対談企画「いま気になる映画人」では、映画製作・プロデューサーの飯塚冬酒が「いま気になる」映画人に逢い、対談する企画です。

今回は、10月より池袋シネマ・ロサで『怪人の偽証 冨樫興信所事件簿』の劇場公開が控える福田航平監督と対談します。

画像: 福田航平 監督

福田航平 監督

エンターテイメントが原点

飯塚「『怪人の偽証 冨樫興信所事件簿』劇場公開おめでとうございます」

福田「ありがとうございます」

飯塚「まずは、福田監督の映画の原点をおきかせください」

福田「映画に興味を持ったのは、小学生くらいの時によく親と一緒に映画に行って。二本立ての名画座やミニシアターで映画を観ていました。ワンピースとかデジモンとか、ジュラシック・パークやジョーズとか、アルマゲドンとか・・・」

飯塚「娯楽大作ですね。それからは?」

福田「映画を観続けているうちにぼんやりと将来は映画に携わりたいなあ、という想いが出てきて。
大学に入って、映画サークルに入ってから本格的に映像制作を始めて・・・恋愛ものや青春もの、POVだったりいろいろ作品を作っていました」

飯塚「ホラー&アクションエンターテイメントの『怪人の偽証』からは想像できない」

福田「そうですよね(笑)・・・作品を各地の自主映画祭に出品して映画祭に参加してみると、日常ものが多かったりしたので・・」

飯塚「半径10mくらいの」

福田「そうです。そういった他の監督の作品を拝見して、自分の原点であるエンターテイメント作品を創っていこうという方向になった・・・という感じです」

画像: エンターテイメントが原点

映画は映画館で観る娯楽

飯塚「監督にとって映画とは?」

福田「・・・難しい質問ですよね・・・今はプラットフォームも配信もたくさんありますし、何をもって映画と言っていいのか。ただ、僕自身は映画はやっぱり映画館で観たいという気持ちが強いです。さらに言えば、あまり小難しいこと考えないで」

飯塚「?」

福田「僕は、映画は娯楽、だと思っているので眉間にしわなんか寄せないでとにかく楽しんで観てもらう、という映画を目指していきたいと思っています」

飯塚「僕も中学・高校の頃は友人みんなで映画を観にいくというのがひとつのイベントで、レジャー・・・言いすぎかな、遊びの延長だったような気がするんですね」

福田「そうですよね、映画館で映画を観る、という体験が僕にとっても映画の原体験です」

飯塚「配信、はどうお考えですか?」

福田「配信もひとつの映画を広める方法ではありますが・・・猫も杓子も配信という流れはあまり好ましいとは思えず・・・できれば映画は映画館で観てもらいたい、と思っています」

画像: 映画は映画館で観る娯楽

好きな映画

飯塚「監督の好きな映画は?」

福田「『ザ・グリード』という映画です。SFホラーなんですが、客船を怪物が襲う、というべたな話で、現在DVDもプレミアになっていて観れる機会もないんですが」

飯塚「またマニアックなところですね」

福田「(笑)すっごい昔にTVで放映されたときにビデオにダビングして、擦り切れるほど観ています」

福田監督の撮影について

飯塚「今までにどんな作品を創ってきたんですか?」

福田「そうですね・・・学生時代は本当に様々なジャンルで。卒業してからは、ホラーやアクション、短編ばかりです。
今回の『怪人の偽証』が本格的な長編、ということでは初作品になります」

飯塚「確か『怪人の偽証』はご自身で書かれてますよね。今までの作品は脚本もご自身で?」

福田「基本、脚本・監督とも自分です」

飯塚「脚本の書き方は?」

福田「最初の3行書くまでが大変ですね。書き出すと早いかもしれません。
書き出すまでは・・・街を歩きながら、この道を探偵が走っていたらどんな物語になるんだろう、とか、ここでこんな音楽かかっているときにこんなシーンがあったら、とかシチュエーションから創造を膨らませていくことが多いです」

飯塚「林海象監督の濱マイクシリーズもそういうシチュエーションから生まれたみたいですよね」

福田「そうなんですか」

飯塚「横浜黄金町の映画館に探偵が居候していたら、なんてところから話が膨らんでいったとおききしたことがあります・・・大監督と同じ創り方(笑)」

福田「光栄です」

飯塚「演出などのこだわりはありますか?」

福田「まず、自分が役者さんとご一緒するときには、お話してコミュニケーション取りやすい、というところを重要視しています」

飯塚「なるほど」

福田「現場で結構タイトな部分もあるので、意思がひとつの方向に向かっている、細かいことを話さなくても事前に培っている関係性で、一言でお互いに理解できる関係性が大切だと思っています」

画像: - YouTube youtu.be

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飯塚「ちなみにカメラも監督が回していますよね・・・回すって古(笑)」

福田「そうです。カメラもアングルなどこだわりを持っていたいので、今まで自分で撮影してきました。短編や小規模の撮影はこれでよかったのかもしれませんが・・・ただ、次作など大きな作品を創っていくときなどは、演出や総合的な視野を考えるとカメラは信頼できる人に任せていくことが必要かなとは思っています」

飯塚「映画監督としては将来的には?」

福田「若手映画監督が、すぐに映画で食べていくのはとても難しいと思います。まずは映像制作の部分で生活の基盤をつくりながら、2年に1本くらいのペースで長編を作り続けていけたらと思っています」

飯塚「まずは長編劇場公開、成功をお祈り申し上げます」

画像: 福田監督の撮影について

公開情報

『怪人の偽証 冨樫興信所事件簿』
池袋シネマ・ロサにて劇場公開 10/5(月)~10/18(金)
横浜シネマ・ジャック&ベティをはじめ各地ミニシアターで上映予定

怪人の偽証 冨樫興信所事件簿|2023年|日本|69分14秒|日本語|DCP
監督・脚本・編集 福田航平
出演:大根田良樹 / 伊藤大晴 / 脇田敏博 / 大石隆希 / 氏師出雲 / 佐波太郎 / 内田竜次 / ワーキング西 / ヤリビト / 吉岡諒 / 石井陽(鳴海陽)
アクション監督:垣内博貴
公式WEB:https://togashi-koshinsho.com/
製作:BAD BOYS STUDIO
配給:GACHINKO Film

福田航平プロフィール
京都出身、京都在住。大学時代から映画制作を始める。
2023年自身初の初長編作品『怪人の偽証 冨樫興信所事件簿』で横濱インディペンデント・フィルム・フェスティバル2023「長編部門最優秀賞」受賞。

インタビュー:飯塚不冬酒 / 撮影:岩川雪依

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