕、高校時代に学校にあまり行かずに映画館ばかり通っていたんです。朝、家出てから学校行かずに映画館に行って上映している映画を夕方まで観て、部活に行って。そんな高校時代でした」

飯塚「そのころはどんな映画を観ていたんですか?」

諏訪「家から学校に行く電車を途中下車した街のシネコン映画館で上映している映画をかたっぱしから。カップルしか観ないような恋愛マンガ原作映画も観ていましたし(笑)。でも、一番衝撃を受けたのは岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』ですね」

飯塚「いい映画ですよね。他に好きな映画は?」

諏訪「『シング・ストリート 未来への歌』が好きです。ジョン・カーニー監督の作品は全て好きなんですけど。少年が音楽を通して成長していく映画です。少年の成長によってヒーローだったお兄さんの現実が見えてきたり、憧れの女の子の見え方や関係も変わっていく、何回も観ています」

飯塚「そんな映画好きから俳優に?」

諏訪「はい、多くの映画観ているうちに、『あれ。俺ももしかしたら演技できんじゃないかな』なんて思って。学校以外に別の世界を欲しいと思っていた時期でもあったので、親に相談して高校二年生くらいから。今の事務所ではないんですけど、事務所に応募して所属しました。
その後フリーになってから今の事務所の鈍牛倶楽部にお世話になっています」

俳優・諏訪珠理

諏訪「僕は自分に自信がないタイプなので、現場でも演出を点けていただくほうがやりやすいかもしれません。最初に僕から出てきたものが・・・言葉悪いですけど、不細工なものだと思っているので、演出の方や監督が整えていただいたほうがやりやすいです。自己肯定感が低いので、すぐにオッケー出されると、本当に?と思ってしまうんです」

飯塚「ということだと・・・今回の『雨ニモマケズ』はオールオッケーで、僕は注文も演出も出さなかった(笑)」

諏訪「そっか(笑)でも、事前に役について相談をさせていただいたり、実際のゴスペルイベントを見せていただいたりと(笑)」

飯塚「撮影方法はどうでした?かなり無茶ぶりをしたと思うんですけど。重たい撮影の最後に諏訪さんだけピンで重たい撮影があったり、ステージシーンは何回も通しで撮影させていただいたり」

諏訪「僕の場合は、割って撮影するより通しで回していただいたほうが気持ちがつながって助かるタイプなので、よかったです」

画像: 俳優・諏訪珠理

飯塚「自分の出演作品を観るときってどんなことを考えます?」

諏訪「演じる時はカメラや観客の視線をあまり考えていないので、画面で観て『ああ、こんな顔になるんだ、こんな映像になるんだ』という感じですね」

飯塚「自分の演技をチェックしたり?」

諏訪「何故この間を開けた、とか、この顔じゃない、とか思うこともありますし、最初に観るときは怖いですよね」

飯塚「監督も作品をみせるときは怖いですよ(笑)。自分で本書いて監督するって・・・裸さらすよりも怖いし、恥ずかしい(笑)」

じっくり役に取り組める環境が大切

飯塚「これから先、どんな役をしていきたい、とかありますか?」

諏訪「役・・・ではなくて環境が自分にとっては大切なような気がします。じっくりと取り組める、というか。僕は、現場に行くまで自分の準備をしっかりとして周りのスタッフさんや役者さんの影響を受けて立ち上げられるような役者だと思うので。充分なディスカッションや撮影までの時間で芝居の相手との関係で自分を柔らかくなることができるような環境で役者として生きられたらと思います。今の時流ではないのかもしれないですけど」

画像: じっくり役に取り組める環境が大切

雨ニモマケズ|監督:飯塚冬酒|90分|2024年|5.1ch|日本|
2/8(土)~新宿K's cinemaほか順次劇場公開
https://g-film.net/ame/

カメラ:岩川雪依 / ヘアメイク:成美

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