2/8より新宿K's cinemaの上映を控えたゴスペル音楽満載の映画『雨ニモマケズ』にご出演の安野澄さん、飯塚冬酒監督にインタビューのインタビューをお届けいたします。
映画のお話を含めたっぷりとお訊きいたしました。
(インタビュアー:南野こずえ / ヘアメイク:成美)

画像: 映画『雨ニモマケズ』より 安野澄さん

映画『雨ニモマケズ』より
安野澄さん

Q.トリプル主演という形での初主演ですが、オファーを受けた際の印象を教えてください。

安野「まず、主演自体が初めてでしたし、それから群像劇も初めてだったので、自分がその中で何ができるかをすごく考えました。長回しで全部つなげて撮る経験もなかったので私にできるかなという不安もありました。ただ、やってみたい、挑戦してみたいという思いが強かったので、監督とお会いした時にやりたい気持ちが明確になりました」

Q.どういった経緯で安野さんにオファーされたのでしょうか?

飯塚「主演の候補を探してる時に、事務所側に相談したらマネージャーの絶賛イチオシという形でご紹介いただいたんです。僕もプロデューサーも以前から安野さんのことは存じあげていたのでぜひお会いしようということになって。事務所でお会いして即、ご出演をお願いしました」

Q.今回、舞台裏で走り回るスタッフ・南を演じていますが、演じてみていかがでしたか?

安野「本当に走り回っていました(笑)基本的に画面のどこかに映っていることも多かったので、どのタイミングで出ていくのかということも把握しつつ、もちろんお芝居のことも考えていたのですが、みんなの空気を察して南としても、安野澄としても走り回っていた感じで。こういうお芝居ってあるんだって感じて楽しかったですし、必死でした」

Q.役作りではどのような部分にこだわりましたか?

安野「南は本来だったら自分から前に出るというタイプではないと思うのですが、今回は増渕先生のためにという原動力だけで走り回っていたのだと思います。その南の気持ちと、安野澄としてワンカットを成功させたいという私自身のリアルな気持ちとを掛け合わせて演じたところはこだわりの一つです。」

画像: 映画『雨ニモマケズ』より 左:諏訪珠理さん / 右:安野澄さん

映画『雨ニモマケズ』より
左:諏訪珠理さん / 右:安野澄さん

Q.ゴスペル音楽が満載の作品ですが、制作経緯を教えてください。

飯塚「ゴスペル音楽に携わって十数年になるのですけれど、その間にゴスペル界で指導いただいたり懇意にしていただいたディレクターお二人が亡くなったことがありました。
お二人が残していったゴスペルの想いやその想いを繋ぐ人々、を描きたいなあというところから今回の映画の企画が始まりました。
亡くなった人を偲ぶというだけのお話ではなく、先立つ人がこの世に残った人に何をしてあげられるか、何を残してあげられるのだろう、という部分に焦点をあてて脚本を書きました。
僕も、もう人生後半部分なので、周囲の人に何を残していけるのかを考える歳ですし(笑)」

Q.南ではなく、他のキャラクターを演じるとしたら誰を演じてみたいですか?

安野「お弁当屋さん!
あの役はインパクトありますよね。演じた笠松さんを元々知っていて、雰囲気も素敵だなと思っていたんです。みんながわちゃわちゃしているところに何も知らない部外者としてポンって入ってくるみたいな役もやってみたいなと思って。一瞬で印象を残してくれる役柄だなって思いましたね。
ほかは、諏訪さんが演じたタツヤも。諏訪さんがあまりにもハマり役ですごいなと思いました。最後の詩の朗読シーンで、言葉の力強さを感じて、私もまっすぐに言葉を伝える芝居もしてみたいなと思いました。今回、どのキャラクターも個性あふれる方ばかりで。そういう意味では南は本当にフラットだったかなと思っていて。だから、読み合わせで何度か集まった際も、私の演じた南はやっぱり一番普通だなって思いました(笑)」

画像: 映画『雨ニモマケズ』より 前:笠松七海さん / 後:梅垣義明さん

映画『雨ニモマケズ』より
前:笠松七海さん / 後:梅垣義明さん

Q.短期間の撮影でしたが、実際の現場はいかがでしたか?

安野「本当に自由にやらせていただいいたので、自分でもたくさん考えながら望めました。あとは監督やキャストのみなさんからいただくパワーがすごくて。この中で自分は何ができるのかということだけを考えていました」

飯塚「コンサート会場で20人の役者さんが一斉に動いてもらう撮影手法をとったんですけど・・・。まずはみんなで軽く1回動きながらカメラの調整をして・・・本番は2回カメラを回してオーケーでしたね」

画像: 映画『雨ニモマケズ』朝礼風景

映画『雨ニモマケズ』朝礼風景

安野「当日は怒涛のような時間でした」

飯塚「事前に大きな会場でリハーサルはやっていましたが、実際のコンサート会場では距離感覚や導線を把握してもらうために朝一に会場に入ってもらって役者さんには自由に動いてもらったんです。おもった距離感でなかったりなど現場でしかわからないことを調整してもらいました」

安野「会場に行ってみたらやっぱり大きいなと。リハーサルは会議室だったのでそれはちょっと大変でした。でも実際に感覚を掴む時間をいただけて、自分でも自由に歩いてみて良かったなと思います」

Q.クスッと笑える要素が盛り込まれていますが、意識されましたか?

飯塚「とにかくみんなに自由にやってもらいたかったんです。僕はゴスペルイベントの企画・主催もしているんですけど・・・まぁ、妙齢の女性が集まるとあんなもんじゃないぐらい裏側ではいろんなことが起こるんですよ(笑)」

Q.この作品に関わる前までのゴスペルの印象は関わってからは変わりましたか?

安野「私の中でゴスペルって宗教や教会というイメージで、触れたことがなかったんです。でも監督が主催しているイベントに行ってみたら、踊っていたり、みんなで拍手をしながらリズムに乗っていたりして、めちゃめちゃ楽しそうでした。私のセリフにある『歌うだけがゴスペルじゃない』という面をたくさん感じることができて。ゴスペルって自由なんだ!と思いました」

画像: 映画『雨ニモマケズ』より

映画『雨ニモマケズ』より

Q.「歌うだけがゴスペルじゃないから」というセリフがすごく印象的ですが、なにかしらの思いが込められているのでしょうか?

飯塚「みなで集まって歌うことが楽しかったり、『神様、神様』と歌うことで信仰を深めたり、ゴスペル音楽はどんな風に歌っても携わってもいいと思うんですね。
ただ、ゴスペル音楽が生まれた背景を正しく学んだり、ゴスペル音楽を生んだ黒人文化に敬意を払うことも必要だと思います。
『歌うだけがゴスペルじゃないから』
という台詞は、そのような意味を込めています。
そして、南のような歌わないスタッフがしっかりと裏で支えていることで、表のみんなはゴスペルを歌うことができる、という意味もあります。

安野「ゴスペルイベントに行った時に裏側やリハーサルも拝見したんです。その時に監督もステージに立って歌う側でもないし、大勢のスタッフさんもいて。もちろん歌うクワイアの方たちもいて。そんな裏側を実際に見て、私はここにいる方たちの気持ちを考えながら演じようという気持ちになりました。南を演じる前にちょっと南を経験できたことが活かされました」

Q.数時間の出来事をギュッと凝縮した展開だけに、場面場面での音楽の使い方のこだわりを感じました。

飯塚「実は、前半は劇伴を全く使ってないんですよ。実際にロビーで流れる音楽であったり、あとはリハーサルから聞こえてくる音楽がロビーに聞こえてくるっていう音楽なんですね。実際のイベントの準備風景をリアルに感じてもらえたら、という狙いなんです。
後半のステージパートでは前半部の登場人物やストーリーに併せた歌詞や楽曲を実際のゴスペルクワイアやアーティストの方々に歌っていただいています。

Q.個性的な役者さんのキャスティングについて経緯を教えてください。

飯塚「僕が昔から知っていて現場で安心できる方と、いつか仕事をしたいと思っていた役者さんを中心にお声がけしていきました。役者さんに併せての改稿もして作品をつくっていきました。
最後まで悩んだのは、タツヤ役の諏訪珠理さんとお弁当屋さん役の笠松七海さんです。
タツヤは本作の肝をゆだねる役なので本当に悩みました。
あとはお弁当屋さん、中年男性と渡り合えるためには、と男性俳優も考えたのですが。
どの方も現場では僕の想像を超える役を演じていただいて感謝しています」

Q.『雨ニモマケズ』というタイトルについて。

飯塚「宮沢賢治の『雨ニモマケズ』の詩がものすごく大好きで。あの詩を読むと、こうありたいな、という気持ちになるんですね。本作でも印象的に『雨ニモマケズ』を出しているんですけれど。実はこのタイトルには別の意味と想いも込めていて・・・気づく人だけが気づけばいいかな、と思っています」

Q.最後にメッセージをお願いいたします。

安野「とにかく楽しく観てもらいたいです。音楽もたくさん出てきて、私が初めてゴスペルを生で見た時に感じた楽しさや、会場全体が盛りあがる雰囲気がみなさんにも伝わって、ゴスペルってこういうものなんだっていう知るキッカケとして広がってくれたらいいなと思っています」

画像: Q.最後にメッセージをお願いいたします。

雨ニモマケズ|監督:飯塚冬酒|90分|2024年|5.1ch|日本|
2/8(土)~新宿K's cinemaほか順次劇場公開
https://g-film.net/ame/

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