拙作『雨ニモマケズ』でダンスシーンを披露していただいた上村侑さん。
プライベートから映画のことまでお訊きしてきました。

飯塚「最近はどうですか」
上村「最近・・・あまり変わらないですね。仕事して本読んで、将棋して」
飯塚「将棋?」
上村「ええ、ネットでオンラインで対戦したりAIを相手にしています。チェスも最近初めました。まだまだ弱いんですけど」
飯塚「1年振り位ですよね。身体が結構、ごっつくなりましたよね。何かしてるんですか?」
上村「はい。筋トレしています。ごっつくなりたいので」
『雨ニモマケズ』撮影について
飯塚「本作への参加、ありがとうございます」
上村「いえいえ」
飯塚「上村さんとは全くの初めまして、で本読みが初顔合わせでしたよね。オファーを受けたときってどんな印象でした」
上村「最初、脚本を読んだときは、ああゴスペルだなあって(笑)。あと感じたのは、後半部分の脚本部分が点描が多かったので、尺何分くらいになるんだろうなっていうの思いました。で、訊いたら90分と・・・。あ長編なんだ、と思いました」
飯塚「もっと短いと思った?」
上村「はい。撮影期間も短いし、自分の感覚では中編くらいかなと思っていたんですけど。長編になったことがちょっとびっくりでした」
飯塚「(笑)」
村「で、蓋を開けたら前半が長回しじゃないですか。リハーサルもしっかりしましたけど、みんな大変だなって」
飯塚「いや、上村さんだって大変だったでしょ」
上村「いや、実は僕、前半部は少し出てほとんど客席に座っていることが多かったんですよ。カメラがくるまでは共演したダンスチームのgrooviestさんたちと和気あいあいとしていて、カメラが来た瞬間に『来た来たー』って」
飯塚「あっそうか・・・」
上村「こっそりとお菓子食べたり珈琲飲んだり(笑)」
いいすか「カメラさんや録音さんが駆け回っている間に(笑)」
上村「はい、すみません」

映画『雨ニモマケズ』より
初挑戦のダンス!
飯塚「ステージシーンはいかがでした?」
上村「ひいひいでしたよ(笑)」
飯塚「しっかりとダンスしていましたよね」
上村「あれも・・・最初、脚本では『歌う』みたいなことでしたよね」
飯塚「・・・そうだっけ」
上村「で、ダンスチームとの顔合わせに行ったら、飯塚さんから『踊ろうか』って言われて、急遽、ステージシーンがダンスになって」
飯塚「あ、あれは、ダンスを軽く合わせたら結構ステージ映えしそう出し、ダンスチームのgrooviestさんも『運動神経もバッチリだし覚えも早いから、大丈夫ですよ』なんて言われて」
上村「僕ダンス本当に初心者なんです。練習は台詞覚えるよりも大変でしたよ(笑)楽しかったですけど」
飯塚「カメラマンさんは、上村さんとgrooviestさんのステージ撮影はとても楽しかったって言ってましたよ」
上村「ありがとうございます。実際のステージでお客さん入れての撮影だったので、盛り上がり感が半端なかったです。僕たちが踊りはじめるとお客さんもものすごく盛り上がって、ステージと客席の一体感がすごかったですよね」
飯塚「すごかったよね」
上村「お客さんの盛り上がりで僕達もよいパフォーマンスできたと思います。こんなステージ経験したら癖になりますよね。ゴスペルのみなさんが歌うのが楽しいっておっしゃるのわかります」
飯塚「その後、ダンスは?」
上村「やってません(笑)。兄がダンスやっているので同じことはしたくないと思ってます」
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俳優になるきっかけ
飯塚「俳優になるきっかけは?」
上村「何となく・・・なんですよね。チャレンジ・ザ・ドリーム、職場体験っていうのが中学2年生の時にあったんですね。僕も含め周りの子たちも将来の夢なんてしっかり決まっていない時期ですね。社会や仕事を知るための体験なんですけど、自分が何になりたいかってことを考えたときに将来やりたい職業が探せなかったんですよね。というよりも、やりたいことがありすぎるのかなって」
飯塚「例えば?」
上村「お医者さん見たら、お医者さんがかっこいいと思いましたし、同じように消防士や自衛官をみてもかっこいいと思いましたし・・・。あ、俳優だったらどんな職業もできる、とその頃に思ったことが俳優になるきっかけだったのかもしれないです」
飯塚「それが俳優になるきっかけということですね。俳優をはじめてからは結構いい流れでお仕事入っていますよね」
上村「中学から仕事はじめて、色々なご縁がつながってお仕事いただいてきました。ありがたいですね。ただ、怖いこともあって。中学からこういう仕事をしていると、、、周りの同年代の人とずれているんじゃないか、という気持ちも多少ありますし・・・」
俳優と創作
飯塚「最近の若い俳優さんは才能ある人が多いですよね。絵を描いたり、本を書いたりと。上村さんは俳優活動以外には?」
上村「僕も一時期、創作をしていた時期があって。
ただ、創作する、という時間は楽しいし集中したり色々なことが紛れるんですけど、お酒を飲んで酔っ払う感覚に近いのかな・・・。
自身の充足のためには創作も必要な時間だと思いますが、最近、僕は美味しいお酒を飲んでみたい、という気持ち(笑)が大きくなってきて・・・何もしてこなかった自分から出てくるものって大したもんじゃないだろうなって思うことが多くて。
少しだけ俳優以外の創作はお休みしています」
飯塚「ある時期からまた創作をはじめるかもしれませんね」
上村「はい。僕自身、これから色々なことを吸収し外に出せるようにできたらと思います」
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ジェネレーションについて
飯塚「吸収、ということはとても大切ですね、本や音楽にどんどん触れる機会など。ネットなどなかった時代に育った我々の世代はインプットは物凄く下手。自分から何かを探しに行かなければ手に入らなかったから圧倒的に情報量が少ない中で育ってきた。その点、ネット普及世代以降はインプットが容易ですよね」
上村「そうですね。ただ、僕や僕の少し上の世代までは、情報の取捨などの情報の選別、アウトプットがまだまだ追い付かないこともあると思います」
飯塚「なるほど」
上村「最近の若者(笑)僕が言うのも変ですけど・・・僕より下の世代はインプットも上手ですしアウトプットも上手ですよね。自然にできているような気がします。中学生、高校生と話していると人間の完成度が高いなあ、と感じます」
飯塚「その世代と積極的にかかわってみよう(笑)」
上村「ある程度、成熟してしまっているので、それ以上に自分の知らないことを知るとか、ということを考えない・・・無知の知のような。もったいないところもあるような気がします」
飯塚「その世代と仕事を始めるころには、僕も引退しているからなあ(笑)」
上村「まだ、早くないすか(笑)」
飯塚「今回の作品『雨ニモマケズ』で上村さんが演じたミナトと父親の関係性も上村さんから見るとギャップがあると前に伺っていて・・・」
上村「・・・そうですね。僕よりも上の世代の親子像なのかな、と感じていました」
飯塚「それは父親像?」
上村「そうですね。強い父親、一家の大黒柱と反発する息子は感覚的には僕の感覚ではないような気がします」
飯塚「なるほど」
上村「まず全体的に強い父親像が薄まってきているだろうし。僕だったら、ただ父親に反発するだけでなく、問題を解決するような話し合いをするだろうな、と」
好きな映画
飯塚「最後に好きな映画のことをお訊きしてもよろしいですか」
上村「色々とあるんですけれど・・・『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』やデニーロをアン・ハサウェイが出ていた『マイ・インターン』も好きですね。フィリピンが舞台の『ブランカとギター弾き』なんかも」
飯塚「優しい映画ばかりですね」
上村「そういえば(笑)優しい映画ですね」
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雨ニモマケズ|監督:飯塚冬酒|90分|2024年|5.1ch|日本|
2/8(土)~新宿K's cinemaほか順次劇場公開
https://g-film.net/ame/
カメラ:岩川雪依 / ヘアメイク:成美